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株式会社ハッピーわんが出来るまで#3理想と現実のギャップに苦しむ
①理想を見た
ベルリンで圧倒的な飼い主の理想郷と思える形を見て、カルチャーショックを受けたわけですが
世界一かどうかはわからないけども
明らかに充実した犬との暮らし方が実現できていることは確か
どうしてこんなことが可能なのか?
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街で見かけたのは、プロのトレーナーのような特別な人ではなく
カフェでお茶しているおばあちゃん
ベビーカー押しているお母さん
車椅子のおじいちゃん
おそらくみんな普通の飼い主さん
じゃあ何が違うの?
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まずベルリン市内だけでも50カ所以上の、しつけ方教室があり
犬を迎えると、ほどんどの人が犬と一緒に教室へ通うそうです
しかも週に何度も、何ヶ月も通うとのこと
すごい‥
また、通訳の方から教えてもらったことですが
ドイツのことわざで
「犬と子供のしつけならドイツ人にまかせろ」
みたいな格言があるそうで
犬の飼い方がずさんだと、他の人から後ろ指さされるみたいな風潮もあるらしい
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↑この写真。お婆さんのリードの持ち方。トレーニングを学んでいる人の持ち方
そして何よりも大きいのが
"動物福祉の考え方が根付いている"
その動物が、
何を必要とし
どう接していくべきかを
その動物目線で考え提供する
そうすることによって、人も犬も暮らしやすい形を作る
これをブリーダー・トレーナー・獣医・ボランティア・行政・飼い主さん、みんなが共通認識として持っているから、うまく連携が取れているのじゃないかな
いろんな場所に犬を連れて行けていいなぁ
たくさん公園の中にドッグランがあっていいなぁ
街中でも自由に出来ていいなぁ
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そう思いませんでした?
私はそう思った
けれど、それを可能にしているのは
そこに住んでいる人たちの意識と努力の積み重ね
自分たちが、犬たちが、心地よく過ごすため、
その権利を守るためには、義務を果たす
表面的な部分だけを持ち帰って、真似をしようったって
土台が出来てないから、上手くいかないんじゃないか?
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けれど、こうも思った
日本もドイツも、犬という動物は同じ
じゃぁ決定的に違うのは何か?
それは「ヒト」の考え方
それならば必ず、日本でも近いものを作ることが出来るはず!!
動物福祉という考え方の土台作り
それを基にした犬との暮らし方
そこに蛇口を閉めるアプローチを見出したのです
いま自分のいる場所が未開発なら
開墾するところから始めよう
そう強く感じたのでした
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②学びなおす
県内の犬猫の状況がよろしくないことを知り
なんとかしたいと考えるが、空回りする日々。
蛇口から閉めるアプローチとは何かを探る中で、
ベルリンの街で犬との暮らしのレベルが高かったことに大変驚いた
ベルリンでカルチャーショックを受けて帰ってきたわけですが
これはトレーニングを学ばなければならないと、強く感じたので
日本に戻ってさっそく行動に起こします。JAHA(日本動物病院協会)の家庭犬しつけ方インスタラクターの講義を受けることにしました
実はこのときからさらに10年近く前にも、
しつけの勉強してみようかな〜と
同じ講義を受けようとしてたことがあったのです
そのときは、何度も東京へ通わなくてはいけない、
それには時間と労力とお金がかかるので、いったん断念した経緯があって
講義を受け始めてから、心の底からこのことを後悔しました
もし早くから受けていれば、今の自分の周りの状況は変わってたんじゃないかな?
