見出し画像

技術の浸透

時が経つのは早いですね。出逢った頃は実力もまだまだ未熟だった彼女が、今では多くのスタッフの支柱になっていて、他の事業所の介護職まで育成したりしてるわけです。先日は流山市から依頼を受けて、市民の介護講座で大活躍していていました。

前職で訪問介護事業所を立ち上げた時に、自分たちの方向性について語り合ったことをふと思い出しました。『この地域には介護を必要とする人が多くいるけれど、それに対して自分たちは小規模だ。だからこそ、自分たちの技術を出し惜しみせずに、他の事業所も含めた介護力の向上に貢献することで、より多くの利用者に笑顔をもたらしたいね』と。もう何年も前の話しですが、人間の想いの力は本当に凄くて、気が付けばその通りの人生が広がってるわけです。

より良い技術を浸透させるために、自主勉強会を開催して多くの方々にも参加していただきました。教育不在の現場で痛む介護職を拾い上げたいという想いもありましたが、その実践によってより良い技術が浸透して、自分たちが直接的に介護をするわけではないけれど、参加された専門職を通じて利用者の生活改善が図られると信じたからです。


誰もが生きたい場所で生きて
行きたい場所に行けて
逝きたい場所で逝ける…

そうした地域づくりに貢献したいと願う私たちではありましたが、それは自分たちだけでは実現できない願いでした。だからこそ、理想の実現を根底で支える技術の浸透に全力を尽くしてきたんですね。専門職を対象にした技術の浸透も、次第に地域住民を対象として実践するようになって来ました。”私たちだけでは足りないから、他の事業所にも浸透させたい”というロジックは、”専門職だけでは足りないから、より広く地域住民へと浸透させたい”という願いへと発展してきました。


流山市の東自治会さんとの企画にお招きしていただいたのは本当に楽しかったですね!こちらは地域防災に関する内容で、車椅子での階段昇降の支援技術を共に汗を流しながら学習しました。今は介護施設・事業所でもBCP策定に大忙しかとは思いますが、専門職だけで地域の全体像をどうこうできるものでもありません。災害は地域全体の総力戦なので、こうした実践による繋がりの強化と支援技術の棚卸しによって、救える命は増えていくのだと思います。有事の際には危機管理として繋がり、平常時には介護を必要とする方々の暮らしを豊かにするために繋がれるとしたら、これって本当に素敵なことですよね!


こうした背景もあって、直近での沖縄からの知らせは本当に嬉しかったんですね!

障がいを抱える方への偏見をいかに解消するかという議論は盛んですが、そこに関して自分たちに何ができるかと言うと、正直、よく分かりません。けれども、この社会には偏見なき世界も確かに存在していて、ただ介護上の不安によって行動に移せない方々が多くいるわけです。そうした方々に介護技術を棚卸して、行動への障壁を解消することは自分たちもできる。

そして、介護技術の浸透によって地域住民が行動することによって、地域の中でそれが当たり前の景色になり、結果として偏見が薄れて断ち消えていくのではないかと思うのです。人間は未知なるものには不安を覚えるものです。ですから偏見の本質とは、障がいを抱えたその人ではなく、関わり方への未知さから起こるものだと思うのです。

専門職が支援すべしという発想では、障がいを抱えた方々の暮らしは専門職が提供できるサービスの範疇に押し込められてしまうことになります。ですから重要なことは、地域住民(障がいの有無に関わりなく)の相互的な関わりの促進であり、関わりの阻害因子となる介護上の不安を解消するための技術的な棚卸なのでしょう。沖縄からの嬉しい知らせには心からの感謝で、報告会もあると聴いているので、是非とも皆さんで参加しましょう☺️

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?