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『せっかち式仕事術』は、“せっかち式”を駆使して書きました。

2024年5月22日、著者『せっかち式仕事術(かんき出版)』が無事発売となりました。すでにお手にとっていただいた方から感想もたくさんいただき、感謝でございます!この場を借りて御礼申し上げます。


さて、この「せっかち式」は、僕自身の仕事に対する姿勢や行動指針を詰め込んだものです。当然のように、本を書き上げる過程においても「せっかち式」を駆使しました。このnoteでは、著書ができるまでの過程に自らの「せっかち式」メソッドを交えながら振り返ってみたいと思います。

この投稿を通じて、「せっかち式」を疑似体験していただければ幸いです。


※以下本文中の太字部分が、せっかちのマインドや「せっかち式」の行動・手段を表しています


1. 出版決定まで

2023.10.5 打診メール

1通のメールが、自社Webサイトのお問い合わせフォームから届きました。かんき出版編集者の中野晴佳さんが、僕が過去に書いたnote記事「せっかち式仕事術」を見てくださり、書籍化の企画を持ちかけてくださったのです。

否応なしに情報処理のスピードアップが求められている時代に、前向きに「せっかちな性質を生かした仕事術」として、信頼を獲得して、いいアウトプットにつなげて、仕事早く終わらせて、幸せになろう!という考え方は、今の時代に必要ではないかと思いました。

中野さんのメールより

3年も前の記事を見つけてくれて嬉しい(書きためておいて(種まきしておいて)よかった)…!という気持ちと、このネタで書籍1冊作れるのだろうか…?(心配性発動)という不安が入り交じるなか、ぜひお話お聞かせくださいということになりました。

その際、ただ返信するのではなく、「こんなのはどうでしょうか?」と、ネタになりそうな過去の関連記事を共有しました。手持ちの資産があれば即提出するのです。相手の想像を超えるリアクションは期待感につながります。

このネタで書籍1冊作れるのだろうか…というのが率直なところです。
ちなみに、関連しそうなnote記事としては
https://note.com/harahiroshi/n/nbe434e104159
https://note.com/harahiroshi/n/n1ab874fefb97
https://note.com/harahiroshi/n/n0fd358a0abc4
がありそうです。

僕からのメール

関連記事もありがとうございます。「アウトプットが先」、いいですね!
記事の中でおっしゃっているように、言い換えれば「すぐやる」ということがテーマにはなると思うのですが「せっかち」という特性を組み合わせると面白いかな、と思っています。

中野さんのメールより

そして、自分自身の不安を解消する効果もあります。せっかちな人は事あるごとに「逸る気持ち」が湧出します。率先した行動によって逸る気持ちを解消させていくのです。結果、物事を前進させるエネルギーにもなります。初動で「せっかち式」はすでに発揮されたと思っています(それこそがせっかち性)。

2023.10.13 面談

中野さんと面談。「せっかち」というネタで書籍になりそうかどうかを話し合いました。

  • せっかちってどんな人?

  • せっかちをポジティブに捉えてみると?

  • せっかちを仕事に活かすための提案は?

  • せっかちな人が仕事で得することは?

  • せっかちな人が身につけたいことは?

  • せっかちだからこそ気をつけたいことは?

  • せっかち式仕事術あれこれ

中野さんが項目案を出してくださったおかげで、要点をどんどん抽出することができ、すぐにこれは行けそうかも…という手応えをつかむまでになりました。その後メールで何度か素早くキャッチボールしながら、構成の輪郭を形作っていきました。同時に、自分の行動原則やせっかちエピソードなど、思いつくことをどんどんアウトプットしていきます。

なお、本の文字数は「7〜8万字くらい」とのことでした。わずか3000字の小記事を25倍に膨らませるのか…なかなか気の遠くなる作業。ただ、こういったことは普段の仕事でも普通にあること。年末年始をはさむ忙しい時期ではありますが、「計画的に取り組めば、時間に追われずにやりきれるだろう」という自信はありました。

2023.11.10 企画会議

企画が通過し、出版が決定!発売時期も決まったので、逆算していまから2.5ヶ月(1月いっぱい)でいったん書き上げようと、この段階で強く意識しました。会議で出た意見も共有していただき、いよいよ動き出すのだという実感となりました。

  • 「落ち着きがない」「じっとしていられない」など、読者に当てはまりそうな言い回しをさらに増やせるといいかも

  • 「せっかち」はなぜ仕事が早いのか?を分析する項があってもよさそう

  • 「せっかち」にネガティブなイメージはない。むしろ、「仕事ができる人はせっかち」というイメージ

  • 世の中「せっかち」よりも「のんびり」している人のほうが多い気がするので、「せっかちに学ぶ」みたいな出し方もできるといいかも。「せっかち」以外の人にも読んでもらえるような建付けに

  • 「仕事術」の話をもう少しボリュームアップしてもいいかも


2. 執筆

実施が決まるとせっかち特有の「逸る気持ち」がボコボコっ!と湧き上がります。今回は、これまでに感じたことのないレベル…。僕のせっかち性は、基本的に以下のような心理状態になります。

早く終わらせたい!
後回しにするのが不安!
時間をムダにしたくない!

