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翼をください 〜執念の羽つき餃子〜

これは、おいしい羽つき餃子に異様な執着を持つおっちゃんが、あんを混ぜるところから包んで焼くまでのさまざまなこだわりをつぶさに記した全記録です。飛行機でいうと国際線のチェックインから離陸ぐらいまで時間がかかります。果たして羽つき餃子はうまく飛び立つことができるのか? お時間と心に余裕のある方は是非おつきあいください。

何日ぶりだろう、おうち餃子。

このところ、いろいろ目新しい料理を試そうとしては中途半端な仕上がりで奥さんに悲しい思いをさせていたので、久しぶりに餃子を包むことにした。

我が家ではキャベツが100円台で買えるときは怯まずに一玉丸ごとでーんと買ってきて、日々せっせと消費する。絶対に正確な比較ができるはずはないんだけど、店頭のキャベツを代わる代わる持ち較べて、なるべく重くて中身が詰まってそうなやつを選って買っちゃう。そして一玉のうち一回は必ず、お好み焼きと焼きそばと餃子がローテで登板する。

ケータイの写真で調べたら今年に入ってからは1月5日、2月16日、3月15日までほぼ月イチで包んでは焼いてた。でもそこから今回の緊急事態も関係してかどうかわからないけど野菜が全体に高騰し、特にキャベツが値上がりして一玉500円近くまでいったものだから、指をくわえて見ているしかなかった。

最近ようやく値段も落ち着いてきて、我が家にキャベツが帰ってきた。ニラは義母の家庭菜園から引っこ抜いたのをもらえた。もう役者は揃った。

先日のカレー同様、いろいろ回数を重ねるうち我が餃子はどんどん手数が増えてめんどくさいことになっているが、どれもおいしい餃子を食べたいがためのまたしても「悪あがき」である。いくつか皆さんの参考になることもあるかも知れないので、ここに包み隠さず記したい。包むけど。

50個の餃子をキッチリ包むには……?

餃子12

うちでは「モランボン徳用餃子の皮50枚入り」を愛用しています。皮のモチモチ感、包むときの伸びがいい気がする。

つまり一回で50個包みます。

まず最初に絶対守るべき命題が餃子のあんと皮、どちらも余らせることなくキッチリ包みきることだと思う。これって実はすごく難しいですよね。

最初は具だくさんの餃子を食べたいがあまり、ついみっちみちに包むんだけど、流石に50枚もあるといつも終盤10枚ぐらいで「あれ、これあん足りなくない?」という流れになり、姑息に残りのあんを切り分けてみたりして、せせこましいダイエット餃子が出来上がったりする。逆にあんが余りすぎたときは、映画「ゴーストバスターズ」のラスボス、マシュマロマンの手足みたいな膨満餃子が姿を現すことになる。

しかし回数を重ねていくうちだいたいの量、数値がわかってきた。今回はそのあたりも記していきます。ずばり、こうです。

<餃子50個分のあんの量>
豚ミンチ・・・250g
キャベツ・・・4分の1玉
あんの合計・・・600g
一個あたりのあん・・・12g

あんの適量は600g。この分量の感覚をつかめれば50個分コンスタントに包めるようになるはず!

下味は強気にしっかり。

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キャベツは細かくみじん切りにした後、そのままでは使いません。塩を一振りしてギュッギュ握り、しんなりさせる。水気が絞れるなら絞ってもいいぐらい。お店によっては半日干して甘みを凝縮させたりもしているようです。

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こちらも予め軽く塩コショウして練った豚ミンチにキャベツを混ぜ、味つけしていきます。

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この日入れたのは、醤油小さじ2、オイスターソース大さじ1、おろし生姜一片、紹興酒適量かなあ。ちょっとぐらい濃いめに味つけをしても、焼き上がった餃子がしょっぱすぎて食べられない、ということにはなかなかなりにくいと思うので、ここは強気で。粉末中華スープの素なんかも、入れておいしくなりそうだなと思ったものは迷わず入れまっしょい。ただ、この後ニラを入れるので、うちではニンニクは入れません。

欠かせない具、干し椎茸とニラ。

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干し椎茸は旨味の塊。入れない手はない。大1〜2枚分を50〜100mlぐらいの水で戻して、戻し汁も一緒に混ぜる。ここポイント! 試験に出るよ!

