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思考の癖

「わたしには、この選択しかなかったんです」
ある会社のフォロー面談で、新入社員のAさんに会社の志望動機を伺ったときの答えです。少し深堀りしてみると「やっても上手くいかない」「どうせ私にはできない」と、物事を断片的に捉えたり、ネガティブに考える思考の癖を持っているようでした。今回は思考の癖についを綴ってまいります。

思考の癖

髪の毛を触る、腕組みをする、咳払いをする...私たちはそれぞれ様々な行動の癖を持っていますが、思考においても同様に癖があります。思考の癖とは、自分が物事を捉えるのに傾向があるということで、日々繰り返される思考のパターンです。

そのため思考の癖は、これまでの経験や見たもの、聞いたものの蓄積ですが、中でも繰り返し起きていることやインパクトの大きかったものは記憶として定着するので、思考の癖により影響を与えていきます。

この思考の癖は良い、悪いということをジャッジするのではなく、自分の思考の癖を知ることが、人生においてより良い選択に繋がるということです。

多面的に捉えるって難しい/見たいものを見ている

そもそも私たちは、事実をありのままに捉えることが難しいと言われています。それぞれが色眼鏡を持っている上に、思考の癖があるからです。

事実をありのままに捉えることについては、こちらから

視点や視座を変えたり、多面的に物事を見ることを意識することは重要ですが、色眼鏡や思考の癖があるゆえになかなか上手くいかないものです。そのために自分一人で考えていると、新たなアイディアが生まれるどころか、1つの視点を深めることになるので、ネガティブな思考だと底なしにネガティブになりがちです。

そうならないためにも、他者と交わり意見や思いの交流や共有をする、大きく違う環境に身を置き視野を広げることは重要ですが、その機会が少ないほどに思考の癖が歪みがちにもなりやすくなります。

Aさんの思考の癖も深堀りしていくと、小学校高学年から不登校が始まり、中学校、高校ともに人との関わりが限定的であったこと、自分自身の存在価値を維持するために描いた思考の癖だということが見えてきました。

事実は1つ、解釈は複数

そのためAさんの過去を遡って、これまでに起きたこと=事実とその理由、そして解釈を訊いていきました。そうすると見えてきたことは、一度そうなった結果をすべてと思い込み、同じ状況になった時にチャレンジすることすらせず、結果づけていたということです。

そのために、例えば別の視点から見ると何が見えてくるか、どんな結果が得られそうか。また何を「事実」と捉えていたかを確認することで、思い込みで事実認識していたことに気づかれたようでした。その上で「事実は1つ、解釈は複数」であると。どう解釈してもよいけれど、長期的にみて自分と周りにとっても健康的かという視点で解釈することは重要であることをお伝えしました。

できていなかったと思い込んでいたAさん、事実を新ためて認識し、できていた事実と、Aさんにはなかった新たな解釈をお伝えしました。その最中にもどんどん涙が溢れてくるAさん。自分の思考の癖が生きづらさにつながっていたことに気づけたようです。これからが、これまでを決める。Aさんの将来が楽しみです。

面談を終えた後の吹っ切れた表情はなんとも言えず清々しいものですね。不毛な思考の癖はどんどん手放していきましょう。



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