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私、ブランディングが嫌いでした

「セルフブランディングをしましょう!」
SNSなどで時々見る言葉。この言葉を見るたび、嫌気がしていた。
「なにがブランディングだよ、まじで……」と、言い方は悪いけれど"反吐が出る"ような思いに苛まれた。

ブランディングをされていた日々

広報PRのお仕事をされている人と知り合ったことがきっかけで「ブランディング」という言葉を知った。
その人は誰もが知っている有名ブランドの広報PRを手掛けていた、バリバリのキャリアウーマンだった。誰もが憧れるような華々しい業界で働いており、私も本当にその人には憧れたし「この人みたいになりたい!」と思った。
その人からある日「私があなたをブランディングする!」と言われ、胸が躍った。「この人みたいにかっこいい女性になれるんだ!」と、頭の中にかっこよくなっている自分の姿を思い描いた。
それが、言い渡されたのは「オタク要素はいらないからやめて」ということだった。

幼いころからマンガが好きで、自分でも絵やマンガを描いたりオタク友達とあーだこーだとマンガ議論に明け暮れていた。そんな私にオタ活をやめろと。それはもう「息を止めて」というのと同意語なのだけど。
ただ、当時の私は何を思ってか「わかりました」と答え、マンガを読むことを辞め、一切自分の中からオタク要素を取り除いた。

やっぱり二次元が好き

息を止め続けてどれくらいが経ったのかわからない。とにかく息苦しい。巷でゲームが流行るほど、アニメマンガが盛り上がるほど、コミケイベントを目にすればするほど「二次元に溺れたい」と思う気持ちが強くなる。
そんなある日、一つのジャンルが、それはもう社会現象と言っていいほど大流行りした。「おそ松さん」(第一期)だ。
最初はあまり興味がなかったが、ひとたびアニメを目にしたらもうドハマりしてしまった。自分の中に秘めていたオタク魂が暴れまくった。
「もう我慢できん!」
Twitterでオタクアカウントを立ち上げ、自らもイラストを更新し、つながりも作った。怒涛の勢いでオタ活にのめりこんだ。
私をブランディングしていた人は当然止めようとした。しかし、私の勢いが止まらないのを見ると「好きなのはいいけど表に出さないで」と言ってきた。いやもうむりなんですけど。

そもそも、好きなものをなんで好きって言ったらいけないの?ブランディングってそんなに自我を抑制しないといけないの?ブランディングってそんなに偉いの?

そんなモヤモヤした気持ちを抱えたまま、SNS上だけのオタ活にのめりこみ、現実社会ではオタクであることは隠し続けた。

好きなものをけなされて

そんなある日、私の目をハッと覚まさせることがあった。私をブランディングしていた人がこう言ったのだ

「おそ松さん好きなのはいいけど、しょせんウ〇コに群がるのはハエだよ」

おそ松さんが決して上品なジャンルではないことは認める。でも、なんでそこまで言われなきゃいけないんだろう?
この人は私をブランディングしたいんじゃなくて、自分の作品を作り上げたいがために価値観を押し付けているだけなのでは?
そんな疑念が湧いてしまい、私はその人と距離を置こうと決めた。
結局、あの人がしたかった"ブランディング"ってなんだったんだろう。
モヤモヤした気持ちだけが残ったまま、私は「ブランディングアレルギー」になってしまった。

ブランディングは価値観の押し付けではない

ブランディングをしていた人から離れてしばらくが経った。
おそ松さんの熱は冷めたが、その頃仲良くなったフォロワーさんとは今でも仲良くしている。
私自身、今は別のジャンルの沼にどっぷり浸かり、日々グッズ集めに奔走する毎日だ。一時期抑制していた反動か、部屋には推しキャラのグッズであふれかえっている。
正直言って、ブランディングから離れてよかったとさえ思っている。
好きなことを好きだと言えて、同じ"好き"を持ってる人と気持ちの共有ができて。なんで私はあの頃、自分が一番好きなことを抑えていたんだろう。
本当はありのままの自分で勝負がしたかった。
誰かに作り上げられた自分ではない、二次元大好きなオタクな自分で。

だから、"セルフブランディング"なんて聞くと、自分ではない自分を押し付けられてしまうのではないか、と今でも思えてしまう。
自分の好きを否定しながら生きるのって、思った以上にしんどい。私は誰にもそんなことをしてほしくない。

だから、やってみたい

ブランディングという言葉にアレルギー反応がありつつ、私自身ブランディングを学ぶことはとても好きだったりする。それが仕事にできたらいいな、と思う事もよくある。
間違ったセルフブランディングを経験してしまった私だからこそ、お伝えできることがあるんじゃないかな、と思う。
今すぐには取り組めないけど、自分が今やっていることと掛け合わせたセルフブランディング演習、いつか始めてみたい。

セルフブランディングは、本当は自分のことを大好きになれるはずのものだから。自分の長所を最大限魅力的に見せることだから。

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