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チャチャッとひとりメシ 小海老とキュウリのあっさりチャーハン

キュウリをチャーハンに入れるだなんてちょっとビックリするでしょ。意外と合うんです。きょうはそんな話。

4月中、ずっと妻とふたりで、うららかな春の陽気のもと朝・昼・晩とうちでごはんを食べていた。一度だけジャンクな味が恋しくてマクドナルドに行った以外は毎日自分たちでごはんをこさえてはつついていた。だってふたりとも仕事がなかったんだもの。節約はしなきゃいけないし、時間はあるし。でも、現時点までを振り返ると、いろいろ不安はあるけど楽しい毎日だった。

きょうは妻のアルバイト先がひと月ぶりになんやかやあって出勤日らしく朝から出て行ったので、自分ひとりで冷蔵庫の中身と相談しつつの昼メシとなった。いっそ手抜きしまくってカップ焼きそば(大好き)ぐらいでいいかとも思ったけど、いかんいかん、と、ちょっと気合を入れることに。

そこで、じゃあどうしようかと頭をひねっていると、ふと若い頃に北京でよく食べたキュウリのチャーハンを思い出した。

簡単そうに見えて手強い料理、チャーハン。

けっこう大勢の人が勘違いしていることのひとつに「ベタな家庭料理は簡単」というのがあると思う。いつも食べているあの料理は簡単で誰でも作れるから、どの家庭の食卓にもひんぱんに登場している、という先入観だ。

ところが実はぜーんぜんそうじゃなくて、思っているより難しい料理がいくつもある。個人的には肉じゃが、玉子焼、チャーハンが三大「実は難しい料理」ではあるまいかと思っている。肉じゃがは味がぼんやりしがちだし、玉子焼はうまく巻けないし、チャーハンはべちゃべちゃになりがち。

ほとんど料理経験のないビギナーが、なぜか簡単だと思い込んでこれらの料理に挑戦して、あっさり失敗して、その結果料理嫌いになってしまうという残念な成り行きが今まで幾世代も繰り返されてきたんじゃなかろうか。

なので、チャーハンを作るときは決して気をゆるめず、ひとつひとつの掟を忠実に守りつつ、全身全霊で鍋に立ち向かっていかねばならない。

じゃ、作っていきますねー。

<材料 一人前>
ごはん(冷凍をレンチン)・・・一膳
タケノコの水煮(性懲りもなく)・・・適量
小海老・・・ひとつかみ
キュウリ・・・3分の1本
卵・・・ひとつ

塩・ごま油・醤油・・・適量

キュウリのチャーハン02

具材はみんな細かく刻む。タケノコは依然として余剰在庫があるので若干量刻む。タケノコ入れると食感が楽しいし、味は邪魔しないし、量は増えてもローカロリーなのでいいことづくめ。

キュウリのチャーハン03

タケノコを炒めて、よく水分を飛ばす。そうしないと後でベチャベチャになる。小海老(桜海老だと最高)を加えてさらに炒め、香りを引き出す。

チャーハンの掟その1 あくまで強火で。

キュウリのチャーハン04

これはもう皆さん重々承知だと思うけど、チャーハンの火だけは何があっても弱めてはいけない、ぐらいの気持ちで臨んでほしい。これ、別にええやんけと思っていた時期が実は自分にもあります。でも結果何ひとついいことはない。もう、炒め始めたら最後まで一気呵成に、ジェットコースター的に仕上げるのがベスト。卵を割り入れたら、予めレンチンしたごはんをどーん。

キュウリのチャーハン05

ヘラで切りながら、同時に鍋肌にギュッギュ押しつける感じでごはんを焼いていく。そう、ヤキメシの異名はここからきている(諸説あります)。

キュウリのチャーハン06

このときも終始強火。ビビらなくても大丈夫。そんなにすぐに焦げません。パラパラチャーハンに仕上げたくば、決して火を弱めないで。

チャーハンの掟その2 鍋と火に見合ったごはんの量を。

家族が何人もいるとどうしてもいっぺんに数人分のチャーハンを炒めちゃおうとしがちなんだけど、家庭のコンロの火加減だと数人分のごはんをベチャつかずに炒めきるのはかなり難しいのが実情。もし仕上がりを優先するならば、ここは焦らず一膳ずつ仕上げるのがオススメ。

パラパラに炒められたら、塩をふり、醤油を鍋肌からさして香りを出す。コショウはお好みで。エビの香りを活かしたかったので今回コショウは振っていません。

キュウリのチャーハン08

食べる直前にキュウリを混ぜてサッと炒め、ごま油を醤油同様鍋肌から回しかければ出来上がり。

シャキシャキ食感とさっぱり風味が楽しい、キュウリ入りチャーハン。

キュウリのチャーハン09

キュウリを入れたチャーハンとの出会いは、若い頃ゆえあって北京にひと月ほど逗留していたときに、泊まっていた宿舎の近くにあった安い食堂でのことだった。そこはふつうに中国料理を出す店なんだけど経営者も料理人も朝鮮系の人で、それゆえか炒飯には必ずネギではなく刻んだキュウリが入っていた。最初は目を丸くしたけど、おずおず口に運んだところ別に違和感もなく、むしろ油っこい中国料理をさっぱりさせてくれる感じが気に入って、滞在中何度も足を運んでは食べた思い出がある。

帰国してから何度か再現を試みたけど、あの食堂の味には至っていない。もしかしてキュウリの品種が違うのかもしれないし、油や塩の量(そしてたぶんうまみ調味料の量)なんかの思いきりが足りないせいかもしれない。

で、まあ完全に別物になってはいるけれど、一応自分の料理レパートリーの中では刻んだキュウリをチャーハンに入れるのは全然アリ、ということになっている。もっとも奥さんはあまり乗り気じゃないので、こういうひとりメシのときだけ、ここぞとばかりに実践している。

キュウリのチャーハン11

今回は小海老の風味を活かしたおかげもあって、全体にさっぱりした風味に仕上がり満足。先入観を飛び越えた先に広がる新たな世界。是非お試しあれ。お気に召せば嬉しい限りです。

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