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みっきーのリアル登山者の端書き#505『消化吸収』

畜産農家さんとの話の中で、牛に何を食べさせれば最も乳脂肪が高い牛乳が作れるかという話になりました。

同行していた飼料メーカーさんは、油粕といった脂質の多いものを与えれば増えるのではないかと回答していましたが、畜産農家さんは「みんなそういう風に考えるが、実際一番いいのは草だ」と答えていました。

人間を含めて生物の消化吸収のプロセスにおいて、食べ物は非常に細かいレベルまで分解されてしまい、元の要素はあまり残らないとされています。
つまり脂質の多いエサを食べても、乳脂肪分には直接は転換されないということです。

元々牛の体内には繊維質から脂肪酸を製造するのが得意な器官が備わっており、繊維質(=草)を食べることの方が乳脂肪の向上に効果があると見られています。

これと同じように人間の学習プロセスを考えると面白いと感じました。

つまり、何かを教える際に外的な強い固定概念を押し付けるのではなく、自身の中にある能力で再構成させることによって、より適切な成果が得られるのではないかということです。
教える側として必要なのは、教わる側の再構成する能力を促すことだと言えそうです。

問題は牛の器官と違って、人間の中に果たしてそのような機能を果たすものが生来存在するかということです。
強いてこれを置き換えるとするならば、人間がある程度等しく持つ「好奇心」でしょうか。
「好奇心」は何かの対象について、思考の偏向を行なうものです。
思考が集中することで、再構成に繋がるということはやや強行な論かもしれませんが、「やってみたい」「気になる」という意識をくすぐって、成果を得るというのは他の教育論でも耳にするところではあります。

長年の進化の歴史で形成された生物的の有機的なプロセスが、もしそういった教育の中でも意味があるものであるとするならば、自然・生物に対して関心・観察を行なうことは社会に価値をもたらすのかもしれませんね。

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