GTAⅣでニコとローマンがそれぞれ犯した過ち

グランド・セフト・オートIVとは

アメリカのゲーム制作会社であるロックスター・ゲームスが開発した犯罪クライム系オープンワールドゲーム。

ストーリーとしては、アメリカンドリームを成し遂げたというローマンのメールを頼りに、従兄弟のニコがアメリカのニューヨークがモデルであるリバティーシティに船で引っ越して来る…というところからプレイが始まる。
この作品は過去未来含めた人物背景や街の雰囲気などが全体的に暗い。グランド・セフト・オートシリーズでも屈指の暗さと生々しさだ。
最初から雲行きは怪しかったが、各人物の行動も相まって、事態がどんどん悪い方向に偏り、ストーリーの結末は後味の悪いものとなる。結果的にニコ、ローマンともにアメリカンドリームを掴み取ることにはならない。

 今回はプレイヤーとして遊んだ僕目線で、悲惨な結末になってしまった原因を書き出していきたいと思う。

ローマンの過ち

  • 虚言癖

  • ギャンブル癖

  • つるむ人間

ニコはカッとなると暴走するタイプのトラブルメーカーだが、そのトラブルメーカーを呼び寄せた人間。元凶と言っても過言ではないだろう。

虚言癖

最初に記述したが、ニコへ「アメリカンドリームを成し遂げたから来てみろ!」というメールをローマンは送った。
これは嘘である。
実際は借金まみれで自転車操業をしていたのだが、その事をニコが知っていたら、リバティーシティへの引っ越しはしていなかっただろう。
ニコ以外にも嘘をついていたようで、怪しまれていた。

ギャンブルを辞めない

2つ目の過ちはギャンブル癖。これが虚言癖と合わさると最悪だ。ローマンは作中でもマトモ側の人間であるとされがちだが、比較対象が殺人鬼やヤク中という人種であるため、相対的にマトモに見えるだけで、ローマンも一般基準であれば充分悪人だ。
借金のキッカケもギャンブルだろう。そして借金を返すためにまたギャンブルという悪循環。ギャンブル癖がなければ借金も無い。借金が無ければ闇金業者であるブラッドやダーダン三人衆ら裏社会の人間との関係もなかった。
ギャンブルを辞めないから借金も無くならない。借金が無くならいと闇金業者の催促もエスカレートしていく。
ダーダンたちにローマンが刺されそうになっていて、それを止めようとしたニコを非難するような言い方をしていたが、どう考えてもニコが借金取りの腕を折ってしまったことより、ギャンブルを辞めないローマンが悪い。
結局その後もリンチをされるが「手を出すなと言っただろう。もう許さねえ」というカッとなると暴走するニコがダーダンを殺す結果になる。
誰も借金を返せない上に、暴行を受けていて、今後それがさらにエスカレートしていくという見込みがあるならば、ニコがダーダンを徹底的に追い詰めたのは正解だと思う。ローマンに手を出させないという目的で、借金を返す以外の選択肢ならば、これしか解決方法はないだろう。ただやり返すだけでは報復があるためということを見越しての殺害だったのだろうが、その結果を招いてしまったのはニコの責任ではなく、ローマンの責任。

単純につるむ人間の質が悪い

借金取りたちとの不本意な関係を抜きにしても、ローマンが仲良くする人間は、アウトロー系が多い。というか全部そうではないだろうか。
ローマンが経営しているタクシー会社のお得意様であるジェイコブはヤクの売人であり、自身もヤクの常習をしている。ピストルを携帯しており、躊躇なく人を殺せる。ニコにも殺害を指示してくる。そんな人間をお得意様としているのはマズい。借金をしていなくとも、虚言癖がなくとも、犯罪者間で起こるトラブルに巻き込まれるのは時間の問題だろう。

特にブルーシーとの関係は良くないと思う。
ブルーシーはローマンがインターネットで出会った男だ。
よく裸になって筋トレをしている。
ブルーシーは暗い今作では唯一と言っていいお笑いキャラ枠らしいが、オネエであるバーニーの方が個人的には和む。その理由はブルーシーが犯罪をするからだ。バーニーはペンギン走りをするだけで、犯罪はしない。
ブルーシーは、金を返さないという理由で、フレンチトムの殺害をニコに依頼したり、パソコンのメールにおいて、買い物感覚で車の窃盗を依頼したりと、めちゃくちゃなワル。なんでもアリなゲーム性なので、感覚が麻痺して当たり前のように感じるが、一般的な倫理観で見ると極悪人。
第一印象は陽気な男で、行動からも犯罪をするような人間には見えない。それが発言やメールになると、途端に極悪人になる。
ローマンもそのことは認知している。それどころか、一緒になって触法行為をしていることを匂わせる発言を電話でしていた。

