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技術士試験(化学部門‐化学プロセス)①_概観

技術士二次試験について、小生が受験・合格した化学部門は受験者が100~150人、合格率が20%程度で合格者は20~30人と小規模です。別の見方をすると、全21部門の合格者の内、その占める割合は1%未満であり、マイナー部門と言って差し支えないでしょう。

化学部門然り、マイナー部門向けの参考書は殆ど存在しませんし、関連情報の露出は少なめです。かかる状況、後に続く方のために何か情報発信すべきでは?勉強方法や試験の復元解答とその判定例を提供する事が、なにかと役に立ちはしないか?と考え、情報発信に至りました。これから受験される方の参考になれば幸甚です。

1.はじめに

小生の場合、当時勤めていたエンジニアリング会社には先輩技術士が多く在籍しており、受験に際して色々とサポートしていただけるという点がアドバンテージになったと感じています。前々から、年代によりますが技術士の先輩社員にはかっこいい人が多い、という印象があり、何となくあこがれる資格ではありました。

受験に当たっては、業務の棚卸とその補強、スキルの棚卸、自尊心の向上を目的に取り組みました。結果として、二次試験を3回受験してやっと合格しました。一発合格!みたいな話でなく恐縮ですが、不合格の経験を踏まえた内容として、

今回試験対策全般についてお伝えし、

次回以降の記事で小生の復元解答を紹介していきます。

なお、筆記試験の判定は、1回目がAB(BA)、2回目がAB(BB)、3回目がAA(AA)でした。必須科目Iおよび選択科目IIIは復元解答と判定をそのまま紹介したいと思いますが、選択科目のII-1とII-2は複合評価なので判定結果は参考の解答例として紹介します。II-1は基本的な専門知識が問われ、計算問題も出題されますが、試験で凡ミスをかましてしまったものが多々あり、解答を復元した際に内容を修正した(正しいと思われる)ものを紹介します。

2.勉強方法

技術士二次試験について小生の勉強方法の大枠を5W2Hで紹介します。ただ、何より大事なのは、先輩・同僚に臆せず世話になる、周囲の理解を得る・感謝の気持ちを忘れない、ことだと思います。そして、試験準備とは、業務の棚卸と、知見を伝える練習だと思います。

When :4月から、休日、会社帰り、通勤中(、業務中)
Where :図書館、喫茶店、電車の中、デスク/会議室/リフレッシュルーム/社内ライブラリー
Who :私(、時には同僚、先輩社員の力も借りて)
Why :業務・スキルの棚卸、自尊心の向上
What :業務の棚卸、知識の補強、文章力強化、面接対策
How :キーワード集作成、過去問分析、Web/紙媒体閲覧、過去問or山掛問題で解答練習&先輩技術士による添削指導、口頭試験模擬
How much:総勉強時間は200~300h程度?キーワード集300件越え、
    ①    小論文練習12本、内7本は先輩技術士の方の添削指導を受け、
    ②    口頭試験対策は筆記試験復元と一般内容で20件ほど想定問答作成、先輩技術士と模擬面接を実施

1回目の受験の際には200hほど試験勉強に費やしました。2回目、3回目の受験時には過去受験勉強内容の復習がメインで、さほど勉強時間は取っていません。

3.参考書

次に、活用した参考書とその当方評価を以下表に示します。

唯一おススメできるとすると、“考える技術・書く技術”です。レポーティングの勉強になります。小論文では、論旨を決め、帰納的に書くか、演繹的に書くか、文章全体の骨格を決め、、、と、作戦を練ってから書き始める必要があります。

化学部門向けの参考書って殆どありません。唯一、解答事例集が存在します。

4.キーワード集作成

キーワード集はExcelを使って、以下のようなイメージで300件ほど整理しました。自身の過去業務内容、過去試験問題、最近のキーワード、について内容・原理、課題と解決策、将来動向を整理するイメージです。

細かくてスイマセン、キーワード集のイメージ共有までです。

記載する内容は、なるべく簡素に要点だけにしました。マニュアルやプロシージャのような細かい記載というよりも、記憶を呼び戻すトリガーの役割になりました、このリスト。

5.過去問分析

過去問分析も併せて行いました。先ずは、過去10年分の出題内容を表に整理し、繰り返し出題されている内容をハイライト、次いで、最近のキーワードも考慮して、出題予想(山掛け)しました。山掛け問題は、、、めちゃくちゃ当たってしまい、試験時には、どれを解答するか大いに悩みました。

細かくてスイマセン。赤字は再出題トピックスです。かなり繰り返し性があります。

結果として2回も落ちているので、問題に対する自身の考え方、内容に対する理解に、深化が足りなかったのだと思います。加えて、レポーティングのスキル不足も一発で合格できなかった要因だと思っています。

特に、化学プロセスに関する基礎知識が、脳みそに染み付いていなかった。。。故に選択科目IIはB判定を連発。実のところ、3年ほどしかプロセス設計(開発)の実務経験がないから、しゃぁないか。。。

逆にエネルギー・社会システム論者としてはきっとそれなりに評価される水準だったのでしょう。必須科目I、選択科目IIIでは毎度、高評価をいただけました。

傾向と対策については以下を参照ください。

法則などなど
計算などなど
装置などなど
設計などなど(一部有料)
時事などなど(一部有料)

