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#3 波瀾万丈…西日本緊急周遊記

#2 の続き)

あわや「おはよう逮捕」(Day1 / 未明~朝)

一旦関西に留まることを決めた私は突如として便意に襲われた。洗濯物を洗濯機に放置したまま、私は念のため荷物一式を持ち、隣のコンビニに駆け込むと、急いでトイレに入った。トイレに入った後のことは汚いので書かないが、深夜で客もいなかったので長時間便座の上で時間を潰した。その後、あまりの寒さに耐えかねてカップ味噌汁(103円)を購入、お湯を入れてコインランドリーに持ち帰り、少しずつ口に入れた。まるで温泉に入った時のように、体中に温もりが伝わっていったことがわかった。

あまりにも寒かったので、持ってきていた寝袋に体を入れて横になると、疲れていたのだろう、たちまち眠りの淵へと落ちていった。

私を寒さから救ってくれたお味噌汁

何時頃だろう?誰かがコインランドリーに入ってきたようだ。

「おはよう」

(ん?誰だ?)

私はむっくりと起き上がると寝袋のファスナーを開けて顔を出した。ぼやけた視界に映っていたのは二人の警察官らしき男だった。

(ぐぬぬ??警察…!)

一気に目が覚めた。なぜか急に体中がガタガタと震え始めた。

「家出とかじゃ…??」
「いやいやいや違います違います」
「身分証見せてもらえるかな?免許証とかある?」
「あ、えっと学生証と保険証ならあります。どうぞ」

もう一人の警察官が照会を行い、家出人や指名手配犯ではないことを確認したようだった。

私は最大限丁寧に受け応えを行った。なぜコインランドリーで夜を過ごさなければならなくなったのか、そもそもなぜ愛知県に来たのか、そしてコインランドリーは利用したのかどうか(利用しといて良かった…)など。そんなことまで言わなくても良いよね?ってくらいまでバカ丁寧に詳細を話した。

しかし、突然の出来事に体がついてこないのだろうか?何にもやましいことはないのに、手はますます震え出し、側から見ても異常なほどになっていた。

「念のため凶器とか持ってないか確認するね、荷物開けてもらって良い?」
「え、凶器ってどんなものですか?」
「ナイフとかスタンガンとか、棒状の物とか」
「あーないですないです、三脚くらいしかないです」
「手震えてるけど大丈夫??そんな寒い??」
(やばい怪しまれてるやばい…)
「いや、自分でもわかんないんです、なんか震えてて、別に変なもの持ってるとかじゃないんですよ、寒さと緊張かもしれないです、すみません」

当然だが、結局凶器は出てこなかった。その後、私が取材活動をしている証明を求められたので、私のYouTubeチャンネルなどを提示すると、丁寧な説明に感謝され、私は解放された。

聞くところによると、どうやら見回り中ではなく他の利用者からの110番による出動だったらしい。おおかた、寝袋に包まれた死体か何かと勘違いされたのだろう。このnoteの冒頭、「職務質問」と書いたが、正確には「取り調べ」だったわけである。コインランドリーの時計を見ると朝の7時半を回っていた。他の利用者が来る早朝までには起きようと思っていたのだが、つい寝過ごしてしまったわけだ。お騒がせしてしまい申し訳ない。

私は大きな荷物を背負ってコインランドリーを出ると、警察官と別れ、隣のコンビニへと入った。あまりお腹は空いていなかったので野菜ジュース(110円)だけ購入した。あれ?夜と同じ店員?向こうも「また来たな大荷物野郎」とでも思っていたかもしれない。

野菜ジュースを飲みながら、私はなんとなく国道沿いに北を目指した。北には24時間営業のネットカフェがあるのだ。

(#4 につづく)



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