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クリッカーを始めてみよう・理論と準備編

クリッカートレーニングの「理論と準備編」となります。
前回の記事をお読みになってない方は、まずはこちらからお読みくださいませ。↓

理論編

なぜクリック音が有効になるのか?

前回「1クリック → 1トリーツ」が基本ルールですよ。と書きました。
クリック音「カチッ」は、ただのブリキ音。
現時点では犬にとって、なんでもない音です。

このなんでもない状態のことを「中性刺激」といいます。
クリック音が中性刺激である限り、いくらカチッと鳴らしても行動は増えない。
そのまま使用しても意味がない。

クリック音に意味を持たせるためには、準備が必要となります。


パブロフの犬

理科の授業で習ったのを覚えているでしょうか?
100年ほど前、ロシアの生理学者であったイワン・パブロフが発見した理論。

犬に食べ物を見せると、唾液が出る。
このとき
「食べ物」は『無条件刺激(US)』という。
「唾液が出る」反応は『無条件反応(UR)』といいます。

条件づけをする前

ここでベルの音を鳴らしてみます。
現時点ではベルの音は「中性刺激(NS)」であり、なんでもない音です

ところが
「ベルの音を鳴らしてから、食べ物を与える」ことを繰り返す。

条件づけ手続き

すると
「ベルの音がするだけで、唾液分泌するようになる」

ベルは本来「中性刺激(NS)」であったが「食べ物(US)」と対提示を繰り返すことにより唾液分泌「条件反応(CR)」するようになった。

条件づけをした後

初めは無意味であったベルの音は、条件づけにより意味を持つようになる。
ベルの音は「条件刺激(CS」)となり、ベルの音により唾液分泌が促されることとなったことを「条件反応(CR)」という。

この手続きのことを『レスポンデント条件づけ』と言います。
または「古典的条件づけ」とも呼びます。


おさらい


「クリックの直後にトリーツを出す」を繰り返すと
『クリック音が聞こえると、唾液が出るようになる』

条件反応(CR)として機能するようになったクリック音のことを
「条件性強化子(二次強化子)」といいます。

理論的にはこのような手続きとなります。

簡単にいうと
「クリック音に意味を持たす」

これはベルやクリックだけでなく、ホイッスルでも
もちろん言葉でも同じことが起きます。

「ほめ言葉」や「名前」に対して、条件付けを行なっておくと、行動の強化がしやすくなっていくのですね。

ここでおさらいです。
『クリック音が鳴った直後にフード』

直後にフードが出ることが大事

同時でもなければ、フードを食べた後に鳴らすものでもない。

また前回の記事でも書きましたが
カチカチカチと何度も鳴らす使い方も
ほめ言葉で「イイコイイコイイコ」と何度も繰り返さないですよね。
どの行動を強化したいのか?
犬にとっても非常にわかりずらい。

基本なんだけど、ものすごく大事な要素のひとつです。
小難しい理論を先に書きましたが、ここを理解しておかないと
自己流の不思議な使い方になってしまうのです。

余計な情報が加わることでスムーズな学習ができず
結果的に、犬を迷わせて余計な負担をかけないというのも大事なことです。


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