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コレだと思ったら突き進む人、式場隆三郎

2023年9月某日
式場隆三郎展―見えない世界の美しさに心をよせて―
我孫子市白樺文学館


式場隆三郎。その存在を知ったのは、民藝の文脈からだった。
入り口は民藝だったけど、活躍したフィールドを知るたびにびっくりさせられてる。

さまざまな人と交わり、影響受けまくったり影響を与えまくったりな人生を送った式場先生。
その始まりには千葉県我孫子が重要な役割を果たしていたのだった!
ということで改めてほえ~~~とさせられることが多かった展覧会をレッツルックバック。


本業は精神科医。今も続く病院を設立。
同級生の吉田璋也と文芸雑誌を作っちゃうくらい文芸好き。「白樺」が愛読書。
で我孫子に住んでいた柳宗悦を訪ねて、その後ぐいぐい関わりを築いていく。

それはもう心酔。朝鮮の白磁にぐっと来たように、偏見なしで「いいものはいい」っていう柳の姿勢に共鳴、尊敬。崇拝者とも言っている。
柳の木喰仏調査の旅に同行。調査結果をまとめて刊行。

関東大震災でぐったり、心身の疲弊。医師を辞めそうになったけど…木喰仏を見てなんだかやる気が復活。
月刊民藝の誌面構成を担当。記事も書く。

精神病理学と民藝運動との関係性を見いだす。生活全般の立て直しに民藝。民藝運動が人間を健康にする!
生活と民藝を結びつける。眺めるんじゃあなくて日常的に使っていこう!

クリエイターではないけれど、言葉や雑誌編集・イベント企画によって、民藝の良さを世の中に伝えていくって役割を担っていたのだった。
ということでちょいちょい座談会を開催して、司会やったりしていた。みんなでワイワイ。

式場隆三郎の自宅。柳宗悦が基本設計、濱田庄司が実施設計と現場監理ってワオ!
和風洋風朝鮮風がいい感じにミクスチャー。親友の吉田璋也プロデュースの鳥取木工家具も多数。これがもう民藝館レベルの素敵なお宅。

著作は200を越える。民藝、ゴッホ、精神科関連
芹沢銈介の装幀が多いとか。式場先生、静岡在住時は毎日芹沢先生宅へお邪魔していたらしい。
何かこう、好きになったら大好きになってのめり込むタイプなのね。
常に熱中できるものがあるって、素晴らしいこと。

精神疾患(統合失調症)を持つ建築主のセルフメイド住宅・二笑亭。
登れないはしごとか五右衛門風呂と普通の風呂がくっついているとか、なにかと不思議な構造。
建築家の谷口吉郎とともに調査し、冷静に医学的に分析。建築主の独特な美意識を見いだした。茶道への造詣が感じられるとも

千葉県市川市の八幡学園にて山下清と出会う。
貼り絵だけじゃあなく、ペン画、テキスタイル、焼き物への展開をアドバイスしたらしい。
陶器の絵付けする清とそれを見守る式場先生の写真にほっこり。

ゴッホに相当興味があったよう。
著作がめっちゃ多いし、展覧会の企画、はたまたゴッホ柄の浴衣まで作っちゃったり!


いやもうプロフィールとエピソードが多すぎて。年譜が盛りだくさんだった。
木喰仏が20代、ゴッホに熱中し出したのが30代。
同時進行で民藝関連の活動で全国へ。
後年はスポーツ関連の理事とか、アール・ブリュットを支援する活動。
この感覚はめちゃめちゃ早い。精神科医ならではだと思う。
さらに点字図書館の設立者・本間一夫氏と出会い、盲人福祉向上にも尽力したとか。こちらは後期展示でフィーチャーされるとのこと。

館内の壁に展示されている文章が結構作り込まれていてほえ~~~と感じることが多かった。
チラシも興味深く読んだ。式場先生と柴犬のリュウが対話するって形式で、式場隆三郎のスピリットが理解しやすい。
ゴッホとか山下清が日本でフツーにメジャーな存在なのって、式場先生の力がデカいんじゃあないかな。
その過程をリアルタイムに体験していないけど、きっとそんな気がする。
ってくらいパワフルにいろんな人たちと交流していた式場隆三郎。
今後も気になり続ける人。

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