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ベトナム正月料理から見る北部と南部の特徴 バインチュン&バインテット


日本は正月気分はすでに終わって忙しい日常生活に戻っていますが、ベトナムでは旧正月を祝うため、1月下旬から2月初旬は年末モードです。

街中黄色とピンクの花で飾られ、とても華やかです。

テトの飾りについては別の記事でご紹介しますね。


大学の職員室もこんな感じ。


日本ではお正月におせちを作ったり、おもちをつくように、ベトナムでもお正月に作る料理があります。


このお正月飾りに使われている、四角いのと筒状の「ちまき」です。


四角いのは北部の食べ物 バインチュン(Bánh chưng)



筒状のものは南部の食べ物で バインテット(Bánh tét)


作り方はほぼ同じですが、材料に北部と南部の特徴が表れていて面白いと思ったので、実際に私がお料理教室で作ったものをご紹介します。

まず、基本の材料は

もち米・豚肉・緑豆・紫エシャロット・塩・胡椒・ちまきを包む葉っぱ です。

1.包む葉っぱ

北部 クズウコンの葉 (Lá dong )南部ではとれないそうです。


南部 バナナの葉(Lá chuối)南部には豊富にありますね。 

2.もち米

北部 日本の米に似た丸い形のお米(Nếp Bắc)

南部 タイ米のような細長いお米 (Nếp Ngỗng)

3.外側に巻くひも

北部 竹のひも (Dây trúc)平たくてちょっと固い


南部 わら (Lạc)細くて柔らかい

4.形

北部 四角い型を使って作る

こちらは一番小さい型で、15㎝四方くらいの大きさ、もっと大きい型を使って大量に作る家庭の方が多いらしい。

南部 筒形 型を使わずに作る。

   お中元やお歳暮でいただくロースハムのイメージ

★作り方 北部 バインチュン★

①クズウコンの葉の中央の葉脈から2㎝あけて折る。葉脈にそって折る方法もあり。2㎝空けるとバインチュンのちょうど真ん中に線が入るように出来上がる。

②バインチュンの型に葉っぱを4枚重ねて入れる。

③洗って一晩水につけて塩を入れたもち米を入れる。

④1時間水につけて塩をいれてゆでた皮なし緑豆入れる。

⑤塩、胡椒、砂糖、ヌクマム、赤エシャロットのすりおろしで下味をつけた豚バラ肉をいれる。

⑥緑豆、もち米を入れて葉っぱでふたをする。

⑦竹のひもで結ぶ。

★作り方 南部 バインテット★

①水につけて、ゆでてつぶした皮なし緑豆を広げて下味をつけた豚バラ肉で包み、棒状にする。

②もち米に緑色をつけるため、パンダンリーフ(Lá dứa)をミキサーにかけて汁を絞り、もち米と混ぜる。バインチュンのもち米に入れて色をつけてもよい。

③バナナの葉を2枚葉の繊維が縦と横になるように重ねて、もち米を敷いてその上に①を乗せる。

葉を同じ繊維の方向で2枚重ねるとすぐに破れてしまうので、繊維が十字になるようにして補強している。なるほど。。。バナナの葉はクズウコンの葉に比べると薄くて柔らかいので破れやすそう。

④バナナの皮を丸めて筒状にして片側を折って立てる。

⑤もち米を入れて、小さく切ったバナナの葉を2枚葉の繊維が十字になるようにのせてふたをする。

⑥わらで縛る。

⑦反対側も、もち米を入れて小さく切ったバナナの葉2枚でふたをしてわらで縛る。

⑧筒全体に3㎝間隔くらいにわらで縛る。

⑨家庭によっては、もち米にココナッツミルクやバナナをいれるところもあります。南部は甘めの味が好まれるようですね。

⑩バインチュンもバインテットも鍋に入れて水をひたひたに入れて一晩かけてゆっくりゆでます。

こちらは、家庭用に圧力なべでゆでたので水は少なめ。

バインチュンは放射線状に切り、バインテットは輪切りにして食べます。

日にちが経ったバインテットは輪切りにして、フライパンに油を多めにしいて、揚げ焼きにして食べるそうです。

【感想】

できたての熱々を食べたのは初めてでしたが、それもおいしかったです。お正月期間中食べるため、日持ちするよう塩を強めにしていて、できたてを食べると塩味が強く感じました。下味をつけた豚肉が柔らかく、うまみがもち米にしみ込んで、いい味がしました。切った時の黄色い緑豆と緑のもち米の色がきれいですね。全て自然の色なので安心です。

その土地で取れる材料を使って、作っていてそれぞれの地方の特徴がでてとても興味深いと思いました。



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