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風鈴、夏の思い出

夏の楽しみの一つ。風鈴。
鉄、ガラス、瀬戸物どれもいいが、一番好きなのは鉄鈴。

畳の上で昼寝をしてる時、チリーンと聞こえてくると涼しさが増し、心地よくまどろむことができた。

街の茶店で「氷」の幟旗が揺らめき風鈴まで鳴っていれば、これはにっこりと入って、かき氷を頼む気になる。

祭の夜店や、商店で風鈴屋さんがたくさんの風鈴をつるしてたら、まず感動してずっと立ち止まってしまう。たくさんの風鈴の音色はこの世のものとは思えない。目をつぶれば桃源郷に一人。

昔、海に泳ぎに行ってある「海の家」で食事をし、海を眺めていた時、風鈴の涼し気な音が聞こえていた。泳ぎ疲れて、満腹になったからだに風鈴の音は心地よく、眠気がゆっくりと広がり、ぼんやりと眺める海辺の人々はなにか映画の世界のような映像に感じた。当時はやっていた、サザンオールスターズの「夏をあきらめて」のメロディーが頭の中で繰り返され、なんだか切ない気になった記憶がある。

風鈴のあの懐かしいような、寂しいような音色。

風鈴の音は気持ちいい夏の記憶を蘇えらせる。


絵 マシュー・カサイ「夏の思い出」水彩・ペン


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