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⭐️ライティングワークショップ書いてみた②⭐️

抜け殻


庭先で今年初めて蝉の抜け殻を見つけた朝

「今日は風がないねえ。」

居間に戻ったわたしが曇天の窓の外を眺めて言うと
「ほんとですね!なんか、気味悪い。。」
と、彼が言った。

「あー、お化けとかでそう?」
と、わたしがニヤリとすると
「それはイヤっす! オバケはイヤっっす!
プレデターとかエイリアンとかは好きですけど。。
あ!そういえば今年エイリアンの新作が出るって知ってます? エイリアンって実は中に人が入っていて、すっごい細身の人を、役者さんを探してきて入るんですけどそれがすっごい中が苦しいらしいんですよ。だから、、、、」

と、溢れ出すウンチクを流れるままに勢いよいく喋り出す。

早口やなー。

ようやく一息ついて、彼はコーヒーを一口のみ、カップに目を落とすと

「このコーヒー おいしい。」

と、大きな身体で小さくぽつりと呟いた。

「やろ?よかった。 焙煎してくれた友人も喜ぶわ。ありがとう。」
「はい!お礼言っといてください!!」


ああ、丁寧にコーヒーを淹れてよかったな。

沸かしたてのお湯でカップとドリッパーを温めて、20数えて蒸らして、ゆっくり細くお湯を注いで、カップは両手で差し出して。

自分一人の時とは違う淹れ方。

「ごちそうさまでした。」

それから15分後、彼はこのシェアハウスを後にした。

埼玉から迎えにきた、せっかちだという母親にせき立てられるようにして。
彼が居なくなって、がらんとした部屋には忘れ物の充電コードとイヤホンが残されていた。
畳の上には折り目のついたレシート。
「接骨院、行ってたんや。」
そして、つけっぱなしのクーラーを切りながら
「またかいな。」
と呟き、わたしは窓を開けた。

蝉が
ないている。

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