とにかく初速である程度進めてしまおう、と考えるのが特徴です。この段階をクリアすると、不安から解放されてじっくり取り組むことができることはよくわかっているので、即行動に移していきます。まずは、これまでやりとりした構成をベースにするため、執筆環境を共同編集できるGoogleドキュメントに移動。書いた文章をコメントでチェックいれていただくようにしました。環境を最初に構築することは今後の効率に影響するのでしっかり行いたいものです。

2023.11.16 サンプル原稿作成

中野さんからは「いったんサンプル原稿(1000文字程度)を書いてもらえますか」とのことでしたが、すでに逸る気持ちが体じゅう巡ってしまっている僕は、過去のX投稿やnoteまとめの記事を総ざらいして、見切り発車的に片っ端からドキュメント上に落とし込んでいきました。すると、初日にいきなり10,000字以上のストックを引き出すことができました。中野さんから「さすが、早いです…!」の一言をいただき、序盤から自分の行動・相手からの反応などからの小さな満足体験を積み重ねることで、エンジンを加速させていきます。

1週間後にはサンプル原稿1つと、全体を見渡してひとまず書けそうな内容を入れた状態で提出。ここまでずっとそわそわした状態だったのですが、この時点で少し落ち着きを取り戻しました自分自身はもちろん、相手に対しても全体像を早く掴んでもらいたいという気持ちもあるので、最初の段取りをいかに早く行って、「安心する」に持っていくことは、せっかち式の重要ポイントでもあります。そして、スタートダッシュをかけることで、残りの期間がすべて「アイデアが常駐しつづける」ことになり、日々の取り組む姿勢が整うのです。

せっかちを発動していただいたおかげで、私も全体像がつかみやすいです!

中野さんのメールより

2023.11〜年末 ひたすら執筆

軌道に乗った感触が得られたので、ここからは年明けに向けてひたすら筆を進めることにします。実作業は以下のようなやり方で進めていきました。当初設定した2.5ヶ月という全体スケジュールだけでなく、半月で20,000字、年末までに35,000字と、何段階か中間ゴールを設定し、常に手が届くところに目標を定めるようにすればモチベーションも維持できます。

  • 朝活の時間を中心に書く

  • 項目を洗い出してから詳細を書く

  • ざっくり書いて、何度も塗り直すように書く

  • 移動中や休憩中にちょっとでも進める

  • 集中するときはカフェで

  • 寝る前は書かない

  • 書いたらいったん寝かせる

  • 意図的に休む

このあたりの詳細は、本書に詳しく書いてありますのでぜひ。脳が元気なときに書く、邪魔が入らないようにするなどを意識するのですが、仕事や趣味や睡眠時間を犠牲にしない、というのも本書の重要なポイントです。普段は無意識にやっているのですが、今回の執筆に当たっては「自覚」しながら日々過ごすことになりました。焦りを回避し、集中力を維持することによって、平常心も保たれます

2024.1〜 原稿の内容や構成について調整

年が明け、執筆の進行は順調に進んでいましたが、フィードバックをいただくなかで、自分の文章のアラや構成のちぐはぐさがどんどん出てきました。各テーマをわかりやすく伝えるための大事な要素(原因と結果、その理由やメリットなど)がしっかり書ききれていない箇所があちこちに。これは、書き急いでいることの弊害であることは自覚できます。また、同じような内容を繰り返していたり、どの章に入れたらいいかわからなくなったり、迷路に入り込んだ感覚は何度もありました。「迷い」「決断できない」はせっかちな人にとってのストレスポイントです。ここは、自分自身とてももどかしい気持ちでした。

そんな状態の中でも、コメントにはすぐ反応して、呼吸を止めずに常にレールを走っていることを意識しました。あれこれ悩みながらの執筆でしたが、「これは内容的には微妙かな」と思っても、ひとまず書いて判断を仰ぐことにしました。結果ボツっても、早めに失敗しておけばダメージが少ないのです。実際に相当の文章量をカットすることにもなりましたが、「せっかく書いたのに…」という気持ちは一切ありませんでした。よい方向に向かうための取捨選択はサッパリしますし、妥協できるのもせっかちの長所です。

