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あんスタ!!MVカメラワークのお話

この記事は「Happy Elements カカリアスタジオ デザイナーアドベントカレンダー2020」の5日目の記事です

はじめに

こんにちは!
私はあんさんぶるスターズ!!チームで3DCGデザイナーを務めております、Hです。
私の方からは、ゲーム内で観ることが出来るMV(ミュージックビデオ)のカメラワークについてお話させていただこうと思います。
自分でもカメラワークを付けてみたいと思っている方へ向けて、少しでも参考になればと思いその制作手法を一部ご紹介いたします。


なんか良い

突然ですが制作側の理想は何かといいますと、視聴者さんにMVを観て頂いた後に 「なんか普通に良かった。」 と思っていただくことなのです。

難しい事はわからなくても普通に良かった、という感想がとても有難いです。なぜならば、意外かもしれませんがその "なんか普通に良い" を作るのは、実はとても難しい事なのです!

我々制作陣は、それを達成するために実に様々な手法や技術、工夫を用いてMVが少しでも良いものになるように全力で取り組んでおります。
今回はそんな手法のなかから数点をピックアップしてご紹介したいと思います。

それではよろしくお願いいたします!

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カメラワークは視線誘導!

まずざっくりした所で言いますと、カメラワークの基本は観る側の視線を導くこと事だと言えると思います。
映像の中でいつどのタイミングでどこを見て欲しいのか、又どのように感じて欲しいのか、その瞬間見ている人の視線はどのような軌道で動くのか、常に制作側は意図を持ってレイアウトを構成していきます。

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視線誘導に無理のある動きや不可解な動きが入ってくると、観る側は無意識にストレスを感じてしまい、映像に対する興味や集中を切らす事に繋がってしまいます…。

逆に言えば、良いカメラワークは視聴者の視点を意図通りの場所に無理なく自然に導いてくれます。
それによって視聴者は心地よく映像に集中することができるのです。

ですので、映像が伝えようとしているメッセージを、なるべく多くの人に正しく届けるために、丁寧で思慮深いカメラワークを心掛けていきます!


回り込みの便利な効果!

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キャラクターを中心にカメラがその周囲をぐるりと回りこむ動きは汎用性がありとても便利です。
回り込みには、背景がグルグルと動くので映像全体に動きが出せるのと同時に、中心のキャラクターはほとんど同じ場所に留まるので、キャラクターが見やすいという特徴があります。

そう、つまり 「安定した画面の見やすさ」 「画面の動きや流れから生じるダイナミズム」 を両立できる事が最大のメリットなんですね!

本来であれば両者は相反する場合が多く、激しく画面が動き出すほどに画面は見辛くなってしまいますから、これはとても便利な手法なのです。
ですので、MV作品等では回り込みをよく目にすると思います。
それだけ汎用的に便利に使われているという事ですね。


ズームの中心はどこ?

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カメラレンズの距離を変えることで拡大縮小することをズームIN、ズームOUTなどと言います。
また、カメラ自体を前後に移動させることをトラックアップ、トラックバックや、ドリーIN/OUTなどと呼びます。

これらの画面の動きには見えない中心点が存在します。
目に見えないのなら無視してもいいよね?と思うかもしれませんがしかし、これを蔑ろには出来ません…!
なぜならば、見えずともたしかに存在する"それ"は視聴者の視線を誘導してしまうからです。

例を見てみましょう。

最後の絵はどちらもまったく同じなのに、最終的に視聴者が見ている場所は別の場所になっていると思います。
ズームの中心点には観る側の視線を引き付ける力があるという事がよく分かります。
特性をきちんと把握したうえで画面を前後させましょう。


アクションつなぎとは?

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何か動作の途中でカットを切り替えることを”アクションつなぎ”と呼んだりします。
例えばダンスの場合は、ステップをふんでいる最中にカットが切り替わったり、何か動作が始まってから、その途中でカットが切り替わったりといった具合になります。

動きの途中で絵が切り替わりますので、前後のカットは連続性をもっている という印象を視聴者に与えます。 
要するにスムーズに流れるように切り替わるということですね。
この狙いとしてはズバリそのままの意図です!
カット切り替えをあまり意識してほしくない時 、流れるように一連で観て欲しい時 、この手法でカットを切り替えます。

逆にアクションつなぎでないカット切り替えも、勿論使用していきます。
一つのステップが終わって、落ち着いた瞬間にカットを切り替え、また次のステップへと動きだすといった具合です。
この場合はきちんと段取りを踏んでいるとも言えますね。
こちらははっきりと場面転換したいとき、 カットが変わったとハッキリ感じて欲しい時 に用いると効果的です。

これらはどちらの方が優れているというものではありませんので、特性を把握した上で状況に応じて使い分けていく事が大切になります。
MVの場合はこれに加えて音楽のタイミングとの兼ね合いもありますので、カット切り替えのタイミングはもっと複雑になってくるのです。

今度からMVを観ている時に、今の切り替えはアクションつなぎか、そうで無いか?と意識してみると、新たな発見があると思います!


おわりに

カメラワークを付ける際には無数のテクニックや決まり事、考えるべき項目がありますが、今回はその中から3つを抜粋してご紹介いたしました。
たった3つですが、これらを知っているとカメラワークに対して観る目が少し変わってくるのではないでしょうか。

我々も常日頃から出来るだけ多くの事に注意を払えるように、緊張感をもってMVを制作しておりますので、これからもあんさんぶるスターズ!!のMVにご注目頂けると嬉しいです。

ここまで御覧いただきありがとうございました!

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