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【絵本レビュー】へいわとせんそう

こんにちは、ギタリスト・アレンジャーの原田です。
今回の動画は詩人の谷川俊太郎さんとイラストレーターのNoritakeさんの共著「へいわとせんそう」を紹介します。
最後まで宜しくお願いします。

1:ご挨拶
改めましてこんにちは、ギタリストの原田です。
普段自分はアレンジの仕事をしているんですけど、これって言ったらアウトプットにかなり寄った仕事だと思うんですよ。
アウトプットって、自分の中にあるモノを何らかの形で外に出すという作業なので、逆に言うと、自分の中に何かがなければアウトプットをするのって途端に難しくなるんですよね。
なので、自分は普段からなるべくインプットを増やすって言う事を心がけているんですけども、今回紹介する本もそんな中で出会った1冊です。

2:本の紹介
今回紹介するのは、昨年2019年3月25日に発行された、詩人谷川俊太郎さんとイラストレーターNoritakeさんの共著である「へいわとせんそう」という絵本になります。

ここでまず、この本の著者である二人について紹介しようと思うんですけど、まず、この絵本の詩を担当した谷川俊太郎さん。
(奥付を読む)
谷川俊太郎さんは1931年東京生まれの88歳。
21歳で「二十億光年の孤独」という詩集を刊行し、以来数々の賞を受賞し、詩人のみならず翻訳家、絵本作家、脚本家と幅広く活躍する日本を代表する詩人、となっております。
88歳で、まだ創作意欲が荒ぶっているってマジで凄まじいですよね。。

一方、絵を担当したNoritakeさんは1978年兵庫生まれの41歳。
モノクロームドローイングを軸に広告、書籍、雑誌、ファッション、プロダクト制作など国内外で活躍、デザイン、ディレクション、作家活動も行う、とあります。
多分絵を見て貰ったら「あー、この人か」ってなると思うんですけど、分かり易い所で言うとNHK教育テレビの「デザインあ」の制作とかもされている人です。
そしてこの二人がタッグを組んで作った絵本が、今回紹介する「へいわとせんそう」です。

3:へいわとせんそうのレビュー
僕がこの「へいわとせんそう」って言うタイトルを見た時に、真っ先に頭をよぎったのはトルストイの「戦争と平和」でした。
なので、最初この絵本はトルストイの「戦争と平和」を、谷川俊太郎さんが意訳・要約したモノにNoritakeさんが絵を付けたモノなのかな?って思ったんですけど、でも実際に読んでみたら全然違うもんでした。


まず最初にこれをお伝えしたいんですけど、この絵本は紙質が本当に素晴らしい。
絵本って手に取って読むモノじゃないですか。
それなのに一般的な絵本の紙質って、意外とそこは気にしてないのかなぁって思う本も結構多いんですけど、この絵本は違います。
光沢パール紙って言うんですかね、艶があって、なおかつ細かいキラキラとした輝きもあって、更にページをめくるとね、感触が凄く良くて、指先が喜んでいるのが分かる様な、そんな紙なんですよね。
しかも、作中でこの紙質を最大限に生かしたページとかもあったりして、紙質、と言うよりも、今このデジタル全盛の世の中で敢えてフィジカルな紙を使って出版するという事の意味や意義が本当によく考えられているなぁと感じました。

絵本の構成としてはとてもシンプルで、見開きページで「平和」と「戦争」という2つの状態がずっと対比されながら進んでいきます。
言ってしまえばただそれだけの絵本なんですけども、そこはさすが谷川俊太郎。
ちゃんと読者の期待に応えながらも、きっちり裏切ってきます。
ネタバレになるのでこれ以上は止めときますけどね。

さらに、作中に1枚だけNoritakeさんのイラストじゃなくて写真が使われているんですけど、そこまでのNoritakeさんの絵の特徴であるシンプルな線でほのぼのとした感触のあるイラストとの対比もあって、なんというか心をぶん殴られると言うか、そんな気持ちにさせられました。
そこまでずっと同じように「へいわ」と「せんそう」の対比が続いていて、読者側もそれに慣れてきて、段々と気持ちがダレてきてしまいそうになるギリギリのタイミングでこの写真が差し込まれてくる事で、一気に全体のリズムと言うか、テンション感がグッと引き上げられる様な瞬間でした。

