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自由詩: 花はどこへ行った

目を瞑り、人は静かに眠っていた。
顔の周りから、足元まで
摘み取られたきれいな色とりどりの花が
ぎっしりと、置かれていった
やがて、その人は顔だけ残し
花の中に埋もれていった

花はまだ咲ききっていないのに
まだ十分に鑑賞されていないのに
その人とともに蓋をされた

その人の思い出は人々の心に
その人の形見は骨として壺の中に残った
花のことはだれも気に留める人もなく
ただの灰になった

花はどこへ行ったのか
その人といっしょに天国に行ったのだろうか

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