原田マハ
原田マハ撮影の写真と一緒に、食にまつわる日々をつづった「MAHA FooDiary マハふ〜ダイアリー」(毎月3回配信)です。 ※掲示板でのご質問などにはお答えできません。 ご了承ください。 すべてのコメントは大切に読ませていただきます。
旅先で出会った「よろずうまいもん」を書きつづけてきた原田マハによる、エッセイ「やっぱりあれ食べよう。」(毎月一回配信)の連載です。 2022年7月末に、京都にオープンするセレクトショップ「YOLOs よろず」のお話を中心に、最近のうまいもん、忘れられないうまいもんをつづります。 ※掲示板でのご質問などにはお答えできません。 ご了承ください。 すべてのコメントは大切に読ませていただきます。
そういえば、美味しいものを食べに行くことと、大好きなアートを見に行くことは、私の中でセットになっている気がする。 美味しいものを食べて腹ごしらえをして、さて、見に行きたかった展覧会へ行こう。 美術館でアートに触れ、心を満タンにして、さあ、何かちょっと食べていこうかな。 どちらが先というわけじゃなく、そんなふうに、「あれ食べよう」と「あのアートに会いにいこう」は、ふたつでひとつになって、人生の最大の愉しみになっている。
あれが食べたい。 食べたい食べたい食べたい、どうしってっも食べったいっっ!!と、衝動的に「あるもの」を食べたくなることってありますか? 「カレー」 「ラーメン」 と思わず口に出しそうになったそこのあなた。 そうなんです。「カレー」と「ラーメン」は日本人の2大衝動的ソウルフード。 食べたいとなったらもう止められなくなるドライブ感がこの2つには確かにある。
ニューヨークから一足伸ばして、フィラデルフィアへ行ってきた。 今回の渡米の目的のひとつ、バーンズ財団を訪問するためだ。
コロナが明けた。 と言ってもいいのだろうか。いや、まだ明けたとは言い切れないのだが。 しかし気持ち的には明けたと言いたい。いまや、「ステイホーム」がまぼろしのように思える。 そもそも「コロナ明け」って奇妙な言葉だ。2020年以前には存在しなかった言葉だし。 「コロナ」と「明け」が合体して「コロナ明け」。見れば見るほど不思議な言葉である。
アメリカ、ニューヨークとフィラデルフィアへ行ってきた。 海外から日本へ入国する際の規制が緩和され、海外旅行が以前のようにかなりスムーズになった。ひさしぶりのニューヨーク、日本人観光客もたくさんカムバックしていることだろう。 と思いきや、本当にまだまだ全然、だった。 コロナも完全におさまったわけじゃない。すぐに「コロナはなかったことにして」というわけにはいかないのだろう。
神保町で人気の中華料理店。 京都から来た「YOLOs グルマンズ」ボードメンバーのT君と、表具師でDJのM君。 3人でお昼をしに来た。
おいしそうなオノマトペって色々ある。 ・コトコト > シチュー。冬の日の幸せ。 ・ふわふわ > かき氷、もしくはパンケーキ。 ・トロトロ > チーズ。ピザとか、ハンバーグにかかっていてほしい。 ・サクサク > ミルフィーユ、アップルパイ。 ・モチモチ > ベーグル。クリームチーズやツナをサンドして。 ・シャキシャキ > サラダ。フレッシュでさわやか。 ・カリカリ > 揚げたてのポテトチップス。
いつも旅をしている。 という言葉を、作家になってから十数年のあいだ、専売特許の枕詞のように文頭に置いて、エッセイを書きつづっていた。 それがこの2年間、すっぽりと消えてなくなった。 異常事態だった。旅をしなくなるなんて。いや、旅をしてはいけなくなるなんて。 旅どころか、外食もダメ、帰省もダメ。移動自体がダメ。 マグロとして生きてきた私には、生きづらい世の中になってしまった。 (注:マグロは常に移動していて止まったら死ぬと言われているらしい)
最近、パリやロンドンのモダンキュイジーヌを席巻しているのがこの言葉。「DASHI」そして「UMAMI」 日本人ならこの二つの言葉にすぐにピンとくるはず。だって子供の頃からかつおや煮干しや昆布の出汁(だし)で育ってきたんだもの。
リンゴひとつで、パリをあっと言わせてやる。 なんのこっちゃと思われるかもしれないが、画家、ポール・セザンヌの言葉である。 このフレーズには印象的な単語がふたつ、使われている。 「リンゴ」、そして「パリ」。 誰にでも手に入れられるくだものと、すべての画家が憧れる芸術の都。 極小と極大の対比が、このフレーズを際立たせている。
ショック。 久しぶりにこの言葉を使った。 そりゃあ生きていれば「え?!」と思うことはたまにはある。いや、結構あると言ってもいい。だけど「ショック…」と口に出した記憶はあまりない。 なぜだろう。 きっと「ショックだけど、どうにかするしかない」と、いつもすぐに前向きにとらえるからかも。それで結構、どうにかしてきた人生だった。
月まで3往復半。 ってどのくらいの距離なんだろう。 まったく想像もつかないが、半端ない距離であることだけはよくわかる。 実際に月まで3往復半した人類はそうそういないはずだが、このフレーズを自己紹介の際に決まって使っている人がいる。 私の友人、岩井俊介さんだ。
たての会。 と聞いて、三島由紀夫を思い出したそこのあなた。かなりの文学通とお見受けいたします。 しかし、我が「たての会」は三島由紀夫とは0.1ミリも関係のない会である。
あなたにとって、いちばんおいしい食事とは、どんな食事? と聞かれたら、私はこう答えるだろう。 「おいしい!と大きい声で言い合える友との食事」
パリに帰ってきた。 時差ボケ解消に一番いいのは、ワガママな寝方なんだそうだ。眠たくなったら寝る、眠くなければ起きていればいい…と書けば簡単なようだが、これができる人が世の中にどれくらいいるんだろうか。唯一できるのは3歳児くらいだろう。海外旅行者の多くの場合は、到着した日に食事の約束があったりとか、観光スケジュールを詰めっつめに詰めちゃって、なんとか眠ろうと思っても真夜中に目が覚めてそれっきり、翌日はフラフラで観光なんてことになってるんじゃないかと思う。
舌壁。 という文字を目にして、なんと読む? 「したかべ」と思わず訓読みしてしまったそこのあなた。修行がまだまだ足りませんな。 ってなんの修行だと突っ込まれるかもしれませんが、美食道(グルマンどう)の修行です。 そんな道があるのか? とまた突っ込まれたら、こう答えましょう。