この作品は、特にラストの方に向けて大人が読んだ時と子供が読んだ時とで全然読後感が違うと思います。
多分、子供がこれを読んでも「なんでー?」ってなっちゃうと思うんですよね。
でも、大人がこれを読むと、その詩とイラストの本当の意味をちゃんとイメージする事が出来るので、読んだ後に物凄く色んな事を考えさせられるし、「おぉ〜〜〜〜〜」ってなるんじゃないかなと思います。
谷川俊太郎さんは、以前から「絵本って言うのは子供だけが読むモノではないと思うし、大人が読んではいけないモノでもない」と言う事を言っていたので、この絵本もそう言う考えの基に作られた絵本の1冊だとは思うんですけど、正直、これはちょっと大人向け過ぎて、逆に子供が読んだ時にどこまでだけ何が伝わるんだろうかと言うのが、ちょっと僕には想像が難しいですね。
もし、子供がこの作品を読む場合には、読んだ後に大人がその意味をちゃんと解説する必要があるかなと思いますけども、例え大人がその内容をちゃんと解説したとしても、子供側がそれをちゃんと理解出来るか?と言うと、ちょっとね、正直疑問は残ります。

ただ、さっきも言った通り、大人が読むと滅茶苦茶色んな事を考えさせられるんですよ。
色々な考え方はあると思うんですけど、僕は芸術というのは何か絶対的な答えを提示すると言うモノではなくて、それを鑑賞した人に何かを考えさせる余地ってのがあって、それを考えるきっかけを与えるトリガーの様なモノだと考えています。
その意味で、この絵本は十二分にアート作品だと言えると思いますし、そう言う「きっかけ」みたいなモノをちゃんと与えてくれるのって本当にありがたいなぁと思います。
今のご時世、指をちょっと滑らすだけで簡単に答えに辿り着けてしまう世の中ですけど、敢えて明確に答えを与えないモノってのはこの世の中では逆に凄く価値があると思うんですよ。
そう言う意味で、この「へいわとせんそう」は滅茶苦茶お勧めです。
こうやってわざわざ動画にして紹介したいと思うくらいにはお勧めですねw

4:まとめ
と言う訳で、今回の動画では谷川俊太郎さんとNoritakeさんの共著「へいわとせんそう」について紹介してきました。
僕は普段からそんなに絵本を読んでいると言う訳ではないんですが、それでもこの作品を手に取った時にそのままレジに持って行ってしまったくらいにはグッと来ました。
この本の奥付を見ると(奥付を見る)2019年3月25日に第1版が出版された後に、2019年12月15日、つまり9ヶ月後にはなんと第11版が出版されています。
僕はね、この作品の事を全然知らなかったんですけど、多分去年めちゃくちゃ売れてたんでしょうね。
でもまぁ、実際に読んでみたらそれも納得って言う感じです。

僕は普段漫画をよく読むんですけど、未だに好きな作品に関しては電子書籍じゃなくて紙の漫画を読んでいます。
電子書籍って、滅茶苦茶便利だし、スペースも取らないし、買ってすぐに読めるしで凄く良いものだなぁと思うんですけど、紙の書籍が持つフィジカル感、指先で感じる紙質、めくると言う行動自体がもたらす感覚というのはまだ電子書籍では及べてないなと思っています。
なので、多分これからも僕は、電子書籍と紙の書籍を併用していくのかなぁと自分では思っていたりします。

今後もまた、こう言うちょっと役立つ様な動画とかを上げていこうかなと思っているので、もし良かったらチャンネル登録や、グッドボタンの方を宜しくお願いします。
また、こんなことを取り上げて欲しいとか、これが良く分からないと言う事があったら、コメントの方に残して貰えたら凄く嬉しいです。
それではまた、別の動画でお会いしましょう。
ここまでご覧頂き本当にありがとうございました。
ではでは〜!

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