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ウエスト・サイド・ストーリー(2022:スピルバーグ版)を観た

ネタバレしますので、観ていない方はご注意
※画像は映画.comから引用しています

お恥ずかしながら。
オリジナル(1961)版を観たことがなかったので、スピルバーグ版が初見。劇中に出てくる歌のいくつかは、どこかで聞いたことがあるし海外ドラマ「Glee」でもカバーされていたのでほんの少しだけ知っているレベル。
あらすじも、NYで対立するギャング版ロミオ&ジュリエット、というくらいの知識レベルで特に予習もせずに映画館へ。

個人的に良かった点

  • 画面がカラフルで印象的、ミュージカルシーンはパワフル

  • 登場人物が等身大に感じた(例えばラテン系の人物を同じラテン系が演じていたからだろうか)

  • しかしアンセル・エルゴートは別格だな、だのに歌が上手ですごい

  • 再開発が進むNYの街並がリアルでわくわくした

個人的におや、と思った点

  • やっぱりラスト、あっけなさすぎでは

  • 男子たちの印象が女子に比べて薄い(のはわざと?)

歌のおかげもあるかもだが、2人が出会うシーンやデートのシーン、会えない間に相手のことを考えるシーンは素敵だった。曲、歌詞、歌唱力、そして映像。お互い頭の中がお花畑になっているところもよかったと思う。浮かれて、他のことは何も考えられない感じが。
そして、曲も歌い手もよかった。曲は冒頭から、オリジナルを知らない私はディズニーランドみあるなと終始思っていた。

スピルバーグがミュージカル、しかも恋愛映画とな

スピルバーグは、私のなかではとても振り幅が広い監督という印象だ。
未知との遭遇、ジョーズ、ET、インディ・ジョーンズ、ジュラシックパークなど、誰もが知っている名作を撮ってきたヒットメーカー。また、これらアクション・SF作品以外にも、シンドラーのリストやプライベート・ライアン、リンカーンやブリッジオブ・スパイなど、明るい題材ではない(例えば戦争など)ヒューマンドラマ系作品も多数監督している。

ウエスト・サイド・ストーリーは、恋愛要素もあるが分断がテーマの作品だ。分断がゆえに対立が起こり、やがてそれが悲劇を招く。良い作品は何度もリメイク・リバイバルされるものだが、スピルバーグは、この作品を今この2021年に蘇らせる理由があると思い、ミュージカル映画を撮ることにしたのだろうとどこかのインタビューか批評で読んだ。この作品を通して、彼のルーツでもある分断、争い、それが起こす悲劇をあらためて皆に伝えたくてこの作品を撮ったのだと。

アメリカは、人種の問題だけでなく大統領選挙などの様子からもわかるようにまさしく分断されてしまっている(ように見える)。そして世界も、いろんな国でリベラル派と保守派の対立がより鮮明になっているように感じる。分断は、まさしく今を象徴するワードになってしまった。

そういったものを、うまくエンタメの映画に落とし込むのがスピルバーグはとてもうまいと思う。

最後、あっさりしすぎじゃない? 問題

そんなスピルバーグだけど、恋愛映画ってあんまり印象ないよね、というわけで。そう、この作品もラストがあっさりしすぎなんだよ。。トニーがあんなことになったのにマリア。。。あれは悲しみを抑えるとか隠すとかじゃなくて、本当にひと仕事終わった感出ちゃってるよ。

最後だけ急に「映画」から「舞台」に引き戻されて、演者が袖に下がって幕が下りていくような、そんな印象だった。せっかく色々とスピルバーグ劉に改変したのなら(オリジナル版観てないから知らんけど、たぶん)、最後ももう少し手を入れればよかったのになあという感想が拭えない。のがちょっと残念だった。駆け落ちしようとしてたのに、あなたたち。。。と恋愛映画をあまり観ない私ですら思ったよ。。。

女子が現実的、強い、たくましい

女子はいつだって現実的である。Americaの歌詞で現実をつきつけてくるのは男子だが、それをわかったうえで憧れと折り合いをつけてこの地で生きていくと決めているのだ。故郷にいつか帰りたい、ここから出たいとぼんやり夢を見てる男子とは違うのだ。

シマだどうだとか、決闘がどうだとか、いつまでも不良ごっこをしている男子たちとは違い(彼らは彼らなりに真剣なのはわかる、つもり)女子は生活し稼がないといけない。ベルナルドだって、彼女のアニータに食わせてもらっている始末。この、女子を強く、そして現実的に描いている表現はスピルバーグの意思なのか、脚本家の意思なのかはわからないがとても共感。そう、明日も稼がないと、生きていかないといけないのだ。
(そういう意味では、トニーはそれをわかっており地に足つけた生活をしていたのにあんなことになってしまったんだな。。。不憫)

マリアもそうだが、特にアニータは役者さんの、人としてのはじけるようなキラキラした生命力が画面からも感じられてすごかった。役柄もあるが、良い役者さんだなと思っていたらやっぱりアカデミー賞で助演女優賞を受賞していた。作中の黄色いドレスも、授賞式の赤いドレスもとても似合っていた。

というわけでメモはここまで。配信始まったらまたゆっくり観ようと思う。しかし、オリジナル版みたいなと思ったのだがどこの配信サービスにも載っていない。ツタヤが撤退しまくっているいま、どうやったらクラシックな作品を見ることができるのだろうか。。。



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