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日本文化人の「反権力」は相手を間違えてないか

以下は、高山正之が、月刊誌正論の冒頭を飾る「折節の記」を編集長のリクエストで匿名で書いていた時の論説をメインに集めて2015/2/28に出版した『アメリカと中国は偉そうに嘘をつく』からである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
真実を明らかにして私たちに伝えている彼の舌鋒の鋭さには誰もが感嘆するはずである。
論旨の鋭さにおいて彼の最高峰であるといっても過言ではない。

日本文化人の「反権力」は相手を間違えてないか
アルトゥール・ランボーは名を成しても我が道を行った。
愛人ベルレーヌと痴話喧嘩の果て、アフリカに行って武器商人になった。 
しかし名を成した日本人は違う。
「ただの有名人じゃあない。もっと偉い文化人に思われたい」病に罹る。
そして文化人とはなぜか左の人と思い込んでいる。 
で、ストリップ小屋で脚本を書き、ひょっこりひょうたん島で名を成した井上ひさしは突如「ボクは反戦文化人」と称してマッカーサー憲法の番人になった。 
森村誠一もただの推理作家で飽き足らずにある日「左はいかがですか」と売り歩く日共の「悪魔の飽食」に飛びついた。
満州の731部隊はナチス並みの人体実験をやっていた。
これがその真相ですと。 
米国は「日本は原爆がふさわしいほど残忍な侵略国家だ」と言い、それを証明するのにやっきだった。
しかしどこを探しても日本人は美しく、略奪も強姦も捕虜虐待もなかった。
しょうがないから南京人虐殺やらバターン死の行進やらをでっち上げた。 
もし731部隊が毛筋ほどの悪さをしていたら米国は躍り上がって喜び、南京の30倍も騒いだことだろう。
「同部隊が米軍に貴重なデータをくれた。だから見逃した」と日共は言う。
アホこけ。
米国はアラバマ州タスキギーで40年間も梅毒患者を泳がせて米市民数100人を巻き込む人体実験をやっていた。
それをクリントンがやっと認めて謝罪し賠償した。 
実はグアテマラでも第二次大戦後、囚人や知恵遅れ少女の目に梅毒菌を入れて何日で死ぬか実験をやったのがばれ、オバマが謝った。 
米国は人体実験国家だ。
日本の出る幕などない。
森村はそれも知らず、文化人ぶりたくて宮本顕治の口車に乗った。 
こういうブリっこ派と違って計算ずくで左ネタを扱う作家もいる。
山崎豊子だ。 
たとえば日本航空をモデルにした『沈まぬ太陽』。
あれはフィクションだと山崎は逃げを打つが、主人公の「恩地」は日航労組委員長の小倉寛太郎だ。
彼はバリバリの共産党活動家で、東大在学中に三越に赤旗をたなびかせた。 
左派活動家はもてる。
西部邁だってもてた。
小倉は長身でハンサムだったからもっともてた。
三越の女店員は小倉のアジに酔って警察隊に突っ込んで160人が重傷を負った。 
小倉はそんな活動歴を隠して日航に潜り込み、日航労組委員長に就任した。 
ルーズベルトは「日本にぜんまい仕掛けの飛行機も持たせるな」と言った。
大学での航空力学の講座まで禁正したGHQに松尾静麿は「日本人だけの日本航空」を認めさせた。
そこに何があったかは別稿に譲るが、松尾は日航をもって航空日本再建の礎にするつもりだった。
だから彼は航空保安庁をつくって戦前の操縦上を確保し、あるいは米軍に送り込んで管制のノウハウまで学ばせた。 
しかし小倉は違った。
三越を潰しかけたように、うぶな日航を壊しにかかった。
三越の女店員と同じに日航スチュワーデスを踊らせて銀座でデモをやらせた。
要求は月給6倍、出社はハイヤーで、生理に2日間休暇を。
ストッキングはただで支給せよ。 
小倉はストを連発し、欠航が続き、日航は赤字に転落した。
松尾はそんな小倉の団交に徹夜で付き合って日航の大切さを訴えた。幾度目かの団交のさなか、松尾の娘が白血病で重篤になった。
交渉中断の話が出たとき小倉は「つけこめ」と嘯(うそぶ)き、連日、夜明けまで松尾を団交の場に足止めした。
父は娘の臨終に問に合わなかった。 
組合員はこのとき小倉の残忍な素顔を初めて知った。
スチュワーデスは泣いた。
小倉は居場所を失って海外勤務に自ら出た。 
山崎はこの事実を隠し、小倉を嘘にくるんで英雄にした。 
あの小説の締めは日航機御巣鷹山事故だ。
原因はボーイングの不始末だ。
松尾の日本航空界再建の夢が果たされていれば起きようもなかった。それを壊した小倉を山崎はヒーローに仕立てた。
山崎は糞をカレー味にして無邪気な日本人に食わせた。 
彼女はいま『運命の人』で毎日新聞記者西山太吉を「権力と戦う新聞記者」と描く。 
これも嘘っぱちだ。
彼は新聞記者を装い外務省女性職員に言い寄り、寝てネタを取った。それが悪いとは言わない。
ただ記者ならネタ元をなぜ秘匿しなかったのか。
彼女が誘ったと嘘を並べた。
それだけで記者の資格はない。 
記者はネタを書いて初めて記者になる。
しかし彼は記事にもしなかった。
ネタを社会党に持ち込み、政権に揺さぶりをかけた。
ブンヤでなく総会屋の所業だ。 
山崎はそんな下司を権力に立ち向かうヒーローにした。
権力とは自民政権だと。 
違うだろう。
日本を牛耳る真の権力者は米国だ。
戦争で領土拡張は許さないと言いながら沖縄占領を続ける。
しかし戦略基地は要るが100万県民は要らない。
沖縄上陸のとき皆殺しにしとけばよかったと今も思っている。 
で、基地はそのままにして県民の扶養だけ日本に押し付けた。
返還に喜ぶ日本人にそれなら米国の好意にお礼を出せと基地維持費を今も日本にせびっている。 
山崎がたかり記者として描いた読売の渡辺恒雄は当時、ワシントンにいた。
彼は沖縄返還には繊維交渉が絡んでいたと言うが、それも米国の強欲さの一面だ。 
日本を騙し、脅して富を掠める米国を度外視して何が「権力に立ち向かう」だ。 
笑わせたのは山崎の嘘に騙された思考カゼロの岡田克也が破廉恥な西山に謝罪したことだ。
この男は政治家よりイオンで客の呼び込みをやっているのが一番似合う。

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