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Cheap Chicにお遍路旅 ~カブでお遍路2022秋~ ①概観

カブに乗って四国お遍路、実にチープ・シックでおススメです。

小生、この度17年半務めた横浜の会社を辞めて、北九州に移住しました。実のところ、諸事情で(コロナの騒ぎにも便乗し)、2年ほど前に北九州に家族で転居、リモートで横浜の仕事を続けてきましたが、今回、北九州に根を下ろすことを決め、完全移住に至りました。退職してからはしばらく充電期間を設けて、家族のケア、自分のケア、人生(特に働き方)の再構築に注力するぞ!とあれこれ考えてはいたのですが、、、気付けば人生初めてカブを運転し、想定外に四国八十八か所お遍路の旅へ出ていたのです。。。

はじめに

これからお届けする内容は、よくある”お遍路の軌跡”的な旅行記ではありません。”カブ”で”安価に(Cheap)”、”お洒落に(Chic)”、”お遍路”するという切り口で、Tipsちょっとしたヒント)を整理したものです。ガイドブックやマニュアルのように、結果的に読み手の旅や行動に何か縛りを与えることは意図していません。なるべく、ゆるくゆるくお伝えして参ります。
具体的には、<FACT><OPINION>の構成とし、前者は私がした事(工夫)を事実に基づいて、後者はそれによって私が感じたことを、書いていきます。読んでいただいた方にとってちょっとしたヒントになれば幸甚であります!!

1.     概観 ☜今ここ!
2.       参拝Tips
3.       カブ移動Tips
4.       宿泊Tips
5.       食事/観光Tips
6.       おまけ

<FACT:私のやったこと>

小生お気に入りの竹林寺(第31番札所)
  • 四国八十八か所お遍路を12泊13日の旅程(所謂通し打ち)で、費用は計13万円ほど。これに+αで自宅⇔四国の旅費が必要。内訳はザクっと、宿泊費55,000円(主に民宿/ゲストハウスを利用)、移動費6,000円(ガソリン代/駐車場代など)、参拝費40,000円(納経料、お遍路グッズなど)、その他雑費30,000円(食費、居酒屋/美術館探訪、お土産代など)。ミソは、義父にスーパーカブ50を貸してもらえたこと

  • 四国へは大分から愛媛へフェリーでIn/Outし、第44番札所の大寶寺から時計回りで八十八か所参拝しました。カブでの移動は走行距離1,500kmほど、基本Google Mapの経路検索結果に従い進みます。高速&有料道を使わない運転オプションで検索すれば、自動車専用道に引っかかることもありませんでした。

  • 所要時間はGoogle予想の倍くらいかかるイメージ。110ccや125ccならもっと早いでしょう。私の場合、ガイド機能を使わず、経路のイメージだけ頭に入れて、あとは標識に注意して進みました。人生初カブの為か、序盤はよく道を間違えましたが次第に慣れて時間のロスは減っていきます(逆に無計画な寄り道は増えます)。あと、2時間位ぶっ通しで運転すると臀部(おしり)が痛くなる現象は、最後まで変わりませんでした。

  • 参拝については、ひと寺あたり30分のイメージで行いました。手順は、洗心した(手を洗った)後、本堂と大師堂それぞれで、献灯(ローソク)/献香(線香)/納札(お札を納める)/読経(お経を読む)と一連の納経を済ませます。その後、納経所で納経証明(御朱印)を頂きます。各お寺、広さも違えば内容も多種多様。興味を引くものがあればじっくり見て回りますし、奥の院に行ったり他のお遍路さんと長話することもあるため、実際の参拝時間は15分~60分/寺と幅があります。特に序盤は般若心経を唱えるにもやたら時間を要しました。

第60番札所横峰寺の奥の院から望む石鎚山
  • 旅程の12泊13日は、結果であり、決して計画したものではありません。(普段は計画の鬼である小生が)無計画に、ほぼ思い付きで、“修行の旅に行ってくる!たぶん2週間くらい?”と家族に告げて兎に角出発しました。控えめに言って、小生もなかなか凄いが、ノリで、“行ってこーい!”と許容してくれる家族はもっと凄い!我が子は、小生が坊主になって帰ってくると最後まで思っていたようです。帰宅後は、大仏様の螺髪を目指してパーマかけてましたが、ただのモジャモジャ頭に終わりました。

  • あと、計画という意味では、その日の宿で夕~夜に宿主や宿泊客と雑談しながら翌日の事をなんとなく考えておく程度。翌日の旅程も当日にならないと定まらない。大げさに言うと、その日どこのお寺まで参拝するかは、夕刻まで決まらない、決められない、決めたくない。旅程縛り、目的地縛り、宿縛り、食事縛り、観光縛り、といった各種縛りを可能な限り排除し、グーグル先生に教えを乞うこともなるべく避け、出会った人からの教示に極力従いました。

