左官職人の働き方 自由な働き方をつかむために

働き方に関して、良くフリーランス(個人事業主)は自由、社員は不自由、と聞きます。
必ずしもそうでしょうか?
今回は左官職人においてのフリーランス、社員の働き方について、それぞれのメリット・デメリット、私なりの考えをお伝えします。これは職人として技能を身に付けてからの選択肢というのが前提の考え方になっています。

  1. フリーランス=個人で働く

  2. 社員=会社に所属する

  3. できる職人になってからの選択肢

フリーランス=個人で働くことのメリット
個人で働く場合のメリットは、自由度が高くなることです。
スケジュールの組み方、働く時間がある程度自分で組めることです。もちろん左官は専門工事業なので、自分が元請であることは少なく、自分だけのスケジュールで全て予定が組めるわけではありません。しかし、個人事業主であれば自分が社長なので、自分の働きたいようにスケジュールを組み、左官の中でもやりたい仕事を選ぶことが出来ます。

個人で働くことのデメリット
個人で働くことのデメリットは、収入の安定が低くなりがちなことです。
自分のつながり・営業範囲で仕事がなければ、休みになってしまいます。この先も必ず仕事が約束されてないというのが個人であることの大きなデメリットです。
また、左官仕事以外の事務作業も当然自分で行うか誰かに頼まなければなりません。意外と負担です。

個人事業主というと自由気ままなイメージもありますが、自由気ままに動けるように基盤を作るまでは目標に向かってかんばる必要があります。
次の仕事のための営業(お付き合いも含め)なども行う必要があるため、一人でコツコツやるというよりは狭くても自分のコミュニティーが作れる、どこかのコミュニティーに飛び込める人が向いていると思います。

自由というのはメリットでもデメリットでもあるかと感じます。
自由をうまくコントロールできる人(自分を律することもできる人)は個人で働くというのはものすごくメリットです。
自分が職人でもあり、社長でもあるので、だらけてばかりの人は向きません。しかし、働き過ぎて体を壊すまでやってしまうという人もいます。
自分をコントロールできない人は難しい働き方かもしれません。

社員=会社に所属して働くメリット
会社に所属して働く場合のメリットは安定した収入と福利厚生です。社員であれば今となっては当たり前のことですが、ちょっと前の建設業の職人という働き方だと安定収入があるというのは大きなメリットでした。
会社に所属し社員になると、給与や手当が安定して得られるため、生活の安定感があります。また、健康保険や年金制度、社会保険などの福利厚生もあるので、雨で休みでも、現場都合で休みでも、コロナウイルスのような社会的?大きな変化があっても基本的には収入があります。(会社によってさまざまかもしれませんが)

会社に所属して働くでメリット
会社に所属して働く=社員になって働くことのデメリットは仕事を選ぶことが出来ないことです。基本的には頼まれた仕事、頼まれた現場に行って働きます。自分の好きな仕事を選ぶ、働く日を自由に選ぶというのは建設業の職人だと柔軟に働ける部分は少ないかもしれません。
(責任や立場がある人であればあるほど)
また、組織に所属するというのは大なり小なり人間関係のいろいろなことに巻き込まれやすいです。競争や派閥、色恋沙汰など人間同士のことを挙げればキリがないです。自分の上司の顔色を窺わなければいけないこともあります。
組織である以上、そういういわゆる面倒くさいことも多々あります。

できる職人になってからの選択肢
あくまで、技能を身に付けてからの選択肢になりますが、できる人であれば、どこにいても求められます。
それがストレートに言われたり、間接的に言われたりと伝わり方はさまざまかもしれませんが、「できる人」であれば、頼みたい、いてほしい、と思われます。特に今の左官職人不足の世の中であれば、コツコツやっていれば評判や紹介などでより良い場所、自分にとって最適な場所を見つけるチャンスが多くなってます。
個人事業主、社員という2極がこの話のスタートでしたが、「できる人」であればそれ以外の自分の働きやすい選択肢を選ぶことが出来るのではないかと考えます。

個人であれば、営業しなくても自分が一緒に働きたい人、やりたい仕事、一緒に働きたい工務店さんと付き合っていくことが出来る。付き合いや広がりの中で自分に合ったものを選びながら働いていく。好きに働くまでには時間がかかるかもしれませんが、時間をかければできる働き方だと思います。
また、「できる人」であれば仕事を頼まれるので、個人事業を確保しつつ、大手の左官の会社などに外注として所属して働くこともできます。
個人事業50%、大手左官の仕事50%みたいな人は結構います。
個人で自分が働きたい日数をスケジュール調整も含め100%埋めるというのは結構大変です。それを個人で取った仕事をやりながら、空いた時は大手の左官の仕事を手伝いに行くことで働きたい日数を確保するというのはうまいやりかたです。

社員であっても、会社の中で確立されたポジションがあれば、やってみたい仕事に社内公募(アピール)することでチャンスをつかむ、社外の仕事でも特別にその時だけ休みをもらって研修に行く、他社の仕事を手伝うこともできなくは無いです。(もちろん社内調整・地ならしは必要で、それだけ発言権のあるポジションになることが大事です。)
実際当社でも志願して海外の左官講習に行った人もいます。

技能を身に付けてしまえば、それを活かして自ら働くことが出来る。
どんな仕事でもそうでしょうが、左官は特にそれがやりやすい仕事です。
左官は覚えるまでは時間がかかるといわれますが、その時間をかけても覚える価値があります。

「できる人」になるには
仕事が「できる人」になるにはまず言われたことをしっかり出来ることがスタートになります。
決められたこと、決まりきったことをやるというのは面白くなく感じることもあるかもしれませんが、まずは言われたことが出来ないと信用されません。
言われた仕事を求められた通りに収める。
目の前のことを楽しんで働くことが次につながる。

言われた以上にきれいに仕上げたり、より良い提案をしたり、その中でも自由を見つけて働くということもルールを守ればできると思います。
結局はフリーランス、社員、どちらも「できる人」になれば結果的に自由な働き方が部分的に手に入れられるのではないかと思ってます。



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