思い返すと心が痛むことも、振り返ればたくさんありました
だからこそ10年分の遅れを、今は必死に取り返そうと
行動のエネルギーになっているところもあるかもしれません
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③2つ目のカルチャーショック
このときすでにペット業界歴20年近いキャリア
それなりに、いろんな経験をして、勉強もしたつもり
犬のことも理解してたつもりでした
ところが・・・
この講義を受け出して感じたのは
「自分は犬のこと、本当に何も知らなかった!!」
犬のことを知るって科学であり学問だった
犬の目線での捉え方
犬がどう感じ、なぜその行動をするのか
全く理解していなかった
というか、考えたことなかったのかもしれない
犬と人は上下とか気にしなくていいよ。
家族の間で順位とか気にしなくていいよ。
犬がどう感じているのか、体の仕草や行動の変化で読み取ることが出来るよ。
トレーニングも行動も科学だよ。
そんなこと、全く知りませんでした
なんでもかんでも、上下に当てはめてしまえば
納得できるような説明を信じ込んでいた
犬に関わる仕事をずっとしていたのに、本当に犬のことを理解しないまま、知ったかぶりをしていたこれまでの自分自身に対して、猛烈に反省しました
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20年もやってきてこのレベルの自分
自分の中でも強く感じた
ドイツと日本の差
自分がこれまで受けてきた
教育・経験、全部いったん白紙に戻さなければいけない
自分がそうだったように
その価値観はずっしりと、根付いている
これをひっくり返すのは、相当な茨の道だなと感じたのでした
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犬のことを知れば、見方が変われば
必ず接し方が変わります
そうすると問題も減るし、何より犬との暮らしがグッと楽しくなります
そして、業界側としても、ものすごく視野が広がったことで
仕事の仕方や収益の出し方も変わりました
④新しいことを始めると逆風が吹く
これまでやってきたこととは真逆の、全く新しいことを学び始めたわけです
扉を開けたその向こうで、たくさんの素晴らしい先輩方や師と出会い
自分の中では、どんどんアップデートされていくのですが
ついこないだまでの自分がそうだったように、
何者でもない自分が「このアプローチなら、素晴らしい世界が広がるんだよ」と
いくら熱く語ったところで
なにそれ?と
なかなか受け入れてもらえない現実がすぐにやってきます
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例えば、同業者の方に会うと
自分がベルリンで見てきたものや、学びたての知識を誰かに伝えたい衝動が強くて、熱く語ってしまうわけです
すると・・・
なにそれ?
効果あるの?
めんどくさい
宗教みたい
だいじょうぶ?
まぁ、だいたいこんな反応です
その後も、いろんなところで同じような反応を頂きます
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2020年の今では大手のネットニュースなどでも、
自分たちがしているアプローチに関連した記事が出たりするけれど
その当時は、なおさら風が冷たかった
それでも心が折れなかった理由が2つ
ひとつは、この目で見たベルリンの光景に答えを見出したこと
もうひとつは、私たちがやっているアプローチが科学ベースであること
科学というのは、誰か何を言ってもくつがえせないもの
手に持った物を離せば、地面に落ちる。なぜなら重力があるから
トンデモ科学ではなく、地道に積み上げられた学問なので
重力と同じレベルで、誰が何をどう言おうと、どうやっても覆せない
研究者の方々に、本当に感謝です
昔は運動の最中に水を飲むとバテるから、絶対に飲むな
そう教えられてました
いまはそんなこと言う人いないですよね
むしろ適度な水分補給をしなさい、と言われるはず
これと同じようなことが、犬の世界でも起きていると考えて頂けたら、わかりやすい
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もちろん
全ての人に理解されなかったわけではなく
付き合いの長い獣医さんは、
初めは??となっていましたが
そこはやはりプロ
行動修正の医学書を何冊か手に入れてもらい、目を通してもらうと
なるほど!と受け入れてくださり、今では、動物の心にも配慮された診察もして頂いて、そこでパピークラスをさせて頂けるようになったり
スタッフや仲間も少しづつ増えてきました
何より、お悩みを抱えた飼い主さんとワンコと、
じっくりお話とレッスンをしていく中で
やればやるほど
どんどんワンコも変化していき、飼い主さんも笑顔になってくれて
その経験の積み重ねの中で
やっぱりそうだよね!
みんなが楽しくないとね!
動物福祉に配慮した、科学的なアプローチ方法を広めていくこと
これが「蛇口を閉める」ことへ繋がると確信するのです
ならば
それを広めていくにはどうすれば?
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⑤営業ではなく活動と呼ぶ理由
続きの話を書く前に、何度も出てくる言葉
”動物福祉とは?”
このことを少しでも理解して頂いた方がわかりやすいと思うので書きます
このテーマだけでたくさんのシンポジウムやセミナーが開催されるほどなので、簡単にはいえないぐらい深いテーマなのですが
今回はシンプルに
「動物の側の立場からみて幸福な暮らしを実現する」
こんな感じで捉えてもらったらいいと思います
その子の幸せを!というと
”あんたから言われなくても、うちの子は幸せだ!”
と、実際にお叱りを受けたこともあります
でも、本当にそうだと言い切れるのかな?
幸せかどうかを決めるのは、人ではなく
”その動物であること”
ウチのワンコが本当に幸せなのかどうか?
私は言い切ることが出来ません
けれど、自分ができる限りのことはしたいと思っています
そのためには「動物の立場」という目線が必要になります
人側の自己満足での幸せの提供は
動物側からしたら、そうでないかも知れない
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