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立つ鳥、跡(ちょっと)濁したい

先月末、5年勤めた編集プロダクションを退職しました。最後に感謝の気持ちを伝えられたら、と思って大好きなお店の焼き菓子と手紙を一人ずつ(と言っても社員5名の小ぢんまり会社)に渡して、私の中で一区切りついた気がする。

焼き菓子は札幌・中央区のCAPSULE MONSTERでセットを作ってもらった。マンションの一室で販売されるお菓子はどれをとっても美味。抹茶フィナンシェなんかはしっかりと抹茶の味がするし、フランボワーズのトリュフは舌がキュッと切なくなるような甘酸っぱさ。素人目(舌?)にもこりゃ丁寧に作られているんだなとわかる。

美しくシックなパッケージも相まって、ドヤ顔して渡しちゃうような素敵なギフトとなった。

手紙は有給消化期間中、一人につき一日かけてじっくりと書いた。エピソードを振り返りながらの作業は、ゆっくりとお別れをしているようなひと時でとてもありがたかった。

締め切り前のバタバタはまるで学校祭前日のような謎のハイテンションで乗り切ったこと、先輩がさりげなくミスをフォローしてくれたこと、仕事中の何気ない雑談タイムに随分と救われたことなど、些細な出来事が思い起こされ、一人一日、という時間設定は最適だった。

こういう時、手紙って本当にいいものだと思う。

書くことによって「あともうちょっと何とか頑張れたのかな」とか、「あの時こうしたら良かったのかな」なんて微かに残る未練も成仏されている気がする。

思えばどこかや誰かから去る時、ずっとこんなことを繰り返しているなあ。「別れ際にこそ人の本質が見える」と信じているので、少しだけ言葉を投げさせてもらって、ちょっぴり残り香ー願わくは良い匂いで笑ーを漂わせたらこれ本望。最後の最後、手前勝手を許しておくれ。

お別れ時の手紙、立つ鳥跡を(ちょっと)濁す手段としておすすめです。

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