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都知事選総括~蓮舫ショック

今回の都知事選の目玉候補、謝蓮舫氏。政治家として20年、抜群の知名度と注目度、民主党では大臣まで務め、立憲民主党でもシンボルの一つと言えるような重要な存在であった彼女の惨敗が与えたショックは、計り知れないという言葉で表せないだろう。

もともと、小池百合子都知事に対して仮に勝てなくとも善戦することで小池氏を応援する自民公明政権に打撃を与えられるという目算だった。例えば小池氏250~300万票に対し200~250万票というのは十分可能だったように見えたし、それくらいの票差で小池氏を脅かせば今後は立憲民主と共産の共闘がより強固になり、政権奪取も可能なレベルの風を起こすことができただろう。

ところが、蓋を開けてみれば小池氏にダブルスコアの惨敗、しかも無名で政党の後ろ盾のない新人にすら40万票の差をつけられての3位。蓮舫氏の知名度、タレント性、存在感以上の政治家は立憲共産れいわ社民の左翼勢力では、山本太郎が近いが、キャリアは蓮舫氏に及ばないし、そこまでの大物感はない。全てにおいてほかを圧倒してる候補だったのだ。特に無党派層が蓮舫氏に投票しなかったことは大きい。市民が~!!!と叫んでいる陣営が、完全に市民に見放されたのである。

前回20年の都知事選の結果は、小池350万、維新小野+れいわ山本+{共産}宇都宮で200万余の得票。この200万余のうち、維新小野を除いた140万は左翼票で本来ならとらなければならない。宇都宮票85万は強固な共産票だとして、実際に120万しか得票できてなかったということは、れいわ新選組の左翼票をかなり取り零しているということになる。ただ、山本票は当時勢いのあったれいわ新選組の力量を反映したもので、今それだけ取れるかは不明だ。この山本票も浮動票が多く混在していたのではないだろうか。その票は石丸に流れたと思われるが、当時の山本も現在の石丸もどちらも改革、革新のイメージがあり、どちらも若年層がターゲットだ。そうした若年浮動票は古い政治家である蓮舫に向かうとは思えない。

そうなると、もし仮に蓮舫が共産の支援を受けずに共産色を薄めたとしても、さほど得票できなかったと思われる。共産色を薄めることで多少の無党派が戻り、連合の支援を受け労組票を得たとしても、今度は宇都宮票85万が蓮舫に向かうとは限らない。山本+小野の125万票は極めて浮気な票だ。勢いのある石丸に向かう可能性は捨てきれなかった。共産宇都宮票も、石丸氏が朝鮮慰霊碑追悼やLGBT問題で左派色を強く打ち出しているので、もし共産から離れれば宇都宮票すら失いかねなかった。また、万一共産が別候補をたてたら目も当てられなかったろう。

結論として、立憲共産の共闘は現時点で最高の選択肢で、この選択を捨てればより票は減っていたのではないかと思われる。立憲民主は既に左に傾きすぎ、いまさら無党派の取り込みは難しいのだ。かといって、神宮再開発賛成します、減税と規制緩和で所得増やします、手当増やします、といったところでインパクトはない。

どちらにしても手詰まりで、立憲共産は仲良く共闘し、ひたすら自民や維新の批判にいそしんで不満票を吸い上げるしか手立てはないのだ。幸い、マスコミは立憲共産の見方である。いつまでも裏金=報告書記載漏れ(立民議員もやっている)を味のしないガムを噛むように引き伸ばし、付き合ってくれる有権者の票を吸い上げるしかないのだ。

同日に行われた都議選では自民は2,都民ファースト3,立憲民主1、無所属1、諸派1。このうち無所属(品川)1は靖国参拝を主張する保守派であり、諸派1は立民も推していたリベラルなので(八王子)、結局左派は2勝6敗となった。ちなみに日本共産党候補は全滅である。

あれだけの”裏金暴風”も、おさまったとは言わないがかなり弱まって風向きも変わってきた。静岡県知事選、沖縄県議選と、流れが変わってきた感じがしていたが、ここに来て決定的になった感がある。

立憲共産の皆さん、そろそろ宴の片づけをしましょう。

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