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集中治療室で働く看護師として

皆さん、こんばんは。
とあるナースです。

数年前まで、私は集中治療室で働いていました。
おそらく重症の患者さんや亡くなる方と出会う数は、他の看護師に比べて多い方だと思います。


友人から「気持ちが引っ張られて職場でツラくて泣いたりしないの?」と聞かれたことがありますが、一度もありません。

医療業界は、基本的にネガティブな職場です。
生命が危なかったり、緊急入院で手術を終えたり、、、緊張感のある患者さんが多くいるところに私は7年間いました。


そして、看護師1年目の時に先輩から教えられたことがあります。

それは「患者や家族の前で泣かない」
気持ちに寄り添いすぎて、感情まで持っていかれないように、と言われたことを覚えています。



冷たいなと感じる方もいるかもしれませんね。


これは私なりの考えですが、まず医療者は冷静であるべきです。
医師や看護師は、その場その場で最善と言われる正しい判断をしなくてはいけません。
そんな時、患者本人や家族と同じ立場で泣いていたら、正しい判断や正確な作業ができません。
私たち看護師は複数の患者を担当している場合が多いので、一人の患者さんに集中すると、他の方の安全も守れなくなってしまいます。

2つ目の理由として、本人や家族を主役にするためです。
これは言葉が合っているかわかりませんが(誤解を生んだらすみません)看護師はある意味脇役であるべきだと考えます。
看護師が主役になり、進んで悲しむのではなく、きちんと患者さん本人と家族に悲しんでもらう時間を作る。
患者さんにとって最期の時間をどう穏やかに過ごしてもらえるか考える。
自分の感情を優先せず、患者や家族のためにどう働きかけるか、あるいは敢えて何もしないか。それがプロの仕事だと思っています。



こんな偉そうなことを書いておきながら、私は半年に一回、散歩をしながら泣いてました。
長く入院されていた方、仲良くしてくださっていた方、つらい治療を受け続けていた方、、色んな患者さんの顔が浮かんでは消えていきます。
患者さんのことを想って泣きます。

私たちも人間ですから、心では泣いています。
そして次の日からまた新しい患者さんのために、働いています。

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