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平和を考える日(終戦記念日)

「若者よ、君たちが生きる今日という日は、死んだ戦友たちが生きたかった未来だ」
戦艦大和の語り部として、第二次世界対戦での体験や歴史の真実を伝えた八杉康夫さんのメッセージです。戦争は決して大昔のことではなく、戦争体験者が今なお生き続けている昭和の壮絶な出来事のひとつ。そして今日8月15日は「終戦記念日」。今を生きるわたし達が何によって生かされているのか、そして平和について思いを馳せる日でもあるかもしれません。故八杉康夫さんのメッセージ(致知メルマガより)をシェアします。

沖縄特攻は死への旅


広島県福山市に生まれ「街を颯爽と歩く水兵さんに憧れ」15歳で海軍に志願し、17歳で憧れの戦艦大和の乗組員に抜擢された八杉さん。昭和16年当時、日本の呉海軍工場で最先端技術を結集して極秘に建造された世界最大の戦艦「大和」の乗組員になることは、海軍兵の憧れであり名誉中の名誉だったとのこと。

「おまえの行き先は、大和じゃ。戦艦大和じゃぞ。よかったのぉ。あの艦は絶対に沈まんぞ。大和が沈む日は、日本が沈む時じゃ」

米軍が沖縄に上陸し、いよいよ大和にも出撃の命令が下り、弾薬を積むために一時広島の呉軍港に帰港した日に上陸を許可された乗組員たちに、副長が

「今回の上陸ではしっかり英気を養って来い。そして身の回りの整理を完璧に為してこい」とおっしゃった。普通の上陸では「完璧に」とは言いません。沖縄特攻が「死への旅」であることを意識せざるを得ませんでした。
「母さん、17年間大変お世話になりました。たぶん、今回の出撃では帰ってこられないと思います。私の分まで長生きしてください」

17歳というと高校2年生。我が娘がちょうど高2、息子が中2。国のために戦争という最も愚かな手段の手先になることを、そして死の旅を選択することに耐えられようか。

戦前、戦時中の日本の教育のあり方、そして社会全体の当時の戦争の意味づけを考えてしまいます。

生きる、生き延びることを優先する


沖縄へ向かって呉を出発し1週間を過ぎたころ、米軍は日本の未熟なレーダー技術と天気を味方につけて空撃と魚雷を的中させ、大和を沈没させます。八杉さんが戦艦大和が本当に「不沈戦艦」と思っていたとのこと。

沈む直前に目の前で、海へ飛び込み、無我夢中ながらも頭を過る海軍での教えを思い出します。

私の頭に過ったのは海軍で教わった「生きるための数々の方策」です。海軍に入ってからというもの、私たちが教わったのは、ひたすら「生きる」ことでした。海で溺れた時、どうしても苦しかったら水を飲め。漂流した時は体力を消耗してしまうから泳いではならない……。

海軍で教わったこと、それは「生きること、生き延びること」。国のために「死」ではなく、生き延びることを選択した勇気の背景にあるだろう壮絶な体験は想像に耐え難く苦しくなります。

一方で、時代を超えて今も世界の至るところに「生きること、生き延びること」に向き合っている人たちに対してわたし達ができることは、何なのか?


人として生きた証を、精一杯に生きる


コロナ禍で外出できない、人と逢えない、やりたいことができない不便さにイライラしたりストレスを感じたり。そのような悩みが大きくウェイトを占めるのは平和であるからこそかもしれません。

一方で、職を失い、収入が途絶え今日明日の生活に苦しむ人、コロナ感染で症状に侵されながらも自宅療養を余儀なくされ、適切な医療を施されない人、常に生死に向き合ってそれを支える人たち。

「日本のどこが平和ですか?」と八杉さん。毎日のように親と子が殺し合う、意味もなく殺すことは昔では考えられなかったと。

真の平和とは、歴史から学び、つくり上げていくほかありません。鶴を折ったり、徒党を組んでデモをすれば天から降ってくるものではないのです。
しかし、一流の国立大学の大学院生ですら、「昭和史は教えてもらっていないので分かりません」と平気で言います。ならば自分で学べと私は言いたい。自分で学び、考えることなしに、自分の生きる意味が分かるはずがないのです。

戦争を生き残った方の証言でもよく耳にする「生き残ってしまった」という罪悪感。生きることそのものの過酷さを使命感に転換し、「生きたくても生きられなかった戦友たちの人生」として生きた証を残すことを全うされた八杉さん。同じような想いの方が身近に、そして日本中にいらっしゃって、今の平和があるのではないでしょうか。

人として生きたなら、その証を残さなければなりません。大きくなくてもいいのです。小さくても、精一杯生きた証を残してほしい。

わたしの生きた証。まずは手渡されたこの命を繋ぐこと、この想いや環境を子や孫に、そして未来に繋ぐこと。そのためにできる小さな実践を重ねていきたいと思います。

平和に感謝。命に感謝。



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