夏の匂いがしない。

季節の変わり目になると、無意識にたのしんでいることがあります。

季節の匂いを感じること　です。

春になれば、冬の寒さから明けた生ぬるい空気と
植物の匂いが混ざり合い、あのころを思い出させます。（いつだよ）

夏になると、湿った空気と太陽に照らされた木々の匂いがして、
夜になると昼の暑さがすこし残り、
どこからともなく蚊取り線香の香りがしてあのときを連想させます。（無駄にエモい）

秋には、乾いた風が吹き始めて、カラッと晴れるとおひさまの匂いがします。

冬は、冷たいけどすこし澄んだ空気が流れて、鼻をスッと抜ける匂いがして
あのときの思い出とセットで時が戻ります。（だからいつry）

匂いと記憶は結びつくことが多いようですが、
わたしも例外ではなく、季節の匂いを嗅ぐたびに、
さまざまな思い出がわたしの脳内を駆け巡ります。

この季節の匂い嗅ぎはわたしの人生のたのしみの中でも
わりかし大きな割合を占めています。

でもふと気づきました。

季節の匂いを感じる機会が減っているぞ、と。

それはやっぱり外出時は基本的に
鼻をマスクで覆っているからで。

いままでも無意識で感じていたものだったから、
突然日常的に鼻をマスクで覆われ、嗅覚が鈍くなっていることに
意識がいっていなかったのです。

これは由々しき事態。

ひと気の多い場所ではもちろんできないけど、
ひと気のない場所でひとりでこっそりマスクを外して
外の空気をめいいっぱい吸い込んでみた。

あのころとおんなじ、

夏の匂いがした。