そしてマロリー。
ストーリーを進めていくと、ローマンと結婚するマロリーというキャラがいる。一応物語の序盤から出てくる。地味なので印象には残らない。しかし地味ゆえに見逃しがちだが、このキャラも中々倫理観が狂っているのだ。メガネで事務をしている、どこにでもいそうなアメリカ人女性なので一見マトモに見えるが、ヤクの売人として悪名高いエリザベータと友人関係だったり、三角関係だった男をローマンが殺したという事を聞いてもローマンとの結婚をやめなかったりと、控えめに言って狂っている。治安が悪い場所で育ったというバックボーンを知れば納得できなくもないが、どれだけ治安が悪かったのだろうか。体中タトゥーだらけでもおかしくないと思ったが、どうなのだろうか。露出も多くないので分からないが。
 主人公のニコは冷酷な殺し屋だが、マロリーも充分素質があると思う。類は友を呼ぶ。ローマンとつるむ人間は、ニコ含めおかしい。


選択肢によって、ストーリーが分岐し、ローマンが死ぬルートがあるが、自業自得だと思う。


ニコの過ち

  • ブラッドを殺したこと

  • ケイトを結婚式に連れて行ったこと

続いてニコ・ベリックの過ちだと思った点を書く。ニコは生まれつきなのか戦争で悲惨な体験をしたからなのか、イライラすると人の話を聞かないで突っ走るきらいがある。物語中でそうなると、決まって対象を殺すことになる。もともと復讐の為に生きているわけだが、その過程で出てくる人間を、カッとなっただけで殺しすぎだ。恨みやすい性格であるとともに、手がでやすい性格であるため、タチが悪い。
作中の描写でもこれが災いして、一気に反社会的勢力との繋がりを強くする原因を作ってしまった。

ブラッド殺害

箇条書きで書いたブラッドを殺した理由は、序盤から既にローマンと恋仲であるマロリーに手を出したから。これを知ったニコは激怒し、ブラッドのいるバーに乗り込む。
これがマズかった。
ここで冷静になり、ブラッドに借金を返してからきっぱり縁を切ればよかったのに、あろうことか殺してしまうという、最悪の選択をとった。
ブラッドはロシアンマフィアであるため、これがキッカケでロシアンマフィアに誘拐され、付き合うハメになる。
ロシアンマフィアのひとりであるディミトリは、非常にタチが悪い男であり、この男とつるむことで、ストーリーは更に悪い方向へ向かう。

カタギを巻き込む

そして2つ目は、ケイトと仲良くなったこと。
これはケイトの兄であるパッキーの過ちもあるのかもしれないが、カタギの妹と人殺しをつるませては駄目だろう。パッキーからすすんで「妹を連れ出してやってくれ」というお願いをしてくるが、ニコはその時点でブルーガリン然り、色々な人間から恨みを買っている。そんな人間とつるませていたら、ケイトが巻き込まれても不思議じゃない。
実際最後に巻き込まれるのだが。
これはメタ的な意見なのだが、ストーリー上、後味を悪くするために、誰かを犠牲にさせる開発側の考えなのだろうが、ケイトをローマンの結婚式に連れていくのはなぜなのだろうか。
ニコはケイトと仲が良いが、ケイトとローマンは知り合いじゃない。お互い「誰?」となると思う。お互い面識がないどころか、それまで話題にも上がらないので。結婚式間際になっていきなりケイトを誘うことになるという強引ぶり。実際ケイトが作中で「なぜ私を誘ったのかが分からない」というような発言をしていた。結婚式というのはそういうものなのだろうか?
ならばパッキーもブルーシーもホッサンもジャメインも誘うべきだったのでは。優先順位があべこべ。僕が見落としていただけで、来ていたのだろうか。

ニコ・ベリックの人間性

 一応ニコは目標がハッキリしていて、誰かれ構わず暴力を振るうわけではないので《決して善人ではないが、良い人ではある》というのが周囲のキャラが下すニコへの評価だが、メタ的な意見を言うと分岐ルートで信念がコロコロ変わるため、良い人でもないと思う。
また「戦争体験で善性が無くなった」と話しているが、ならばローマンやケイトに対する優しさはなんなのだろうかと。戦争体験で善性を失ったのなら、ローマンに対しても優しさは持てないはずだ。
言い訳にしか聞こえない。
生まれつきの犯罪者であると思う。
金さえ貰えばなんでもやるというような事を言っているのに、仕事でも従兄弟には手を出させない。しかし赤の他人ならカタギの人間をも巻き込むという冷酷さ。特にそれが顕著だったのは、マフィアの娘を誘拐するミッション。平気で顔を叩くし、拘束もする。割り切っているのではなく、単純に赤の他人には何をしても心が痛まないサイコパスなのだろう。身内だけに優しくするのが嫌いな、ハンターハンターに出てくるゴン=フリークスが見たら凄まじく怒るタイプの人間であることは間違いない。身体能力も高いので、幻影旅団に入れるだろう。復讐が目的なので、クラピカのような制約になるのだろうか。性格は怒りっぽいので強化系。


 という感じにまとめたが、ニコが関与した人物はだいたいが不幸な結果になっている。
因果応報ということなのだろうが、ルート分岐によってはローマンの代わりに撃ち殺されるケイト。しかしケイトは何も悪いことはしていないわけで。やはり胸糞が悪い作品と言える。

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