断捨離なんていらん！

好きなものに囲まれて部屋がいっぱい。フフフ。
どれもこれも苦労して手に入れたもの。
自分に似合うかとか、カッコいいかとか、他人の評価なんていらん！
部屋が狭くて何が悪い。俺の部屋だ。
そもそもこれらの価値が他人にわかるか？

学生の頃から憧れていたもの。
いつの日か手に入れたいと狙ってたもの。
大事な貯金をはたいて手に入れたもの。
家族に内緒で買って、怒られたもの。

これなんて、手に入れたときは、嬉しくて枕元に置いて寝た。
これは、コーヒー片手にニヤニヤ眺めて楽しめる。
あれは、デザインや機能に惚れ込んで、一人で「うーん。凄い！」と感心できるもの。

世間でいう断捨離の話とは些か異なるかもしれない。
でも、他人から言われる言葉は「断捨離しなきゃ！」

てやんでえ！男はこだわりがなくっちゃならねえ！物にこだわるのは俺の個性だ！

俺が死んだらそっくり業者に処分してもらう。
それだけの金を残せばいいだろう。

考えてもみろ、スッパリ処分して、何もないホテルの一室みたいな部屋に住みたいか？
それこそ、金も何もなかった若き日の俺の部屋じゃないか。

好きなものに埋もれて生きる。なんて幸せ。
問答無用！

絵　マシュー・カサイ「ご機嫌インコ」油彩　F3