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【at10周年企画】at対談インタビューその❷女性たちとマーケティング〜この10年の変遷〜

2023年よりじわりじわりと取材を続けてきた、オフィスat広報企画も、いよいよ創業者の寺島と阿部へのインタビューに辿り着きました。これまで、チームatのメンバーを、スタッフ→パートナーさん→クライアントさんと取材してきました。チームatメンバーの本音や強みが語られる中、ここからは、チームatの指揮を取るオフィスat社長の寺島みちこと専務の阿部博美が、創業当時から今を振り返り、全てを語ります。

at対談インタビューその❶「オフィスat誕生までの序章」はこちらから

オフィスatを語るに、女性とマーケティングの2つのキーワードは欠かせない。まずはこの2つのキーワードについて、この10年の変遷をどう感じているかを問いかけてみた。


―女性たち

女性たちも働く時代へーSNSの発達で変わる個人メディア到来とAI

この10年を俯瞰して、女性たちはどう変わったのか。

阿部:社会の現場はいまだに、女性たちにどう活躍してもらったらいいのか、女性たちのモチベーションがどうしたら上がるのかが、わからずにいる。女性側も自分たちのことをわかってもらえる伝え方の訓練が必要で、そこの努力を怠っているように思う。今も昔も、男女双方がどこかすれ違い、双方がモヤモヤ感を抱いている状況だと感じる。一方で確実に変わったのは、仕事を辞めない人が増えたこと。産休・育休を取っても復職する女性がほとんどになった。

寺島:何より大きな変化はSNSの発達。10年前から、SNS、特にFacebookをする人が一気に増え、自分たちの活動のPRを個人でできるようになり、個人がメディアになったことがこの10年の大きな変化と言える。地方のおうち起業家らが、SNSを通じて全国に売り出せるようになり、やがてノウハウまでを売り出すように。自分の裁量で仕事ができる人がグンと増えていった時代でもあった。

阿部:そして気がついたら、専業主婦がいなくなり、世の中働くのが当たり前の時代に。働いていないとどこか肩身が狭いという感覚を持つ人も増え、まずは働くというフィールドにたくさんの女性たちが進んできた点が大きい。一方で、別の皺寄せが露呈している。働くことが当たり前になってくる中で、男女ともに、ウェルビーイングの視点は置き去りになっていたかもしれない。

寺島:身体的疲弊や精神と身体とのバランスを保つ難しさが顕著になってきている。一斉に働き出すも、一時的には負担増で進んできているのが今の女性たち。女性たちを取り巻く環境は、大きく変わらないけれど、負担を抱えたまま働く人たちが増えた現実が心配なところ。

ーマーケティング

マーケティング5.0の時代 最大の変化とは

「マーケティングの変遷」出典:マケフリメディア

阿部:今も昔も、マーケティングってなに?と感じる人が多い現状は変わらない。一昨年、「主婦力プロデューサー」を名乗るのを辞めた。その背景には、主婦を消費者として広く捉えるようになり、社会が消費者の声を聴くようになったことが大きい。10年前はあまり耳を傾けられなかった生活者視点を持った女性たちの声は、今や聞くのが当たり前、聞かないと戦略が立てられないようになった。

寺島:マーケティングビジネスをする女性たちの母数も確実に増えてきた。これからはマーケテイングと自分の日常の感性とを、繋げて創っていくビジネスが増えるのではないか。マーケターがもっと増えてほしい想いがある。最大の変化は、ツールの変革、つまりAIの台頭。その変革スピードも指数関数的な速度で変わっている。AIを仕事の中で当たり前のように活用することが、リテラシーになっている。ChatGPTなどのAIを自分のパートナーにする時代になった。

阿部:マーケターとしては今の市場が細分化されすぎて戦略設計が至難になった。たとえば、「発信」をどうするか。10年前は、例えば5大マスメディア(テレビ・新聞・雑誌など)を押さえておけばよかったのが、SNSが発達し、ブログやアメブロ、Facebookが賑わい始めた。その後まもなくして多くの人がInstagramに移行、さらにはTikTokが登場。まさについ数年間の変化。やっとアプローチツールが見つかったと思ったら、若者はどんどんと別のSNSへ移行し始める。どこに向かっていけばいいのか、消費者の後追いが大変になってきている。メールはもはや見ていない、開いていない人が多数。LINEは個人と個人、テレビが自宅にない人も増えているから、テレビコマーシャルも大してリーチしない。SNSもまさに過渡期にあると思う。共通の言語、共有のツールが多様化しすぎて複雑になってきた。

世代ごとのマーケティング設計が至難

寺島:今、若者にマーケティングを教えている。マーケティングの歴史を語るときに気づいたが、今の若者世代は、時代の変遷を示すマーケティング区分の2.0(1970年代頃)から5.0(2020年代の今)までの広い変遷の幅に、すべての人が当てはまっている。わかりやすく言うと、若者は若者でも、アナログ派の人もいれば、最先端を追う人もいて、AIの最先端とアナログが共存している状態。1世代ごとにマーケティング2.0→3.0→4.0→5.0とわかりやすくはまっていけばいいが、個が多様化し、世代ではターゲティングが難しく区分できず混沌としている。企業としては、どちらも見ながらやっていくことが大事。

それから、常に何か相反するものが次々と台頭してきている。マーケティングの神様コトラー氏がよく語るのは、「AIと人間性」。今を代表する、まさに相反するものの二つ。ただ、これら相反するものは、実際にはAIの登場によって人間性に注目がいき、人間の「個」に最適化するためのAIがいる。相反しているようで、切り離せない関係性になっている。

阿部:企業の中で例を言うと、精神性や姿勢といった抽象的で目に見えないものと、可視化できるわかりやすい商品。相反するこの両者は、どちらも今の消費者が求めているもの。

寺島:他にもグローバルだがめちゃくちゃローカルなグローカル企業(地域に根ざしながら、世界的に事業を展開している企業のこと)も存在する。A Iやツールが台頭してきたおかげで、例えば佐賀のド田舎でも堂々と世界と渡り合える可能性もある。相反するものが共存しあっているところが、今すごく面白い。グローバルばかりを全面に出してしまうと、結局はコモディティ化(一般化)して面白くなくなる。だからこそ、より尖ったものがないと、生きにくい時代になるのでは。

阿部:何より働く側も人間だから、やりがいとか人間らしさ、生きがいといった無形の価値を無視することはできない。機械やロボットに任せられることと、人間だからこそできることのすみ分けが、これからできてくるのでは。

マーケット市場と企業の社風も変化の一途

寺島:マーケティングを取り巻く環境では、50歳女性センターピンの層を外す事はできない。人生100年時代、50代の消費はボリュームゾーンで注目するところ。自分たちの消費だけでなく、上の世代と下の世代の消費にも大きく影響を与える世代と言える。

寺島:一昔前、クライアントさんの担当者はほぼ男性だった。今では決裁者も含め女性の担当者が増えた。共創、協業、コラボの意識も変わった。新規事業を始めるにも、変化のスピードが早いから協業していかないと乗り遅れ、全員が倒れてしまうこともあるのが現実。

阿部:昭和時代は自社で学んで、じっくりやって、ノウハウを積んでいく時代だった。今は、そんな暇はない。

寺島:変化で規模を拡大増産させ成長を遂げた人口ボーナス期のやり方と、一つのやり方と小さな変化で成長していく人口オーナス期のやり方の違いの変化が大きい。

次編では、at流マーケティングの真髄と未来について・・・

at対談インタビューその❸「at流マーケのリアリティを未来へ」続く


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