その価値観がいずれあなたの人生そのものになる
わたしの価値観が大きく転換することになったのは、2022年の10月あたりのことだ。
それは特別なことがあったわけでもなく、なんでもない穏やかな日によってもたらされた。
2022年、わたしはなんだかもやもやする日が多かった。別にすごく嫌なことがあったとか、大変なことがあったとか、そういうわけではない。
なんなら始めた副業も運に恵まれ今までよりも金銭的に楽になったし、人間関係もいい感じだ。ただふとした時に、スッキリしない、なにかが違う気がするという閉塞感のようなものに、時折おそわれていたのだ。
そんな日々の中、わたしは友人夫婦と海でBBQをすることになった。
友人たちは朝から仕込みをしてくれており、おいしいごはん、新鮮な魚とお肉、とても可愛いベイビー、そして目の前には青とエメラルドグリーンの海。
周りに目を向けると、他にも何人かBBQや釣りをしている家族もいた。
10月にしてはあたたかで寒すぎることもなく、とても心地よい海風が吹いていた。
そして、BBQ準備をしてくれている友人夫婦の横で、あたたかいベイビーちゃんを抱っこしてボケーっと座っていたら、そのタイミングがあらわれた。
唐突に、内側からものすごい幸福感に包まれたのである。
それは、じんわりというか、ああ幸せだなあという、言葉では表現できない深く満ち足りた感覚。
自分が幸福の空気そのものになったような感覚だった。それを身体ごと体感したときに、ようやくずっと感じていたもやもやが晴れたというか、自分がこれから大事にしたいことが、スーッと見えてきたのだ。
それは、大切な人たちと心と心が繋がる感覚、ただなんでもない自分でいても受け入れられている受容感、なにができるとか、できないとか関係なく、自分が自分でいていいし、相手もそのままでいていいし大切に感じる、そういう関係性。
わたしは、そういう関係性をこれからはたくさん作っていきたいのだ、と。
今までのわたしの最も大事な価値観というのは、分かりやすく「変化」と「成長」だった。
好奇心旺盛なのか、なんなのかは分からないが、とにかくずっと前から変化し続けなければ死ぬ! というようなもはや強迫観念めいた感覚があったのだ。
そのため、学びのためのお金は惜しまなかったし、第一優先するべきはいかに自分の興味と関心あるものを見つけ、それを満たしていくかということだった。
もちろん、今でもその欲求は人一倍ある。
人生のなかで学びにかけたお金は高級車1台分余裕で買えるだろうし、2023年に入りまだ2月だというのに、すでに講座やスクールに通うために使ったお金は50万円近くになっており動揺は隠せない。
しかしそんな成長中毒のようなわたしでも、第一に優先すべきものが特別な出来事が起こるでもなくポンっと入れ替わったのだ。
入れ替わったというよりは、泥の中で眠っていた水連が、水面に出てぽわんと開いた感じに似ているのかもしれない。
もともとわたし自身の人間関係に対するスタンスは、来る者は拒まず、去る者は追わずで、あっさりとしていた。
学びの講座に通ってそこで仲良くなり友達が増えるパターンも多かったが、やはり優先順位としては学び>人間関係だったので、関係性を大事にするという努力はそこまでしていなかったように思う。
しかし、もっとも大事にすべき価値観が「心豊かな人間関係をつくる」に変わったとき、自分と関わろうと思ってくれる人がいることは、けして「当たり前」ではなく、流動性を伴う不安定なものであることに気づいた。
関係性は双方向でつくられる。自分だけが相手を大切に思っていても、相手だけが自分を大切に思ってくれていても、心と心が繋がる関係性は生まれない。
だからこそ、自分に対して興味を持ってくれて関わろう、好ましいと思ってくれる人の存在がいること、自分もそう思える存在がいることは奇跡なのだ。
そしてそれは目に見えなく、簡単に変動するものだからこそ、自ら大切にしていくという決意と意識はとても重要だ。
ずっとそこに同じようにあったものに対して、自分の見方・意識ひとつで、こんなにも感じるものが、思うことが変わるのかとびっくりした。
わたしはその日から、これからの人生、出会う人、関わってくれる人との関係性を本当に大事にしていくと決めた。
もちろん思うだけでは意味がないので、相手に伝わるように行動と態度で示し続けていくことも決めた。
自分が会いたい人には自分から会いにいき、感謝の気持ちを伝え、丁寧にメールのやりとりを行うようになった。うっかり忙しいからと3年近く帰ってなかった実家にも今年は帰る予定だ。
もらうことを考えるのではなく、与えることまず考える。わたしはあなたを大事に思っていますよと言葉や行動で表現する。それは小さなことからでいい。
わたしのもっとも大事にする価値観が変わり行動に移し始めてから、わたしは幸福を感じる時間が増えた。
そしてそれは外からもたらされているものではなく、内側からもたらされていることを、わたしは知っている。
自分が価値を感じるものは、言い換えると自分が人生のなかで「重要」だと思うものだ。
そして重要だと思うものが満たされれば、自然と幸福感を感じるようになる。
もし満たされたのに幸福感を感じない場合は、もしかしたら本当に自分が大事にしたいものが別にあるのかもしれない。
成長・変化が重要という価値観が、今のわたしの人生を創ってくれた。
それには感謝しているし、今でももちろん重要だ。でも、いつの間にか新しい価値をわたしは求めていて、今度はそれを最も大事にしようとしている。
なにに価値を置くのかということは、本当にひとそれぞれである。正解も不正解もないし、わたしのようにあるとき変わるのかもしれない。
ただ自分が価値をおくものによって、思考や感情が変わり行動が変わり、結果として人生まで変えてしまう力がある。
忙しい毎日の中で、なかなか時間をとるのは難しい。けれど、どこかのタイミングでじっくりと自分の人生のなかで何にもっとも価値を置くのか考えてみることで、自分を幸せにする道が開けるのではないかなと思う。
わたしが自分の新しい価値観を大事にした結果、どんな人生が創られていくのかまだ分からないけれど、けっこう楽しみにしている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?