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【毒親】お兄ちゃん

私には兄が2人いて、
一番上の兄は私が20歳の年に、亡くなりました。

兄が亡くなる前の数年間は
私にとっては鬼の地獄のような期間で

両親は別居からの離婚調停中、
母は元々のヒステリックな性格が更に勢いづいて
父から連絡が来ては怒り、泣き喚き、愚痴を溢し、
唯一一緒に逃げてきた私をどうにか味方に付けようと必死な姿が、哀れでした。

たまに会う父は酒に溺れては暴言を吐き、お金をせびり、お母さんには他に男がいるんだろ?と
娘の私から調停で有利になる情報を得ようと必死になる姿が、哀れでした。

そんな環境の中で父と暮らしていた兄は
さぞ辛かっただろうな、と思います。

様々な原因から心の病気になって
家から中々出ることが出来なくなった兄は
病気や薬の影響で、言動や性格、身なりも随分変化していきました。

私の知っている兄じゃなくなった兄に私は不安と嫌悪感を覚えて
随分と、素っ気ない態度を取ってしまう期間がとても長くありました。

だって、
私の知ってるお兄ちゃんはよく笑うし、よくふざけるし。
ただただ、優しい人だから。

そう突っぱねているうちに
いつのまにかお兄ちゃんは死んでしまいました。


そこから何年も経って
私はあまり兄のことを考えずに生きていました。
母へのストレスが肥大化するなかで
兄の存在感は私の心の中で小さくなっていって

そのうち自分の転職活動や結婚などのイベントが進むうちに
随分と、心の奥底のほうで眠るようになりました。


そして今日。
命日でもなんでもない日ですが

母の自宅で昔の写真を見返していたら
見つけてしまいました。

兄がおそらく大学生くらいの頃。
亡くなる約6年前くらい。

自分の携帯電話で自撮りをしたっぽい
そんな、笑顔の写真。


あまりに私の知ってる兄の顔で
あまりに優しい、大好きな笑顔で

懐かしさと、嬉しさと、苦しさで
私は自宅へ帰った後
声を上げて泣いてしまいました。

兄のことで泣いたのは
お葬式の時以来かもしれません。

それくらい
意識的に、心の奥底に眠らせていました。

けれど未だに私は
母のことで気持ちが沈んだ時、
仕事で嫌なことがあった時、
誰かに話を聞いてほしい時、

お兄ちゃんに、会いたいです。

会って謝って笑って泣いて
それからたくさん、おしゃべりをしたいです。

写真を通して10年以上ぶりに感じた兄は、
私の大好きなお兄ちゃん、でした。

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