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いま住宅購入を考えている人に、声を大にして伝えたいこと<2>

前回に引き続き、「いま住宅購入は焦らないで」というテーマで書きます。

皆さんは「空き家率」という言葉を聞いた事がありますか?これは総務省が長年調査を続けている "空き家/総住宅数" の割合です。「空き家率 調査」でググるとすぐに総務省のページにヒットします。これ、住宅購入を考える時には是非チェックしてほしい数字なのですが。身近な友人(不動産関係者を除く)で、この統計を知っている人がすごく少ない。

「日本の住宅事情はスクラップ&ビルド」というのは、結構認識されていると思うのですが。近年非木造の集合住宅の割合が増えているので、この流れが続けば住宅の耐用年数は長くなっていきます。日本では新築好きの人が多く、お金があれば「ピカピカの新築マンション」とか「好きなように設計した注文住宅」に住みたいという人がまだメジャーなのでは思います。

この新築信仰のせいで、日本の空き家率はまさにうなぎのぼりの状況です。具体的に言うと昭和38年に2.5%だったものが、平成30年には13.6%の割合です。これは日本全国での統計なので、地方の空き家率はもっと深刻です。具体的に言うと和歌山・鹿児島・徳島・高知、の空き家率は18%を超えています(平成30年時点)。10%以下は沖縄のみで、埼玉・神奈川・東京、でも10%は超えています。

日本政府もこの状態は問題視していて、「リノベーション協議会」という協会を作って良質な中古住宅を増やしていく工夫をしています。特に「適合R住宅・安心R住宅」という住宅の品質を担保する工夫は購入時の不安を払拭するために有効だと思います。ただ、「リノベーション」という言葉のせいか「インテリアにこだわった嗜好性の強い家」に住みたい人向けのイメージになっている気がして勿体ないと思うのですが・・・。

少子化が進む日本では、これから高齢者が戸建てから集合住宅や介護施設へ住み替えていく事が容易に予想されます。そして更に空き家率が上がってしまった時、不人気な地域・物件(集合住宅)に長期のローンで買った家を持っている事は非常なリスクになります。価格が下落して「売るに売れない」状態で住み続けなくてはいけないからです。

7年前に東京オリンピックが決まってから、東京の不動産価格がどんどん上昇していったコロナ前まで、誰が今のコロナ禍の状況を予想できたでしょうか。長期のローンというのは、そういう「想定外の状況」の時に怖い足かせになる可能性があります。正直、いま「是非不動産を買うべき」と言えるのは「高所得で不動産所得による多額の税控除を受けられる人」くらいです。

そんなわけで、いま「家を買いたいけど迷ってる」人には、「焦って買わない」事と「良質で割安な中古不動産の情報収集」をすすめます。新築と違って値下がり率が低い良質な中古不動産は、安くリフォームすれば非常にコストパフォーマンスのいい住居になります。「家に人生を縛られる」事なく、みんなが軽やかに住み替えていける為にも、新築信仰をなくして中古住宅がメジャーな日本に代わっていってほしいと願っています。

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