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51 / 55、 ウオズミユウ さん (2本目) 【 企画 / 虎吉の交流部屋初企画 】




虎吉のトップページ固定記事「虎吉の交流部屋」内で、この夏、以下のシークレット企画「虎吉の交流部屋初企画」を開催しておりました。

 ● タイトル : 季節のnote(7月)
 ● 募集期間 : 7/1 ~ 7/31
 ● お  題 : 7月の季語から1つ以上選び、
         それをテーマに自由に書く

そこで今回、ご応募いただいた作品を、応募いただいた日時の早い順に紹介させていただきます。



【 51 、 ウオズミユウ  さん (2本目)  】

 ● 季語 : 西瓜(スイカ)


🌳① 感動、感激、共感、ポイント


虎ちゃんこと虎吉です🐯

お弁当箱を取り違えて持って帰ってしまったという、ちょっとしたきっかけから、西瓜(スイカ)を一緒に買いに行き、西瓜割りに挑戦するという、瑞々しく爽やかさなストーリーに心が洗われます。

高校生の女の子たちが、どこか懐かしい響きさえ感じる「西瓜割り」を思いつき、必死に西瓜と格闘するシーンは、僕たちの想像する夏をより広く、強く印象づけてくれます。

これまで数多くいただいた投稿作品の中でも、「西瓜割り」をテーマにされたものはこのウオズミさんの作品だけでした。

この企画のために一生懸命に書き上げてくださったとっておきの1本をいただいたような思いで、作者の思いが心に沁みる作品です。


🌳② 作品から感じる作者の印象


1本目同様、視点が入れ替わる形で前半部分が描かれており、とてもユニークな小説を描かれる方だと感じます。視点が入れ替わることでより入り込みやすい物語になっています。

あと、作者ウオズミさんの作品の特徴として、巧みな比喩表現が多いこと、会話文が多いこと、が挙げられると思います。

比喩表現は「なるほど ! 」というよりかは「なるほど〜、そう例えてくるかぁ〜」と深くうなずかされるような非常に洗練された比喩表現なのです。

比喩表現に加えて会話文の多さがより物語の輪郭をはっきりとさせてくれます。読めば読むほどその素晴らしさが分かるような作品を描かれる方だなといつも思います。

ウオズミさんの作品にはいつも何とも言えない心地よい余韻が残るのです。


🌳③ 作品への感想


前半部分が2人の視点で描かれることで、2人のキャラクターや関係性が鮮明に浮かんできて、引き込まれるように入り込めました。

このような視点の入れ替えで物語により深みを加えるという発想はとてもユニークで面白いですね。

この物語の大きな魅力は、若い女の子たちらしい型にはまらない自由な発想で話が次々と展開されていくところにあると思います。

そしてその展開の大きな推進力になっているのが、テキパキとしていて勘がいいあみちゃんの行動力です。このあみちゃんとゆんちゃんの物語として後半は続いていきます。

前半の展開からどうやってタイトルの「西瓜割り」に持っていくのかと思っていたのですが、冒頭のお弁当に仕掛けを設定する辺り、上手いですね !

この辺りの前半から後半へのスムーズな話の展開にも作者の工夫が感じ取れます。

ストーリーの展開とともに長い時間の経過を思わせる部分もうまく表現で入れられていたので、情景をよりリアルにイメージすることができました。

待ち合わせ前の「日が長い。真夏の夜は〜夕焼けが赤い。赤いのに青い」から西瓜割り最中の「およそ半月といった〜その鈍くも明るい月光の下で」の部分の描写です。

日が明るいうちに会って、気づけば真っ暗になるまで夢中に西瓜割りに挑戦していたという時間の流れがこの描写から分かるのです。

全体を通して、比喩表現がとても洗練されているのはウオズミさんの文章の大きな魅力の1つのように感じました。

箒を実際に持ってみる部分の描写(顔や胸にチクチクあたるとか)はこの小説のために実際持ってみたのかなと思うくらいの見事な描写で驚きました。

僕が最後に痺れたのは物語の締め方です。

つん、と西瓜をつつくと、果汁は表面をつー・・と流れた。その流れる音は、わたしたちには間違いなく聞こえた。
「聞こえたね」
わたしが言うと、でもあみちゃんは不思議そうな顔をした。それからいつも通りの笑顔で、なぜだか「うん」と言うのだった。

物語の最後の文章


これはどうにもうまく説明できる言葉が見つからない、感覚的に感じる余韻なのです。僕と同じような余韻を感じる方はきっとウオズミさん作品のファンになると思います。

読めば読むほどに何度も感動できる物語です。



 🌳( 作者のセルフ推し作品 )🌳


   ( 1本目の記事 )




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