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ドッグトレーニングってなんのために必要なの?

世間一般的に”しつけ”と呼ばれる
「犬に何かを教える」ということ。

この記事をご覧の皆様も、自己流・教室で教わる・ネットで調べるなど
犬に何かしら”しつけ”をされた経験があるかと思います。
(以後”しつけ”のことをトレーニングと書きますね)

ドッグトレーニングの世界は本当に奥が深く
一般の飼い主さんでもプロ級に学ばれている方もたくさんいらっしゃいます。人が学ぶほど犬のQOLも暮らしの質も上がっていくので、どんどんハマってほしいですけども。

全ての飼い主さんがプロ級を目指すわけではなく
けれどある程度、お互いに快適に暮らせるようにしたい。
犬たちが幸せに暮らせるようにしたい。
そう考える方が多数かと。そこで

(何を、どこまですればいいのだろうか?)
こんな疑問を感じたことはないでしょうか

もちろんそれは、犬によっても、ご家庭によっても違います。
なのである程度の「目安」として捉えていただければ幸いです。

①問題行動の定義:人目線

問題行動の定義のひとつとして
「人が困っているかどうか」

人というのは、自身やご家族もそうだし、他人も含めます。
例えば犬が「好きな人に飛びつく」

チワワぐらいの超小型犬が飛びついたところで、人がそんなに困る場面というのは少ないかと思います。そうした場面を目にすることも多いかと。

ところが同じことを大型犬がすると、力が強く途端に「問題」となります。
飛びついた相手に怪我をさせてしまうかもしれない。
自宅内でしょっちゅう飛びつかれると、いろいろと困ることは想像できますよね。

「飛びつき」という犬がする同じ行動でも、体の大きさによって頭を悩ませることになります。


「吠え」も同じ。
住宅密集地で激しく吠えられると、ご近所迷惑になります。
ところが田舎で隣家が100m離れているような環境では、問題になりません。
むしろ立派な番犬として誉められるかも。
元々、人と犬というのは、こうした関係から始まってますね。


このように
ご家庭内や社会的に困る行動に対しては、対応していく必要があります。
ここまでは多くの方がご納得いただける話かと思います。

本当にお伝えしたいのは、この先の話からです。

②問題行動の定義:犬目線

人が問題と感じる犬の行動には、犬なりの理由があります。

大好きな人が現れてその人に飛びつくのは、犬が素直に自身の感情を表現するから。それが犬の魅力でもあります。だからと言って、飛びつきを推奨しているわけではないですよ。

犬は自分が元々持っているボキャブラリーの中から、その感情を表現しているだけ。
だからお相手にもご迷惑をかけないように
「挨拶するときはオスワリしておこうね」

そうやって行動のボキャブラリーを増やして、お互いにスマートな暮らしができるように。これがトレーニングの役割のひとつ。


自宅に誰かがやって来ると、激吠えする。
散歩中に人や犬や自転車に吠える・飛びかかる。
人にとっても問題ですね。

犬にとっても、それらの対象は
「何かしらの危険を感じる存在」として認識された結果、そうした行動をする場合が多い。
吠える対象が脅威であるかぎり、自身の安全を守る行動が出ます。

実は「犬も困っている」のです。
だから(あれはあなたにとって脅威ではないのですよ)と学んでもらうのもトレーニングの役割のひとつ。
また「吠えなくともちゃんと身の安全は保証されるよ」と、犬にわかりやすく学んでもらうのもトレーニングの役割です。

③犬にとっては不思議なものであふれている

犬からしたら
(それなんなの?)と感じるものがたくさんあります。

たとえば自動車がなぜ走るのか、ガソリンでエンジンとか一生理解しない。
体感したその印象が「怖い」と感じてしまうと、その後もずっと怖いままになってしまう場合があります。
そうならないようにするのもトレーニング。

もしそうなってしまったら
(あなたにとって脅威ではないよ)と感じてもらう練習をするのもトレーニング。

お手入れや診療などの、健康維持管理に対しても同じ。
なんで爪切りしなきゃいけないのか、犬には到底理解はできない。

足先をもたれ、バチン!
強い刺激でビックリしたり痛みが走ったら、もう次からは苦手な作業リスト入り。
どうにかして爪切りされないように、犬は頑張るようになっていきます。

やがて爪切りをされる場所に対しても、苦手な印象を持つことでしょう。
サロンや病院へ行くことが苦手。
車に乗るのが苦手。

そんなふうに
「苦手が増えるほど、負のストレスは大きくなる」
すると問題行動へと発展していきます。

そんな怖い場所じゃないよ。
そんな怖いものじゃないよ。
そんな怖い作業じゃないよ。

そう感じてもらうのもトレーニングのひとつ。

むしろ
人と犬とが楽しくできる共同作業となるように

必要なことを、お互いに協力し合い
お互いのQOLを高めるのもトレーニングのひとつ。

④コミュニケーションツールとして

飼い主と愛犬との関係は、オキシトシンという愛情を形成するホルモンがお互いに出ていて、人でいうと「母親と幼児の関係と似ている」ことがわかっています。

犬は社会性を持つ動物。我々と同じくコミュニケーションを取ることを求めます。

飼い主さんとポジティブな感情を抱くコミュニケーションをたくさん経験することは、その犬にとって幸せなことだと言えるでしょう。

そのやり取りのボキャブラリーが増えるほど、犬はワクワクしながら取り組んでくれるようになります。
また行動のボキャブラリーが増えると、その犬の自己解決能力が高まり、問題へのアプローチや予防にもつながります。

これもトレーニングの大きな役割のひとつです。

そして飼い主さんにとっても
愛犬と通じ合っている喜び」をたくさん感じられることが、トレーニングの本当に素敵な部分だと思っています。

⑤犬は知的好奇心が旺盛

大昔、野生動物だった時代は「狩り」をして過ごしていた動物です。
犬が生得的に持つ行動の多くが、狩りをするために必要な行動だったりします。

たとえばヌイグルミを振り回したり、投げると追いかけたり、破って中綿を出したり。これらは獲物を仕留める・解体をする。といった行動です。

獲物はその場でじっとしているわけではありません。
向こうも生きるために必死なので、逃げ回ります。
頭をフル回転しながら、獲物を捕まえることをしていました。

犬たちは、とても知的な生き物です。
ただご飯を食べられたら満足するわけではない。

何かを自分で考えその結果、成果が得られることに大きな喜びを感じます。
内容は違えど、わたしたち人間とそう変わりはないのかも。

生活に役立つ・役立たない
といった視点だけに囚われると、犬たちが本来求めているものが見えなくなってしまいます。

行動に結果が伴う喜びをたくさん用意しておく。
これもトレーニングの大きな要素です。

まとめ

このようにトレーニングの必要性とは

  • 人や社会が困らないように

  • 犬が困らないように

  • コミュニケーションツールとして

  • 犬のニーズを満たすこととして

どれかひとつだけ必要なわけではなく
それぞれの理由が、密接に関連しています。

何をどこまで?というのは、それぞれのご判断とはなりますが
「犬の目線」という視点で見てみて、必要なことを考えてみられるとよいかと思います。

愛犬との素敵な暮らしを応援いたします。








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