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#51 看護の職場に優劣をつけるのは無意味だと気づきましょう

 ときどき「病院で働いてるから、病院以外の看護師より上」と、お門違いのマウンティングをしている看護師がいます。

 看護師の施設による優劣をつけることの無意味さについて、まとめてみました。

看護師の働く場所

 看護師として働く職場はたくさんあります。例えば、現場で働くと言っても、病院・介護施設・クリニック、訪問など様々です。
 救命や治療が優先されるのか、日々をどのように過ごしていくのか、最期をどう迎え見送るのか…など、求められることは異なります。

 ですから、急性期病院でバリバリ働いていて、こう評価されている人が、違う職場で同じように評価されるとは限りません。

現場で求められる看護の違い

 いろんな医療機器が使用できて、医師の指導のもと患者さんの命を文字通り救い治療をしていく病院と、利用者さんの生活の場である介護施設、いろいろな制限があり、その場その場での工夫が求められる訪問…。どの現場でも、それぞれの醍醐味があり、大変さがあります。
 
 例えば、糖尿病患者さんを例にしてみましょう。

 病院に入院している患者さんは、食事・薬物・運動療法などを行い、血糖のコントロールをすることが目的であり、その目的達成のために看護をします。ですから、検査もたくさんしますし、その結果が何を示しているか考えます。また、間食している姿を見たら100%注意をしますし、寝てばかりいたら、動くように声をかけます。

 介護施設の場合、検査は定期受診程度ですし、異常がなければ特別な検査はされません。血糖の経過を終える数値や一般的な項目の推移を見て、積極的な治療が必要かどうか判断されますので、長期的な目線で検査結果を見ていきます。食事は施設が準備しますので、カロリーなどは計算されていますし、必要な薬の管理も職員が行っているため、継続的な内服治療も行えます。間食も、施設や担当医の方針にもよりますが、年齢や余命、食事の摂取状況などを鑑みて、ある程度の許可がされることもあります。

 訪問看護の場合、必要な治療が継続できているかを見極めることが重要になります。食事は患者さん本人や家族が調理しますので、カロリーだけでなく、栄養素なども偏りがちです。また、認知的、思考的、経済的理由から薬の自己中断も少なくありませんので、その患者さんが継続できるように家庭事情や人的環境を含めて考えていく必要があります。

 この例からも、同じ看護師でも、職場によって、求められることは異なります。これは、患者さんや利用者さんに対する業務内容の違いだけではなく、家族との関わりの頻度や密度も大きく変わります。

仕事ができる人

 その部署で必要とされることを見極め、それを行える人が、本当の意味で「仕事ができる人」です。

 例えば、施設入所中の利用者さん(血糖コントロールがまずまずできている方)に対して、病院と同じように、間食に目くじらを立てて注意することに意味はなく、勘違いした看護師の自己満足でしかありません。
 そんなの当たり前だと思われるかもしれませんが、同様のことは日常茶飯事にあるのではないでしょうか。「病院なら…なのに」「普通なら…こうするのに」などと言いながら、経験した職場を基準にした言動をしている方は少なくありません。

 このような行動をとってしまう方は、例えどんなに知識や経験があっても、”今の現場で自分に求められている仕事”が見えていません。
 見当違いな視点で行う看護は、患者さんや利用者さんだけでなく、その家族や、同僚に対して失礼な態度をとっていたり、既存の関係性に亀裂を入れてしまう危険があるということを認識しておく必要があります。

職場の違いによるマウンティングに意味はない

 どの職場で働こうとも同じ看護師です。しかし、確実にそれぞれの土俵が違います。それなのにマウントを取ろうとするのは、土俵が違うことに気づいていない愚かさを、自ら露呈させているようなものです。
 あなたはあなたの土俵で精一杯取り組めばいいですし、自分とは違う土俵で頑張ってる人だと思えば、相手を認めることができますし、比べることに何の意味もないことに気づきます。 

 看護師として働く場所はたくさんあって、それぞれの場所で各々の熱い思いを胸に働いています。そこに、優劣をつけて見下したり、逆に、萎縮したりする必要はありません。
 これは働く施設の違いだけではなく、施設内の部署についても同様です。

 もし、あなたが今とは違う土俵で働くことになったら、新しい土俵の特徴やルールをちゃんと知って、それに則って、あなたらしく働きましょう。
 

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