構成の見直しは、校了になる4月22日まで細かく行いましたが、その間ずっと、中野さんからは的確にフォローいただいて大変ありがたかったです。指摘いただいた箇所は、あらためて書き直してみると修正前に比べて格段に説得力があがっていました。

精度向上、方向性の見直し、章の分割や移動、ボリュームアップなど、全体を見渡す「編集視点」は、今回の執筆経験の中でも最も勉強になったことです。自分の仕事でも活かせると思い、気づいたポイントはメモにまとめたりしました。

2024.4.24 校了

3月上旬の初校ゲラ、4月上旬に再校ゲラの確認作業を紙ベースで行い、4月24日に念校チェックして、校了!
振り返ってみると、終盤にクオリティを上げていくステップは一番大変でした。それは、どの仕事においても同じでしょう。ただ、先走って執筆を進めていたことにより、クオリティを向上させるための時間をしっかり確保できたのは、まさしく本書のテーマに合致した点です。我ながら「早めに進めていてよかった…」と感じました。


3. デザイン・イラスト

2023.12.7 装丁デザイナーさん決まる

装丁デザイナーさんは田村梓さん(ten-bin)。ビジネス書~実用書まで幅広くデザインをされている方で、田村さんがデザインされた本を何冊か所有していたこともあり、ご一緒させていただくのは本当に光栄でした。これまでの著書・共著で装丁に関わることはなかったので、こうして打ち合わせから参加できて嬉しかったです。
今回の本ではイラストを使いたいなと思っていました。エルのサイトや名刺でも僕やメンバーのイラストを描いていただいている住澤みかげさんにお願いすることに。ワクワクするようなデザインチームが発足しました。

2024.1.10 本文デザイン打ち合わせ

本文デザインのイメージのすり合わせ。表紙については後日ということでしたが、せっかく顔合わせしたのでアイデアのヒントを頭の片隅においてもらえたらと思い、「せっかちな感じってどんなイメージ?」など、その場で思いついたアイデアを出しました。最終的にタイトルで採用された「手書き文字」のアイデアも、このときに出したものです。

2024.1.19 本文デザイン案

田村さんから本文デザイン案があがってきました。せっかちな人でもバーっと一気に読める行長、余白感や強調のデザインが、とてもいい感じでした。特に左方向へ向かう「←」の罫線のあしらいが、この本ならではのスピード感ある装飾で素敵だなぁと思いました。
提案いただいたデザイン案については、吟味して選ぶというより、パッと見で受ける印象を大切にしました。手に取った瞬間どう見えるかが大事です。

2024.3.8〜4.18 イラスト制作

中野さん、田村さん、住澤さん、僕の4人でイラストについての打ち合わせ。事前に中野さんのほうで「ここにイラストを入れたい」リストを作っていただき、約20点描いていただくことに。

自社サイトのテイストを踏襲するということは決めていたので、「せっかちさをどう表現するか」をテーマに話し合いました。僕からも、机に向かう様子、メガネのくるくるあしらいなどいくつかオーダーしました。

できあがったイラストは、楽しい雰囲気でコミカルさもあって、まさにイメージ通り。どのイラストも、せっかちの特徴や仕事術のポイントを的確かつ楽しい感じに仕上げていただき、見ていてついつい笑顔になってしまうものばかりでした。本の内容をさらに深く印象づけてくれると思います。ほんとうにありがとうございました!

今まで描いた中で一番、効果線と走っている人を描かせていただき、自分の絵がこんなにアクティブに動くことができるのかと自分で驚きました。

住澤さんのメールより


2024.3.22 本のタイトル決定

編集部内でのタイトル会議にて、『せっかち式仕事術』に決定。複数案あったのですが、僕も中野さんも「やっぱりこれが一番」と思っていた案なのでホッとしました。同時に、中野さんのほうでサブタイトルや帯コピーなども複数案考えていただいており、このあたりの訴求をどうするかで、営業にもかなり影響とのことでした。実際の告知の際、「帯に書いてあることが全部当てはまったので買いました」という声があって、感激しました。

2024.4.8 表紙デザイン案

田村さんから表紙のデザイン案が送られてきました。色違い・デザイン違いで複数ご提案いただいたのですが、どれも素晴らしくて…。今回、自分が一番「迷った」場面でした。「即決」はせっかちの特徴ではありますが、唯一せっかちが発揮できなかったといえるでしょう…。

