ギャラリーのマージンについて。




作品のマージンについて定期的にSNSで話題になりますね。

YouTubeの方はnoteの内容と違うので合わせてご覧ください〜。


何度も話題になることですが作家を始めたばかりの方もいると思うのでアート業界の通例を見つつ改めて考えていきます。


貸ギャラリーと企画ギャラリー


ざっくりとギャラリーには貸ギャラリーと企画ギャラリー(コマーシャルギャラリー、プライマリーギャラリーとも言います。)の二種類があります。他にもセカンダリーや画廊と銘打ったものもあるけど一旦省きます。


貸ギャラリー


貸しギャラリー、もしくはレンタルギャラリーはその名の通りギャラリーを1週間ないし2週間単位でお金を払ってレンタルします。

価格は様々で東京の銀座のような一等地であれば10万円~数十万円まであるでしょう。地方都市や地方ですと多分安くて5万円くらいから大体10万円前後だと思います。広さはそれぞれ、そして作品を売買した際のマージンもそれぞれですが、一般的には20%~30%だと思います。中にはマージンがないところもあります。


企画ギャラリー


企画ギャラリー、プライマリーギャラリー、コマーシャルギャラリーというのは基本的には場所代が無料です。その企画内容はギャラリー側から声をかけたり作家から持ち込んだ企画だったり様々です。

そして作品を売買した際のマージンはほとんどが~50%だと思います。


上記の二つの種類のギャラリーがあり、他にもデザイン会社併設のギャラリーやカフェやBAR、美容室が併設されたものなど最近は多種多様なギャラリーがあります。


結論から言って、マージンが高いと思うならそのギャラリーではやらない方がいいし、納得できるならやればいい。

それに尽きるのですがちょっとそれでは話が終わってしまうのでもうちょっと突っ込んで考えてみます。


SNSの登場がギャラリーと作家の構造を変えた。


何故、マージンが高いと思うようになったのか、というと作家個人がSNSを使って自分自身で発信ができ、自分自身にファンや顧客を作れるようになったからです。


それまでは美術作家が発信できる場所はギャラリーくらいしかなかったからだと思います。


では現在、SNSでファンや顧客を作れるようになった時代に作家がギャラリーで個展や展示をやるメリットはなんなのか?


手っ取り早く言うと、自分の顧客だけで生計が成り立つ、もしくは利益を最大化したいと思うのであればレンタル料が安く、極力マージンが取られないギャラリーで展示をするべきです。

その代わり、お会計や梱包発送などを全て自分一人でやることになります。
その負担を許容できるのならそれでいいのです。例えば浮いたお金でアシスタントやアルバイトをお願いすることもできると思います。


ではマージンを50%取られるギャラリーで展示をやるメリットは何か?

悪いギャラリーも多々ありますがほとんどのギャラリーは誠意を持って運営されていると思っています。

作家さんにファンがつくこともあるようにギャラリーにファンがつくこともあります。しかしギャラリーは勿論作家さんがいないと商売は成り立ちません。

その為に作家さんとの信頼関係は勿論、作品を買ってくださるお客様とも信頼関係を持たなければいけません。それをオープンして一年でできるかと言うと正直難しいです。何年も何年もかけてギャラリーは作家さんを通して社会と信用や信頼を持っていかないといけません。


僕は、作家が活動を辞める以上にギャラリーもそう簡単にギャラリーを辞めるべきではないと思っています。

ギャラリーはそこで展示をしてくれた作家やそこで作品を購入してくれたお客様両方の想いを後世に伝えるべく努力しないといけないと思います。

大袈裟に聞こえるかもしれませんが、僕はそうだと思うし、自分自身まだまだ至らない部分は(アホみたいに)沢山あるんだけど精進していこうと思っています。


なので僕もギャラリーを始めた数年間はマージンを50%も頂くことが烏滸がましくてできませんでした。

しかしここ数年は50%いただける前提の上で、それだけの価値をつけていかないといけないと思っています。


作家とギャラリーとは常に相乗効果をもたらせるような関係が望ましいと思います。そしてそこに反応してくださったお客様とも信頼関係を気づくことができる"三方よし"の状態を気づくことが大事かなーと思います。(本来の三方よしとは若干違いますが・・まぁ同じようなもんかな)


とは言え今回話題になったpostをされた方がそんなことをわかってなくて発言しているかと言うと充分わかった上での発言だと思います。

弱音や愚痴をちょっと吐きたくなることなんて僕もよくある。

自分一人ではなかなか難しいけれど、作家とギャラリーが共同でその作家作品の価値を上げていくことは充分に可能です。

そう簡単なことではないけれど、もっと良い未来の為に発言するのは重要なことですね。








大阪で絵画制作や美術活動をしつつ、ARTspace&BARアトリエ三月を運営しています。サポート頂いた分は活動費やスペース運営費として使用させて頂きます。全ての人がより良く生きていける為に 美術や表現活動を発信し続けます。