労働生産性の向上とはなんぞや?
労働生産性が上がらない2つの理由
いわゆる働き方改革関連法は2019年から本格的に順次、改正施行されている。この春にはこれまで猶予されていた運送業や建設業などにも時間外労働の上限規制が入ることになった。2024年問題として騒がれたので記憶に新しいところだろう。
まあ建設業に限らず、どの産業でも人手不足は喫緊の課題なので、採用に合わせて少ない人数でも仕事を回せるように労働生産性の向上が声高に叫ばれるようになった。では、この労働生産性とはどういうことなのだろうか。
製造業ならわかりやすい。決まった時間で生産する製品の数とクオリティを上げていけばいいから。しかし、例えば保育園や病院、役所の仕事で労働生産性の向上とはどういうことだろう。
僕は社会保険労務士として15年以上、様々な産業や職種の支援をしてきた。だからこそ、肌感覚でわかっているのは、ほとんどの企業は労働生産性という言葉にピンときていないということだ。
「定時になったから患者さんを放置して帰るってことですか?残業しないってことですか?」
支援先の病院でも当初はこんな反応があるのは、そもそもの定義がズレているからだ。
僕は労働生産性を「得たい成果に対して投入する時間の割合」としている。
となると、労働生産性を上げるには少ない時間で成果を上げれば良いということになるが、そうは問屋が卸さない。経験上、労働生産性が上がらない原因が2つある。
1つ目は「得たい成果」が明確ではないこと。これは人生でも職場でも同じ。ビジョンが明確じゃないと優先順位がわからないし、どのような状態が楽しい人生と言えるのか、どこまで行けばゴールなのか・・・。得たい成果の解像度が低いと時間が分散してしまい、成果につながらないので労働生産性も上がらない。
2つ目は、本当に大切なことの成果が上がるまで時間を使えていないということ。これはサボっているという意味ではなく、例えばスケジューリングの基本を知らないことが原因だったりする。
もう、あっという間に日々は過ぎ去っていく。本当に大切なことに集中していられる時間は一体どれだけあるのだろうか。そして、特に現役世代は自宅と職場の往復になりがちだが、そこを工夫して自分の本当に大切なことに使う時間を生み出さなければ、人生は全く進まない。
時間の使い道と時間の作り方はセット。能力や気合い、根性ではない。間違いなく技術だ。
九九と同じで知らないことはできない。
つまり、これがタイムマネジメントというわけだ。