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芥川龍之介になりたい

芥川龍之介は不倫をした後、不倫相手である秀しげ子にストーカー行為をされていた。
しげ子のストーカー行為はエスカレートした挙句、妊娠した2人目の子を芥川龍之介との子だと主張し始めたのだ。
この一連の出来事に芥川龍之介は辟易し、自分の作品に反映させた。

或阿呆の一生
《狂人の娘は巻煙草を咥えながら媚びるように彼に話しかけた。「あの子はあなたに似ていやしない?」》

狂人の娘とは秀しげ子が分かりやすくモデルになっている。

ブランク時代、芥川龍之介は松村みね子という女性に出会う。

三つのなぜ

《シバの女王は美人ではなかった。のみならず彼よりも歳をとっていた。しかし珍しい才女だった。ソロモンはかの女と問答する度に彼の心の飛躍するのを感じた。それはどういう魔術師と星占いの秘密を論じ合う時でも感じたことのない喜びだった。彼は二度でも三度でも、あるいは一生の間でもあの威厳あるシバの女王と話していたいに違いなかった》
ソロモンは龍之介、シバの女王は片山廣子が露骨にモデルだ。
片山廣子は龍之介より14歳も年上であり英語力も優秀な芥川龍之介より上だった。
当時はなかなかそのような才能を持った女性はいなかったのだろう。
しかし文章からして美人とは思っていなかったようだ。
これを片山廣子本人が見たらどう思うだろうか。

河童

《今にも子供を産もうという妻に対し、夫の河童が胎内に向かって「お前はこの世界に生まれるかどうかよく考えた上で返事をしろ」「僕は生まれたくありません。僕のお父さんの遺伝は精神病だけでも大変です」するとそれまで大きかった妻のお腹はしぼんでしまった。》
芥川龍之介の親は発狂死している。

かなり自分の考えや経験を色濃く作品に反映しているのだ。
それらが芥川龍之介の書いた作品をより輝かせているのは間違いない。

自分にしか書けないこと

僕はプライドがあった。
「どんな作風でも描ける人間になりたい」
とするプライドだ。
自分の中で思想が偏るのが嫌だったのだろう。
そしてオールラウンダーに憧れていたという厨二思想があった。

作品というのは作者の頭の中を反映させたものだ。もっと言うと人が発信する情報自体、歪みを纏っている。

ハコヅメの作者は、元警察官であることでしか書けないことを書いている。
非常に斬新な漫画だった。
あの漫画がきっかけで、警察官を志した人間は大いにいるだろう。

自分の経験と価値観は武器だ。それを無難なものに置き換える必要はない。
人にはそれぞれ役割がある。自分がある分野で一点突破して他の分野が疎かになっても、他の分野は別タイプの一点突破型がやってくれる。自分の人生にだけ向き合っていればいいのだ。
周りに合わせて自分の強みを捨てるな

恥は捨てる

また、作品を出すことに抵抗があった。
自分の内面をさらけ出す行為にも関わらず、人に見せられない。
これが自分の良くないところだった。元から引きこもり気質だったのだろう。
完璧でないといけないと思っていたのかもしれない。

今でも恥ずかしいし、頭がおかしいと思う。抵抗もある。せめてネットなら恥を捨てることができる。

今までは人に評価されるためだけに創作活動をしていたが、それは二の次にしよう。
とにかく楽しいと感じることを続けて、ついでに評価されたらラッキーくらいで考えることにした。
ネットに投稿している時点で評価されずとも、誰にも見られずとも意味のある行為だと言い聞かせよう。

僕は芥川龍之介のように、自分の体験や価値観を作品に反映させたい。
人生において得られるものは自分が思っているより少ない。一つだけでいい。一つだけ決めてひたすら走って行くのだ。

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