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刻んだニラをイン! この日は義母の家庭菜園からシソの大葉ももらってきていたので、一緒にイン! このへんは完全に目分量。少々入れすぎたって大丈夫。たぶん。

ジューシーさをキープ、保水成分のお麩。

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ハンバーグを作るとき同様、半ば儀式と化しているのが、ツナギのお麩を砕いて加えること。干し椎茸の戻し汁などの水分を吸って、包むときにべチャーっとなりにくくなる、気がする。もしかしたらあまり役立ってないかも知れないけどやめられない。

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5〜6個を手の中で握りつぶして細かく。

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やっと、冒頭のあんの状態ができあがり。これで600g前後を目指してください。ハンドボール大ぐらいかなあ。

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12gを試しに皮に乗っけてみるとこのぐらい。いい感じでしょ? あとはひたすら黙々と包む。

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12gで包むとこのぐらいのヒダが作れます。たぶん15gまで増やすとかなり包むのが困難になってくるはず。うちでは妻の流儀にしたがって、片面フラット、片面プリーツ方式で包んでいます。この包み方のコツはちょっと伝授が難しい(ていうか未だにスピーディに包めない)。

包み終えたら、今夜は食べきれないなという分は、皮が乾燥しちゃう前に冷凍庫へ。軽く打ち粉をして密封袋に入れ、冷凍しちゃいましょう。忙しいときやおかずが物足りないときの副菜として大活躍してくれます。

さあいよいよ焼き! 羽つきのためのWステップ。

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餃子といえば羽つき。羽つきにあらずんば餃子にあらず、というのがここ十年来の風潮。ゆるふわ愛され女子、というキーワードと同じぐらい、パリパリ羽つき餃子、という言葉は巷にあふれていますよね。

うちでもそこは完全に感化されています。パリパリの羽を作るために、我が家ではふたつの粉を使用。まずはフライパンに並べるときに小皿の小麦粉(薄力粉)にバウンスさせてから並べます。

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そして水溶き片栗粉をジャーッと全面に回しかけたら、中火で途中まで蓋をして蒸し焼きに。このWステップで、皮の底はカリッと、周囲はふんわりパリッと羽がつきます。

途中様子を見てみて、膨らんだ皮が隣とくっついちゃっているところには、ごま油を流しかけてくっつかないようにするとなおグッド!

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ジュージューいう音が大人しくなってきたらフタを開けて、残った水分を飛ばしながらフライパン全体を満遍なく熱すべし。こんなふうに縁っこが剥がれて浮き上がってくるのがいい兆候。くー、きたー。

ひっくり返すの失敗した。

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きょうは絶対おいしそうに焼いてnoteに載せるんだもーん、うふふ、みんなに見てもらうんだもーん、という邪念が手元を狂わせ、ものの見事にひっくり返すのに失敗。うまくフライパンから離れてくれなかった。

こういう人です。

でも! まあ、目を細めてみれば! おいしそうに! 見えませんか!

パリパリ羽つき餃子、離陸でふらついたけどドスンと墜落とまではいかなかったんじゃないかなあ。魔女の宅急便のキキのように、なんとか無事に飛び立ったことにしましょう。

過去にうまく焼けたとき撮ったケータイの写真を代わりに転載しようかなと逐一見返したけど、だいたいこんな感じだったので断念。

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小麦粉を打った底の皮はこんなふうに厚みのあるカリカリクリスピー感。こらよろしやおまへんか。味がしっかりついているのでもちろんこのままでパクッといってもいいんだけど、タレにつければガン決まり。ドープ。

うちではだいたい、醤油+酢+ラー油という正統派のタレのほか、酢+コショウ=いわゆる酢ゴショウを用意しているのですが、先日作ってみたヤンニョンジャン+醤油もまた絶品でしたのでお試しを。

餃子01

世の中は少しずつ昔の勢いを取り戻そうと動き始めています。その端っこにいて、私もなんとかついていこうとしています。これからはいつでも思いたったときにすぐ、こんなふうにのんびり餃子を包める、とはいかなくなりそうですが、それでもなんとか食卓に遊び心と喜びを見出す努力を忘れないで暮らしていきたいと思います。

餃子を包むとき、絶対に入れ忘れちゃいけないものは何か知ってる?

それはね、心のゆとりだよ。

なんてね。

そんなキザったらしいこと言ってないで、冷める前に餃子! そしてビール! これに尽きる。

ガブッ、もぐもぐ、ゴクン。うぐうぐ、プハー。

うまー!

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