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介助・介護で大事にしていること

「次はどうしたい? 私にどうしてほしい?」
パーキンソン病と認知症少々の父を介助する時に、動作一つずつを確認しながら進めていきます。ややもすると、介助する側のペースで次から次へと進めてしまいがちになりますが、身内だからこそ相手に敬意を払う視点からも大事にしています。そんなわたし流の介助・介護で大事にしていることを綴ってまいります。


パーキンソン病の父


わたしの父はパーキンソン病を患って8年になります。パーキンソン病は脳の代謝異常でおこる神経核の障害で、座って何もしないときや寝ている時にも手足が小刻みに震えています。筋肉もこわばり、動きがにぶくなったり、身体のバランスが取りにくくなったり。進行するにつれて転んだり、自力でできることが減ってきます。

肢体不自由児施設の理学療法士だった父は、生まれながらにして障がいのあるこどもをはじめ、病気や事故などで中途障がいになった大人まで現役時代は本当に多くの身体をその機能維持や回復に向けて、本当に真摯に向き合っていました。

一人ひとりの症状や状態にあわせて、感情や感覚含めて、穏やかに寄り添う姿勢は私のモデルの一人でもあり、自慢でもあり、誇りです。

その専門性ゆえに病気がわかった時も、自身の身体がこの後どうなるのか、いつもと変わらぬ様子で淡々と話していたことを思い出します。自分の身体のことは自分が一番よく知っている。そしてそれは父が描いていたよりは少しゆっくりですが、着実に身体に変化を及ぼしていて、一人でできることが随分と減ってきました。

介助と介護


立つ、歩く、食べる、排泄する、入浴するなどが自力でできない場合、その手助けをすることを介助といいます。父は、今その介助が必要な状態です。78歳なので、後期高齢者となり要介護度3との認定になっています。

介助が日常生活の行為そのものの手助けをさしていて、一方の介護は、その介助を含め生きていく上で必要な精神面のケアも含めた広い概念介護です。

いずれも自立への手助けであるため、できないことをすべてお手伝いするというよりは、残存機能というまだ十分に対応できる機能はできるだけ動かすことで、機能維持や低下を遅らせるような手助けをしていきます。

そうなると一人ひとりに合わせた介助や介護のあり方が必然的に求められるというわけです。ただ、現実はなかなか厳しい部分があるのも事実です。

介助・介護で大事にしていること


父がこれまで障がいのあるこどもや大人に向き合っていたように、私もその姿勢を引き継いで実践していることは、目の前にいる人にあわせること。主役は目の前にいる介助・介護される方なので、常にその人がどうしたいか、その上でこちらがどう動けばよいかを確認して進めていくことです。

こちらの都合や思い込みで、先を急ぎ、次々とやってしまいそうですが、まずは、聞いてみる、確認しながら次のアクションをおこしていきます。

「自分はこうしたい」という意思を常に持っていた父。自分の身体のことは自分が一番よく知っていると信じて疑わない父。認知症も進み、判断にも時間を要し、何をしようとしていたのか忘れることが増えましたが、その状態を見守り

「次はどうしようとしてたっけ?」
「私はどう動いたら良い?」

質問して、すぐに答えが返ってくる時もあれば、また考えているうちに何をしようとしたか忘れてしまっていたり。

時折ツッコミも入れながら、自分の力でできることを減らさないように、待って、声をかけて、ついでに笑いもとって。父がそうしていたであろうように。「主役は誰か?」これは単に介助・介護をする時だけでなく、人と向き合う時にも心がけていること。

身内なので日常となると難しい部分もありますが、相手に敬意を払う。自分の心のゆとりのバロメーターでもありますね。これからも大事にしていきたいです。

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