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「日本国内においてブルーオーシャンになり得るスポーツ市場の可能性をみる」

MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ:2017年11月10日付


<2017年11月9日付 中山レポート>

2015年に文科省管轄としてスポーツ庁が発足し早2年、本年4月には「日本スポーツの5か年計画(2017年4月~2022年3月)」※1. がスタートし、それと同時に「第2期スポーツ基本計画(スポーツ庁)」※2. が策定されました。

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上記の基本計画の中で私が注目した点は以下の3つになります。
① 日本国内におけるスポーツ市場の可能性
② 社会問題を解決するツールの一つとしてのスポーツの可能性
③ スポーツと今後注目度の高いビジネス領域との親和性


国内スポーツ市場の拡大幅は魅力的

先ず、①の日本国内におけるスポーツ市場の可能性についてですが、「第2期スポーツ基本計画(P.18)」※2. にあるように、現状における市場規模は約5.5兆円であり、国はこれを2025年目標として約15兆円にするとしています。つまりは、単純に年換算しますと毎年約1.2兆円ごと拡大することになります。国がどこまで本気で関与するかによっても異なりますが、市場の拡大幅としてはとても魅力的な市場であると言えるのではないでしょうか。一見すると行政の曖昧な概算のように映りますが、次項で述べる国が直面している社会問題への対応という背景により、この市場を早急に拡大せざるを得ない理由が伺えます。


拡大するスポーツ市場を生かしたCSVの構築

次に、②の社会問題を解決するツールの一つとしてのスポーツの可能性についてですが、国が抱える社会問題の一つとして国民医療費の急激な増加があります。これは「国民医療費の推移(厚労省)」※3. のグラフを見れば一目瞭然であり、毎年右肩上がりで急増しています。

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現状において国民人口の4人に一人が65歳以上の高齢者となっていますが、今後この比率は更に高まり2030年には3人に一人が65歳以上の高齢者になると予測されています。高齢者人口が増加する中で、それに比例して国民医療費も年々増加し、2011年時点では38.59兆円、増加幅は毎年約1兆円増にまで達するようになりました。この毎年拡大する医療費抑制のために、前述したスポーツ市場の拡大による問題解決が求められているという側面があります。

翻って、ハーバード・ビジネス・スクール教授マイケル・ポーターは、これからの時代において企業が生き残る条件の一つとして、CSV(Creating Shared Value)を挙げています。CSVを日本語では共有価値の創造と訳せますが、これはあくまでもCSR(企業の社会的責任)から発展したものであり、先ずCSRを基本に考える必要があります。企業の社会的責任とは、企業が社会で果たすべき役割のことであり、企業における事業活動が社会にどのように貢献するかの指針や、社会にどれくらい貢献しているかを計る指標とも言えます。この企業が有する社会的責任から生まれる社会への貢献活動を、社会のニーズとマッチさせる必要があるとするのがポーターの提唱するCSVです。社会のニーズとは社会にある問題のことであり、マッチさせるとは問題を解決することであると言い換えられます。更には、社会への貢献活動にはその企業が独自に持つリソースを生かし、ニーズに対するマッチングが適正であればあるほど、企業の持続可能性が向上し継続した事業利益が得られるのだとポーターは述べています。

つまりは、既にスポーツに関連するリソースを自社内に有している企業や、現状行なっているCSR活動がスポーツに繋がりを持つ企業などは、それらを生かし社会問題の解決に繋げることで他社よりもCSVを構築し易い状況にあるということを意味しています。

新たなブルーオーシャンへのチャレンジ枠

最後に、③のスポーツと今後注目度の高いビジネス領域の親和性については、「第2期スポーツ基本計画(P.9)」※2. にもありますが、スポーツは「健康、IT、観光、ファッション、エンタメ、文化芸術」などとの親和性が高く、この中で特に単体の市場としても今後の拡大が注目されているのが「健康、IT、観光(2K+IT)」です。更に、記載はありませんが「高齢者」を加え3K+ITとすることも可能であると言えます。これまでに注目されていた市場(3K+IT)に未開発のブルーオーシャンであるスポーツ市場(+α )を加えることで、単体の市場とは異なる2つの市場をまたいだ大規模な市場(3K+IT)×(+α )となり、これまでにない新たな可能性が拡大すると言えます。現状において、その大規模な市場へのチャレンジ枠はまだ存分に残されているのだと言えます。


<参考>

※1. 文科省スポーツ庁HP 「日本スポーツの5か年計画がスタート(2017年4月~2022年3月)」http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop01/list/detail/1383656.htm 
※2. 文科省スポーツ庁HP 「スポーツ基本計画の解説 (PDF:1,835KB)」
http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop01/list/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/04/14/jsa_kihon02_slide.pdf  
※3. 厚労省HP 「平成26年版厚生労働白書 ~健康・予防元年~」(図表2-1-9 国民医療費の推移より)
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/14/backdata/1-2-1-09.html


PDF版 中山レポート(200KB)ダウンロード


中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI 日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー
1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp


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