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障害者解雇

 報道によると、障害者が働きながら技術や知識を身に付ける就労事業所が今年3〜7月に全国で329ヶ所閉鎖され、働いていた障害者少なくとも約5000人が解雇・退職されたとのことです。
 過去最多が年間で約4000人てあったので、本年は退職者数を含むとはいえ、5ヶ月でかつてない規模になっています。
 これは公費に依存した就労事業所の経営改善を促すため、国が収支の悪い事業所の報酬引き下げを2月に発表、4月に実施したことが主な要因です。
 就労継続支援は、障害者総合支援法に基づいて一般企業などで働くことが困難な場合に、障害や体調に合わせて自分のペースで働く準備をしたり、就労訓練を行なったりする制度で、雇用契約があり最低賃金が保障されているA型と雇用契約のないB型があり、報酬はA型が月約8万円、B型が月約1万6千円となっています。
 ※Aを希望する場合は事業所による選考があります。
 この期間に全国に約4600ヶ所あったA型事業所(約8万人の精神・知的を中心とする障害者が働いている。)の内329ヶ所が閉鎖され、その内4割強がB型事業所に移行したとのことです。
 ポイントは福祉政策の要素が強く、障害者の方の社会参画の中心を担う制度が、最低賃金が保障され、国の援助があるからという経済合理性の観点から、働く人や保護者の方、運営されている方たちにとって不安感を持つ制度になってしまったことにあります。
 経営努力が足りないという指摘も一理あるでしょうが、安心感のある継続的な環境で精一杯働き、社会への参画意識を持たれている障害を持った方たちの尊厳や、周囲の暖かい想いを思えば、鷹揚な制度でいいのではないかと強く思います。
 関わっている不登校支援に関連して引きこもりの集まりにも参加していますが、就労へのハードルは本人の自尊心も絡んで、想像以上に高いものがあります。
 それを乗り越えて継続支援事業所で働かれている方たちを心から応援したいと思いますし、随所で見られる切り捨て、格差社会の進行に歯止めをかけたく、この行政対応の改善を求めていきたいと思います。

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