<OPINION:私が感じたこと>

  • どこがチープ・シックなんだ?と、上記からは全く窺えませんが、、、従来の歩きや、現在主流の車、バス/タクシーツアー、区切り打ちと比べると確実に安く済ませられます。車や大きなバイクでは進みにくい急勾配で幅狭な林道もカブならへっちゃら、対向車もなんのその、故にロープウェーなども一切使わず、全行程をカブで走破しました。また、50cc故にのんびり進みます。歩きと同じ、とまではいきませんが、他の高速な移動手段と比較してきっと見える世界が違ってきます。歩きや自転車お遍路と比較しても、カブは圧倒的に楽させてもらっている、フレキシブルに旅程を組める、興味の赴くままに寄り道できる、といった点でスマートといえるかも。次回以降のTips記事で、吾輩がチープ・シックと感じるに至った要因を感じ取っていただけるとうれしいです。

あちこち寄り道(猪熊弦一郎現代美術館にて)
  • 丁度その頃に亡くなったアントニオ猪木さんに“行けばわかるさ”と背中を押されたのか、はたまた弘法大師様に手招きされたのか、気付けば四国にいた感じです、ごく自然に。目的をもって旅に出たわけではありませんが、今回の旅では、色んなことに執着しない、というテーマが歩みを進めながら自然と浮かびあがり、後付けの目標となった気がします。お遍路していると、自己対峙、自問自答、自己開示、仏様やお大師様/出会う人々との対話、見る/観る景色や空間/環境/自然/芸術/文化、入ってくる/入手する情報の数々、そして参拝の所作、、、何も気負わなくても自然と修行になっている気がします。結構大変、でも生きてるって感じ、生かされてるって感じ。お遍路を結願しても、智慧の完成に至った気はしません、まだまだ修行は続くんでしょう。Inputした物/事を旅程の中で咀嚼しきれません。でもその内、意識しなくてもOutputに表れてきたりするんでしょう。

  • 個人的な見解ですが、カブ(50cc)では150km/日の移動、10寺/日の参拝が一つの目安になるかと。それ以上頑張れないことはないんですが、これ以上急ぐと、何かを見失う、見落としている気がしました。高知や愛媛南部では200km/日程度の移動、愛媛北部や香川・徳島では10寺/日以上の参拝がザラになりがちです。私の場合、善通寺市と高知市で午後半休的な余白を作ったり、たまには遅めの出発/早めの店仕舞いなど、その場その場の判断で動きました。失体感症とでも言うのでしょうか、四国の魔力か、お遍路ではお寺を回る事に執着しがちです。ふと、“俺、急いでね?”と気づいたら、(お遍路関係ないですが、一休さんの)“あわてない、あわてない、一休み一休み”をつぶやくようにしてました。

絶景に出会う(久万高原にて)
  • 大きく言うと今の世の中では、Bプラン、Cプランを作っておくこと、不確実な条件の下でのシナリオ解析により将来の潜在的な影響を特定・評価し、行動計画に落とし込む、なんてな事が重要なのでしょう。片や、今を生きることも大事、ということに気づける機会なんだと思います、お遍路は。SDGsやESG、TCFDの流れ、何をやるにもPDCA、ワークライフバランス、多様性。。。気付けば(小生のような)真面目で実直な日本人、各個人は余白を削りに削って破綻しかねない?あるいは変に浮足立って地に足がついてない?お遍路でなくとも、立ち止まる、平静に自分と向き合う時間が現代人(自分)には必要だと思いました。

最後に

13日の旅程で13万円の出費、全然安くないじゃないか!?と言われかねません。ただ、大昔にどこかで聞いた、”40日以上歩いて、1日1万円の出費、計40万円以上かかる”、という話からすると、かなり安いです。(野宿を併用してもっと安価に済ませる方もいらっしゃるようです。)また、40日以上という自由時間を確保することが難しい人にとっては、あちこち寄り道をしても3分の1の旅程となる点はメリットではないかと思います。自由度が高いので、”自分らしく(≒お洒落)”に旅できます。価値観は人それぞれですが、私自身は、13万円出費する価値は十分にあった、実にチープでシックな修行の旅だったと感じています。先祖が読んだら、“信仰心のかけらもない!”と怒られかねない内容ですが、なるべくつらつらと綴ってまいります。

というわけで、次回以降詳細なTipsをお伝えしてまいります。乞うご期待です!

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