最初、黒1色のイメージだったのでA3、A4かなと思ったのですが、住澤さんがイラストにいれてくださった黄色を見ているうちに黄色って「逸る気持ち」を表している気もして(黄信号的な…!?)も気になり始めました。ぱっと見の訴求力もありますね。
B1の手描き文字もよいですね。Cは、イラストの色が揃ってるところ、イラストとタイトルの配置感好きです。

うーーむ!迷います笑(せっかちなのに笑)

僕からのメール

結果、自分から「これがいい」とならず、中野さん、編集部・営業的視点で最終案が決まりました。実際に書店に持っていってシミュレーションしてくださったり、書店員さんに聞いてくださったりしたそうです。4月11日、表紙のデザインが決定しました。


2024.4.18 表紙、帯の色校正届く

表紙と帯の色校正が届きました。タイトルまわりのUV厚盛り加工や特色(蛍光イエロー)もすごくいい感じ!


4. 発売に向けて(告知・販促)

2024.4.19 価格と部数が決定

価格:1500円+税(税込1650円)
初版部数:5000部
となりました。

2024.4.25 予約スタート

4月24日に校了し、印刷へ。25日にはAmazonなどで予約スタート。GW前に事前告知しようということだったので、XやFacebookでリリース。フォロワーさんも次々と反応してくださり、この日だけでけっこう予約が入ったそうです(ありがとうございます!)。

みなさんの「すぐ予約」には感謝しかありません…!

中野さんのメールより

ちなみに、プロモーションについていくつかのタイミングで投稿する計画をたてました。その際にもスプレッドシートでまとめ、今後も含めて利活用できる土台を作っています。

2024.5.2 noteで紹介いただく

「noteがきっかけで書籍化された本」を紹介するまとめ記事に紹介いただきました。noteというプラットフォームのおかげでいろいろまとめ記事を発信したくなったので、感慨深いです。


2024.5.10 見本誌到着

出版社から見本誌(10冊)が届きました!実物といよいよご対面。凹凸ある紙でとてもよい手触り。そして、イラストのスミ部分にUV厚盛り加工、アクセントで使用している黄色は蛍光で印刷されていて、田村さんのこだわりが詰まった仕上がりです。ぜひお手に取っていただきたいです。


2024.5.16 ポッドキャスト出演

カメラつながり・デザインつながりの一神友郎さんが運営しているポッドキャスト「イチゴカメラ」に出演させていただきました。冒頭で、本のことに触れています。


2024.5.22 配本

そしてようやく、発売日を迎えました!発売の告知。

たくさんの知人やフォロワーさんから「買いました」「読みました」の連絡をいただきました。泣けるほど嬉しい…!少しでもお役に立てれば幸いです。


2024.5.22 プロモーション用サイト公開

4月上旬、中野さんとプロモーションについて打ち合わせをしているときに、プロモーションサイトってどうだろう?という話題が出たので、その日のうちに「sekkachi.jp」ドメインを取得。WordPressのデフォルトテーマでがちゃがちゃと中身をいじって正味1日で作りました。発売日と同時に公開。


2024.5.23 #せっかちあるある 聞いてみたい

Xで #せっかちあるある 募集してみました。執筆にあたって自分や身の回りの人からのせっかちネタ収集。みなさんの知りたいです。

いただいた例
・(本書が届いて)家に入る前に開封
カップラーメンが常に固い
推理小説の情景描写はほぼ斜め読み
話を聞いている最中、オチがつく前に笑ってしまう
エレベーターの開閉ボタン押しがち
改札まで遠いのにSuicaスタンバイしてる
とりあえず来た電車やバスに乗っちゃうから方向とか違ったりする
ちょっと高くても即日配送・翌日到着の機材屋さんを選ぶ
無駄に早起きしたり(結果的に朝活になる)、集合時間に1時間前についたり(写活になる)

Xより

2024.5.25 本note公開

僕は事あるごとにnoteにまとめ記事を書くようにしています。今回も「この本ができるまで」を書くつもりでいましたが、自らの「せっかち式」をどのように実践したかを織り交ぜたのは自分自身のよい振り返りとなりました。


おわりに

今回このようなご縁をいただいたのは、3000字程度の小記事を見つけてくださった小さな奇跡からはじまりましたが、偶然や奇跡も「動いてこそ」だと思っています。これが「たまたま当たった球」なのか、「自ら打った球」なのか。振り返って客観的にみつめなおすことで、後者の「再現性あるもの」になっていくものと信じています。

自分の仕事のすべてを書いた著書を通じて、自分自身を高めていけたらと思います。

本やnoteをご覧いただいた皆様、ありがとうございました。よろしければ感想・レビューなどいただけると泣いて喜びます!


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