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旅人(ポジティブということ)

ある町の入口に一人の旅人が立っていました。
長旅からの疲れか、頬は削げ落ち全身は埃にまみれていた。強い日差しがそそぐ、その町の入口は、太い二本の丸太が門をあらわすように地面に突き刺してあり、町の名前を書いたプレートが無造作に釘で打ち付けられていた。
旅人は足元に重たいバックパックを置いた。その中から擦り切れた地図を出し、自分が来た道を汚れた指でなぞってみる。
「どこから来たのかね?」
突然、しわがれた老人の声が旅人の耳に届いた。驚いた旅人は声のする方へ目を向けると、いつからそこに居たのか、丸太で作られた門の日陰に、杖を抱きかかえるようにして一人の老人が座って居た。旅人は訝しげにその老人を見つめると、全身から警戒の色を溢れさせ足元のバックパックをそっと引き寄せた。
「じいさんはこの町の人か?」
旅人は老人との距離をとりながら問いかけた。
「生まれた時からワシはこの町に住んでいるよ」
「ふーん。ここはどんな町だい?いい町かな・・・」
「どうだろうな・・・」
「実は、昨日までいた町は最低だったんだよ。人は冷たいし、よそ者を受け入れようとしない、陰気で嫌な町だった」
「ほう…..そうかい」
老人は旅人のことばを聞くと、杖を握り直し、 そしてある方向を示した。
それは町の入口ではなく、反対の方角を指していた。
「この町も同じさ。良いことなんかきっと無い。 貧しくて物騒で優しさの欠片もない町じゃ。立ち止まるのはやめて次を目指した方がよいぞ」
そのことばに旅人はがっくりと肩を落とした。ここも一緒か・・・と、心の中でつぶやいていた。
そして重たいバックパックを背負い直すと、その老人に挨拶もせず再び歩き始めた。 二度と旅人は老人と町を振り返らなかった。

しばらくして、そこに別の旅人がやってきた。
その旅人は、門の影に座っている老人をみつけると、楽しげに自分から話しかけていた。
『こんにちは。お爺ちゃんはこの町の人ですか』
笑顔で挨拶をする、その旅人の姿を老人はじっと見つめた。
長旅の疲れからか衣服は汚れ、顔は垢で黒ずんでいる。しかし、その汚れた顔の奥から生き生きと溢れ出す笑顔に、老人はおもわず微笑み返していた。
「生まれた時からワシはこの町に住んでいるよ』
「本当!それは素晴らしい。もし良かったら一晩僕を泊めてくれる処を知りませんか?』
「ふーむ。ところで、あんたはどこから来たのかね?』
到着したばかりの旅人は、先程ここを去っていった別の旅人と同じ町の名を口にした。そして楽しげにその町のことを老人に話し始めた。
『素晴らしいところでしたよ。優しさに溢れ、旅人の僕を町の人みんなが歓迎してくれました宿も食事も用意してくれました。それに見てください。 出発する朝、こんなにたくさんの食べ物を分けてくれたのです」
旅人は食べ物でパンパンに膨れたバックを老人に示した。
老人は、ニコニコしていた。
『ここも、そこと同じくらいに素晴らしい町じゃよ。どれ、ワシが一緒に案内してやろうじゃないか』
そういうと、老人は杖を頼りに立ち上がり、その旅人と一緒に肩を並べ町の中へと入って行った。
(営業の魔法 中村 信仁著より・・・その他同じ話が本やWebに存在します)

この二人の旅人が来た町は同じです。それなのに老人の答えは正反対です。
どういうことでしょうか。
全く同じ環境にいても、その人の心の状態によって、幸せであったり不幸であったり、楽しかったり楽しくなかったりするのです。

老人は、最初の旅人はどこに行っても不平不満を感じる人であるため追い払い、次の旅人はどこに行っても楽めて、町の人とも良好な関係を作れる人だとわかって歓迎したのです。

よくネット(SNSなど)でも不平不満ばかり書いている人がいますよね。
その人にとってはストレス解消のつもりかもしれませんが、実はせっかく楽しめるはずの人生を自分自身でつまらないものにしてしまっているんですよね、誰のせいでもなく自分自身で・・・。
とても損をしているし幸せではないんだろうなと思います。

2人目の旅人のようにポジティブに感じることができる人はそれだけで楽しい人生を送ることができるし周囲の人の協力を得られたり、メリットも大きく、とても幸せな人生を送ることができるのだと思います。

私のnoteでは、自然にポジティブになれる方法なども今後、書いていきたいと思います。



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