あんスタ!!SDモーションのこだわりについて
この記事は「Happy Elements カカリアスタジオ デザイナーアドベントカレンダー2020」の15日目の記事です
はじめに
あんさんぶるスターズ!!チームでアニメーションデザイナーをしている M と申します。(以降あんスタと表記します)
業務としては主にBasicでのSDキャラクターモーションを担当しています。
私からは、 あんスタBasicのSDモーションのこだわりについて書かせて頂こうと思います。
モーションのこだわり
みなさんは、あんスタのSDキャラがなぜ正面を向いているかご存知でしょうか?
正面向きが可愛いから…そういう理由もあるとは思いますが、あんスタではまず第一に彼らがアイドルであることを重視しています。
アイドルならば、つねにファンの方を向いていてほしい。
あんスタ! 〜 あんスタ!!Basicで採用されている正面モデルの制作の第一歩はそこからでした。
そういった強い意思のもと、試行錯誤を重ねて現行のSDキャラの形になっています。
衣装モーションのこだわり
あんスタSDモーションのアイドル達の衣装を調整する際に意識している点をご紹介します!
❗️できる限り衣装のディティールを破綻させない
画像の足もとの明るい部分が調整前と調整後になります。
調整後の方が衣装のデザインとして違和感がなくなったと思いますがいかがでしょうか?
細かい調整ではありますがこうした見栄えの部分を整えておくことで素材の"パーツ感"を和らげ、見ている側の「なんだか見にくいな…」という視覚的なひっかかりをなくしています。
❗️衣装の材質に合わせてパーツを揺らす
左からチェーン・布・両方合わせた画像になります。(本来の衣装から一部パーツを非表示にしています)
胸元についている飾りを見ていただければと思います。
チェーンは先が重いので揺れの余韻が多く、対して布のほうは空気を含みやわらかく揺れて余韻も少ないです。
そういった小物の持つ重さや重心の違いを意識して"材質の違い"を表現することで、SDのアイドル達がその場にいる”リアル感”を出しています。
数多くの衣装がリリースされていく中、こういった意識を持ってSDキャラの衣装調整にあたっています。
衣装の中には揺れる小物がたくさんついているものも多いので、そういった違いも見ていただけるとまた違った楽しみ方が出来るかもしれません!
☆5開花後モーションのこだわり
◆表情
こちらも制作する上で意識していることを大まかにではありますが以下に書き出します!
● ☆5開花後モーションにおける表情の細かい調整
● 腕や小物などの追加パーツによる☆5限定の動き
● 必要に応じてさらにパーツの揺れを細かく表現するためのパーツ分割orメッシュ化
● 特別感を演出するエフェクトの制作
この中でまずあんスタSDの共通のこだわりだと認識して制作にあたっているのが表情です。
☆5開花後モーションの制作過程でチェック担当者に進捗確認をお願いした時、今でもよく言われる言葉があります。
「その表情、○○(アイドル名)くんがするにしては少しニュアンスが違うかも」
「もっとかっこよく(かわいく)してほしい」
▲指摘を受けた時の私です
これは気合いを入れすぎて目元を調整しすぎてしまっていたり、キャラ性と乖離してしまっている時によく言われる指摘です。
SDは目尻や眉毛を1pxずらしただけでも表情が変わってくるので、顔のパーツは繊細に扱わなければいけません。
だからといっていじらないという選択肢はなく、魅力的なアイドルたちをさらに魅力的にみせる為に絶対にこだわらなければならないポイントです。
こうして画像を切り替えながら見てみるとニュアンスの変化がわかりやすいかと思います。(こちらはスバルくんの目元をお借りしました)
あんスタの☆5開花後モーションを担当する方は、どの人もカードイラストの魅力的な表情をSDでどう再現するか…そこに到るまでの表情の変化をどうするか…悩み、試行錯誤しながら制作しています。
同時にアイドルたちの表情がくるくると変わる様子は、制作していても楽しい部分でもあります!
『スカウト!世紀末ウォーズ』南雲鉄虎
『陽炎◆夏の名残とホットリミット』椎名 ニキ
◆世界観
☆5開花後モーションでイベント・スカウトにおいて両方共通で意識されるのは『カードイラストに寄り添ったポーズやエフェクトを考えて制作すること』ですが、実はイベントとスカウトで少しだけ表現の仕方に違いがあります。
イベントはライブパフォーマンスの"リアル感"
スカウトは撮影しているからこそ出せる”非現実感”
こちらを意識したものになっています!
