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さっちゃんとにゃんさんの靴

空は透き通るような青色。
カラッとしたお天気で今年も暑い夏が
やってきました。

「ただいま」
さっちゃんの元気な声がします。
どうやら、お母さんとのお出かけから
帰ってきたみたいです。

「暑いよー」さっちゃんは汗をかいています。
「本当暑いわね。冷たい麦茶でも
飲みましょう」
「麦茶飲むー」

さっちゃんは暑くて喉がカラカラ
だったようです。
靴を脱ぎ散らかして、
一目散に冷蔵庫があるキッチンへ
走っていってしまいました。

それを見かねたお母さんは
「さっちゃん!靴!靴!」
さっちゃんを追いかけてます。
さっちゃんはなんのことか分からず、
ポカン
としています。

「お母さん、麦茶飲む」

「喉が渇いたのね、さっちゃん。
でも、先に靴を整えて。靴さん散らかって、
かわいそうよ」

「靴さん」
さっちゃんの靴はスーパーの横にある靴屋さんで
お母さんからつい最近買ってもらったばかりでした。

猫のキャラクター「にゃんさん」がついた水色の可愛らしい靴でした。さっちゃんが一目惚れして、お母さんにおねだりして買ってもらった靴でした。

「にゃんさんもこんな置き方されて
悲しんでわ」

「にゃんさん、」
さっちゃんは急いで玄関に戻ってきました。

さっちゃんの靴はまるで誰かに蹴っ飛ばされた
かのように左右の靴がそっぽを向いて離れた
所に置いてありました。

さっちゃんは少しにゃんさんと靴を買ってくれた
お母さんに申し訳ない気持ちになりました。

ちゃんと靴を揃えてあげると
にゃんさんが喜んでくれたように
さっちゃんは感じました。

お母さんも
「にゃんさん喜んでるわ」と言いました。
さらに
「靴を整えることは、にゃんさんのためでも
あるし、さっちゃんのためでもあるのよ。」
と言いました。

「さっちゃんのため?」
「そうよ。さっきみたいに左右の靴が
バラバラに置いてあったら次さっちゃんが靴を
履く時大変でしょ。」

「うん」

「困るのはさっちゃん。だから靴を揃えることは次靴を履く時のさっちゃんへのプレゼントなのよ。それはさっちゃんがさっちゃんのことを大事にしてあげてるってことにもなるわね。」

「うん。さっちゃん、さっちゃんのこともにゃんさんのことも大事にする」

さっちゃんはにゃんさんのことをますます
大事にしたいと思ったし、
さっちゃんのことを大事にしようと思いました。

おわり


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