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「じゃあ、日本はどうなるんだ?」と聞いたら、「日本は遠すぎるしソ連に近すぎる。我々がカバーできるわけがないじゃないか。なぜ日本は自分で核を持たないのか」と。その通りだと思ったね。

ところが、自民党の政治家は誰一人、言及しないこんな発想力がなくてどうする。本当に情けない。
2022年12月29日
2019年8月に発信した章を再発信する。
誤字、段落を修正して再々発信する。

以下は月刊誌WiLL今月号に「日本よ、核を持て!」と題して掲載された石原慎太郎と亀井静香の対談からである。
核保有について自民党議員は誰一人、言及しない。本当に情けないよ
究極の二枚舌
石原 
トランプが「日米安保見直し」とか言い出しているな。
亀井 
「アメリカが攻撃されても日本はソニーのテレビで見るだけだ」だと、片務的な関係がおかしいと言う。
石原 
これを機に、日本はアメリカのポチから脱するべきじゃないか。
憲法改正し、自前の軍隊を配備する。
亀井 
今の自衛隊の実力であれば、十分可能だよ。
石原 
それと、常々言っていることだけど、日本はそろそろ核開発し、保有すべきなんだ。
ところが、自民党の政治家は誰一人、言及しないこんな発想力がなくてどうする。
本当に情けない。
亀井 
ただ、保有したとして、どれだけ日本の安保に資するか、疑問がある。
日本が核を持ったところで、北朝鮮が核を廃棄するとは思えない。
石原 
抑止力にはなる。
核で報復できるとわかれば、牽制することが十分できる。 
だいたい、アメリカは北朝鮮の核保有を認めようとしているじゃないか。
でも、日本の核の保有は認めないとするならおかしいだろう。
亀井 
核でなくても、ミサイル配備だけで十分な攻撃力を有している。
北朝鮮の基地も殲滅することが可能だ。
人類が破滅の危機に陥る可能性がある核の撃ち合いは賛成しない。
石原 
撃ち合いじゃない。
抑止力だよ―昔、フランスの哲学者で、ジャーナリストのレイモン・アロンと対談したことがある。
ド・ゴール政権のブレーンでもあった。
フランス人には珍しく英語を話すことができて、若泉敬も対談に加わった。
若泉は非核三原則を無視し、沖縄返還に尽力、『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』(文藝春秋)という本を著わしている。 
レイモン・アロンから「なぜ、日本は核を持たないんだ。核を持つ資格が一番あるのは日本だ。何を考えているんだ」と言われ、返す言葉もなかった。
若泉は純朴な人で、興奮すると鼻血を出す癖があった。
対談中もレイモン・アロンの話に刺激を受けたのか、鼻血を出していたな。
亀井 
若泉さんは直情径行なところがあったから、さもありなんだ。
石原 
面白いことに、若泉はその後、生まれた子供に「核」という名前をつけたよ。
亀井 
広島と長崎で使用されたあと、核はずっと使われないままだ。
米ソ冷戦時代でも結局、使用されなかった。
アメリカだって朝鮮戦争やベトナム戦争などで核を使ったら、ソ連が報復する可能性があった。
だから、アメリカはその危険性を回避し続けたわけだ。
石原 
にらみ合いこそ平和の本質だ。
でも、核がなければ、そのにらみ合いすらできない。 
佐藤栄作は「非核三原則」を謳いながら、その一方で、ジョンソン大統領時代に、日本も核を保有したいからノウハウを渡してくれと言って断わられている。
ドイツにも一緒に核を配備しようと交渉を持ちかけていたんだ。 
ただ、ドイツは東西分裂し、プラハの春でロシアが不穏な動きを見せていたから、沙汰止みになってしまった。
実際に日本への核持ち込みも許している。
佐藤さんの二枚舌はすごいじゃないか。
沖縄返還交渉のとき、アメリカ本国での交渉が必要になった。
みんな行きたがったが、佐藤さんは僕と竹下登にだけ許可を与えてくれた。
一緒に行くと目立つから別行動しろと言われ、僕はソ連、竹下はメキシコ経由でアメリカに入った。
若泉は「石原さん、アメリカの戦略基地を絶対に見てきてください」とアドバイスしてくれた。
それで北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)と戦略空軍(SAC)を訪問した。
NORADの司令官は、ソ連のミサイルが飛んできたら途中で撃ち落とす。
しかし、その警備体制は名前の通り「ノース・アメリカ」だから、アメリカとカナダの一部だけが対象だと言うじゃないか。 
「じゃあ、日本はどうなるんだ?」と聞いたら、「日本は遠すぎるしソ連に近すぎる。我々がカバーできるわけがないじゃないか。なぜ日本は自分で核を持たないのか」と。
その通りだと思ったね。
後略。

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