例えば『 スカウト!ドールハウス 』の高峯翠くんや『スカウト!綺羅星飛行隊』の春川宙くんのような不思議な力で家具が小さくなったり、不思議な重力で空中にふわっと浮いてキメ!のような表現はあんスタでは”非現実”に分類されます。ファンタジー表現といってもいいかも…?
同じ滞空ジャンプをするものでも、イベントにおいては不思議な重力というくくりではなくカメラワーク的なスローモーションの見せ場として制作しています。
『Howl!魂を燃やす不夜城』大神晃牙くんのSDモーションでの滞空もそういったカメラワークを意識しつつ、ギターをかきならした後にファンがいる正面へ視線をむける、そういう演出にしています。
MVがあるイベントでは、そのライブ感もモーションに折り込めないか試行錯誤を重ねており『新参!目覚めの暗夜行路』三毛縞斑くんではMV内のモニターを出現させたりしました。
あんさんぶるスターズ!から新章に入りあんさんぶるスターズ!!になるにあたり、SDモーション制作班も”意識”のリニューアルを行いました。
それは、私たちの中の世界観の強化と言えるかもしれません。
上で書いているようにリアル・非現実を頭に置きながら、その中でやれることの幅を広げていきツールの制限で出来なかったこともアップデートしていこう。
そうやって出来ることを増やして、今後もアイドルたちの活動の一場面に携わっていこうと思います。
◆おまけ
こちらは『バラエティとタッグ/ボギータイム!』イベントの☆5開花後モーションになります。
2人を見比べていただくとわかると思うのですが、前半はそれぞれ競技をこなしながら最後に出てくる壁をバックにポーズを決めています。
実はこの壁のエフェクト、制作当初には入れる予定はありませんでした。
入る予定がなかったのにどうして…?という説明のために、ここで☆5開花後モーションの制作前の工程に軽く触れておきます。
☆5開花後モーション制作前の流れ
①アニメーションデザイナーがモーション案を持ち寄る
↓
②コンテンツの方を交えて案を出し合いながらモーションとエフェクトの方向性を決める
↓
③各モーションの担当者がその案に添いながら制作していく
この工程の②の段階で、上記画像の壁エフェクトは存在しておらず”キラキラエフェクトをおそろいで飛ばす”という案のみで留まっていました。
ただ、いざ制作してエフェクトを入れおわってみるとせっかく☆5が2人いるイベントなのにおそろい感が薄く少し地味に見えてしまう…そういう懸念から そうだ、エフェクトを追加しよう!と考え至りました。
追加しようと決めたものの何をどうすればおそろい感が生まれるだろう…とイベントの2人のイラストを眺めたり他のアニメーションデザイナーの方に相談しながら、ああでもないこうでもないといくつかのエフェクトラフを作り最終的に壁エフェクトが生まれました。
こういった、アニメーションデザイナー側でエフェクトの表現を追加したり…というのは実のところ多くあります。
もちろん決められた案に添うのは大前提ですし制作の締め切りという守るべき大切なラインもありますが、そこからさらにいいものに仕上げる!という意識で制作中はこのモーションではあれがやりたいな…これもやりたい…と考えをめぐらせ続けています。
さいごに
Basicの☆5開花後モーションについて、私たちはプロデューサーの皆様がたくさんの労力を費やして目標を達成した後のデザート的存在だと考えます。
頑張った後に、おいしいデザートがあれば嬉しいと思う人は多いのではないでしょうか?
アイドル達を開花させた後のご褒美のひとつ、プロデュース画面で特別なモーションを披露する彼らがいて、プロデューサーの皆様に頑張ってよかったと喜んでもらいたい。そういった意識でひとつひとつのモーションと向き合っています。
この記事を読んで「へえ〜そんなこだわりがあったんだ」と少しでも思っていただけたら幸いです。
今後も制作へのこだわりを持ち続けいっそう強化しながら、より良いものをお届けできるように精一杯努めていきます!
ここまで読んで頂きありがとうございました。
---
Happy Elements カカリアスタジオでは
いっしょに「熱狂的に愛されるコンテンツ」をつくっていただけるメンバーを大募集中です!
もし弊社にご興味持っていただけましたら、是非一度
下記採用サイトをご覧ください!