まずもって、技術士第二次試験実施大綱では、筆記試験で以下内容を問う、としていますので、ご留意ください。

Ⅰ 必須科目
「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
Ⅱ 選択科目
「選択科目」についての専門知識及び応用能力に関するもの
Ⅲ 選択科目
「選択科目」についての問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの

https://www.engineer.or.jp/c_topics/009/attached/attach_9111_1.pdf

6.小論文練習

過去問と山掛け問題について、時間を計ってセルフ模擬試験しました。そして添削は技術士の先輩社員にお願いしました。先輩社員も神ではないので、知識や経験に偏りもありますし、時間的な制約もあります。ただ、いただいたコメントはいずれも“さすが”と思わされるものばかりで、その後のブラッシュアップに大変役立ちました。

小論文を先輩技術士の方に添削してもらう機会を作ることは非常に重要だと思います。頼れる先輩や同僚がいない場合、有償で添削指導を行っている業者もあるようなので、その活用につき一考する価値あり、と思います。

キーワード集のネタ増加と小論文練習回数は以下の通り。2020年以降にキーワード数が100件ほど増加していますが、主な要因は翌年の受験を考えていた”経営工学部門”の試験準備の為です。取らぬ狸の皮算用で、”化学部門”の筆記試験をパスしたつもりで、フライング勉強してました。。。

小論文練習をしなかった2020年は惨敗。

【2023/01/22追記】

忘れてはいけないのが、小論文試験のハードさです。セルフ模擬試験をすると色々気付きます。

必須科目Iや選択科目III:
1,800文字/科目も手書きするのは、めちゃくちゃ疲れる。。。興奮して筆圧高くなる、指痛くなる、手首まで痛くなる、漢字書けない、書き直しが大変、消しカスだらけ。。。ワード使いたい。。。

計算問題:
簡易電卓での計算に違和感を感じる。。。慣れない電卓のせいで?凡ミスをかます。。。関数電卓使いたい、エクセル使いたい。。。

実際の試験は丸一日、手書きし続けます。頭も疲れますが、手も疲れます。頭を一日中フル回転させることはあっても、丸一日シャーペンで文字を書き続ける事なんて、社会人では皆無では?大学受験か院試以来だと思います、こんなに高速・大量にシャーペンの芯をすり減らすのは。

因みに、セルフ模擬試験でのLLから、小生は以下の様な対応をしました。

■シャーペンの芯をHB→Bに変更(筆圧対策)
■シャーペンは1,000円くらいする高級品にアップグレード(疲れ対策)
■消しゴムはブロック型に加えてスティック型も準備
 (枠内ピンポイント消去対策)
■電卓は使いやすい物を新調
 (R1年試験中、30年物の簡易電卓が壊れ手計算する羽目になるという悲劇が。。。タラレバですが、電卓壊れなかったら、一発合格できていた気が。。。)

お金で解決できることもある。。。Anyhow、セルフ模擬試験して、ハードさを体感してみてください。何かしら気付きがあるのではないかと思います。

以上、ご参考まで。

7.最後に

試験対策として新しい事を勉強する必要は無いです、これまでの知見で対応することが基本だと思います。過去問で頻出している内容で自身が未経験のもの、最近の話題など、勉強せねば、という気持ちはわかります。しかしながら、設問は選択式です。全問解ける必要はありません。10年位実務経験があれば、何かしら引っかかる設問があるように思います。

また、いつもと違う制約条件下で、如何にうまく伝わる文章が書けるようになるか、が肝です。若い世代からすると、“何故手書き?実務上、手書きでレポート作成する機会なんぞ皆無ですがな。業務のレポートも定型があるし。”かと。手書き故に、漢字が書けない☞英語(カタカナ)で対応、Word Fileのように切り取りやコピペができるはずもなく書き直しがきかない☞先ず骨子を作って書き直しとならないよう注意する、など試験用のスキルも必要ですが、それ以上に、レポーティングのスキルを磨くよい機会になると思います。

というわけで、第一弾として、小職の勉強方法の概要について紹介させていただきました。次回以降は、いよいよ小生の復元解答と判定結果の紹介です。

お恥ずかしい限りで、ギリギリ60点の"A"判定ネタもあるかと思います。今読み返しても、なんかピントがはっきりしない、全体の骨格が見えない、という物もあります。料理の塩味と一緒で、輪郭が大事ですね。

また、更にお恥ずかしい"B"判定ネタと口頭試験ネタについては、恐縮ながら有料記事とさせていただきます。恥辱を晒す為のハードルとして、ご容赦ください。"B"判定の記事では、”反省会”と称した振り返りも記載するようにします。反面教師(ある意味貴重)ネタとのご理解で、ご活用いただけると幸甚です。

令和3年度 化学部門 必須科目 I-2(A)
令和3年度 化学部門 選択科目 化学プロセス II-1-3(A)
令和3年度 化学部門 選択科目 化学プロセス II-2-1(A)
令和3年度 化学部門 選択科目 化学プロセス III-2(A)
令和3年度 化学部門 化学プロセス 口頭試験 其一(〇:有料)
令和3年度 化学部門 化学プロセス 口頭試験 其二(〇:有料)
令和2年度 化学部門 必須科目 I-2(A)
令和2年度 化学部門 選択科目 化学プロセス II-1-3(B:有料)
令和2年度 化学部門 選択科目 化学プロセス II-1-4(参考解答)
令和2年度 化学部門 選択科目 化学プロセス II-2-2(B:有料)
令和2年度 化学部門 選択科目 化学プロセス III-2(B:有料)
令和元年度 化学部門 必須科目 I-1(A)
令和元年度 化学部門 選択科目 化学プロセス II-1-1(B:有料)
令和元年度 化学部門 選択科目 化学プロセス II-2-2(B:有料)
令和元年度 化学部門 選択科目 化学プロセス III-1(A)

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