限界効用逓減の法則


《なぜ今仏教なのか》

ブッダが残したことばのなかにも、人が追い求める快楽はすばやく消えてなくなり、もっと欲しいという渇望だけが残る、というものがある。

仏教が進化論的に「正しい」理由とは?


限界効用逓減の法則を思い出した。
リピートが多い程、得られる快感は減るという人間の心理。

よいことも悪いことも慣れていく。
ビールは最初のひと口がものすごく美味しくて、2杯目、3杯目とジョッキをお代わりするにつれて美味しさが減っていき、最後は惰性で飲むようになる。このとき、ビールの美味しさを「効用(幸福度)」という。ビールを1単位(ひと口目からふた口目、ジョッキ1杯目から2杯目へ)追加したときの美味しさ=効用の変化が「限界効用」だ。ビールを飲めば飲むほど(投入する量を増やせば増やすほど)美味しさ=効用はすこしずつ減っていくので、限界効用は逓減するのだ。

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美味い食べ物を初めて食べたとして、次も同じくらい感動するかと言ったら違う。
初めて食べた時の衝撃には勝てない。これは映画とかもそう。初見で感動しても、2回目からは感動したとしても、展開を知っているため初回ほどの感動は無い。

SNSから得られる承認欲求もそうだろう。
最初は30いいねくらいで満足できていたのに、今では50いいねでも満足できない……みたいな。
ちなみに僕はSNS自体に満足できなくなった。

本能的な快楽もそうだ。
初めて射精した時は意識が飛ぶほど気持ちよかったが、何回も射精すると、快感こそあれど意識は飛ばなくなる。

成長するほど時間が経つのが早く感じるのも多分そうだろう。

人間は感謝という感情を忘れる。家電があるのも食料があるのも当たり前だと思ってしまう。しかし感謝をしていると、文明の発展は無い。
平和が当たり前だと思う時、必ず戦争もするだろう。
ずっと同じ刺激で同じ満足度のままいられる個体がいるならば、それはこの上なく幸せなことだ。しかしそれは生物的には不自然な個体だと言える。そんな個体が増えれば、文明は発展しないからだ。

愛するひととのセックスは素晴らしい快感と幸福感を与えてくれる。しかし、いつでも最高の快感が得られるのなら、あまりにも幸せすぎてほかになにもしなくなってしまうだろう。これでは、生まれてきた子どもは世話をしてもらえずに死んでしまい、「利己的な遺伝子」は自分の複製を後世に残せない。そんな「バグ」はすぐに淘汰・排除されてしまうから、同じ相手とのセックスの限界効用も逓減するのだ。

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これは快楽経験だけではなく、嫌な経験にも言えるので、一概に悪いとは言えないらしい。
別れや挫折という負の経験にも慣れるということだ。
 
僕にも経験がある。
負の経験への慣れ。
猫や犬を大量に飼っていたのだが、その中の1匹が最初に死んだ時はとてもショックだった事を記憶している。
だが6匹目くらいになると「あ、また死んだのか」くらいになっていた。

芸能人の訃報もそうだ。
知っている芸能人が死んだ時はビックリしたしショックだった。三浦春馬くんなどがそう。あまりにもそんなことが多すぎて、りゅうちぇるあたりになると「え?へー」ぐらいしか感じなくなった。

元々節足動物の類が恐怖症レベルで嫌だった。部屋で見つけた際には、どんな小さな蜘蛛でも、家族が潰すまで寝られなかった。しかし蜘蛛が部屋に出まくった結果、慣れた。
それは暗闇とか、海とか、閉所とか、幽霊とか、色々な恐怖対象に言えるのだろう。結局繰り返し体験することで慣れる、という学習能力。

戦場でも同じだろう。
仲間が最初に死んだ時はストレスだろうが、10人20人とかになってくると、何も感じなくなる。それは自分が殺す側でも同じだ。


期待と不安

「次はもっと快感を得られるだろう!」

「次も怖さは変わらないだろう…」

それはない。どちらもない。
思い描いた満足度。それが現実になっただろうか。
「これさえあれば何もいらない!」
という予想は、その欲望が現実になった時、消え失せる。

サムライマックのダブル肉厚ビーフバーガーを初めて食べた時、この世でいちばん美味しい食べ物だと思った。
2回目も同じように感じると思った。しかし─────

「あれ?こんなんだっけ」

予想より美味しく感じなかったのだ。
そしてその感覚は回数を重ねるほど多くなっていった。

なんというか、粗さを感じ取れるようになったと言うか、ダブル肉厚ビーフの前は、ベーコンレタスバーガーで同じことが起こった。
1コ目は「美味しい!」なのだが、その時期マックに通いまくっていたので、毎週ベーコンレタスバーガーを食べまくっていた。舌が慣れていったのだろう。「パサパサしてて美味しくない」という感覚になったのだ。
何度も食べることによって、脳みそが学習したのだ。
刺激が減るどころか、粗が目立って味わえなくなった。
同じ刺激であることは間違いないのだが。これが限界効用逓減の法則だ。
それがダブル肉厚ビーフで再び起こったというだけだ。
最近はベーコンレタスバーガーもダブル肉厚ビーフも食べていない。ビッグマックを食べている。
しかしビッグマックも1コ目は美味しく感じたが、2コ目でもう慣れた。

慣れるまでの間隔が短くなりつつある。お利口で贅沢な脳みそになってしまった。



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