推し活に巻き込まれてみる
推し活のはじまりは
土曜の夜、家事が終わってホッと一息ついていたら、気になるシンガーソングライター宮崎薫さんのインスタライブの通知が目に入ったので、参加してみた。
ちょうど薫さんが新しい推し活グッズの紹介をしているところだった。紹介しているのは、薫さんが今、首につけているネックレス。薫さんは、ネックレス開発のこだわりポイントについて、力強くお話されていた。
うんうん、エピソードも素敵だし何よりネックレスがカワイイ。私は思わず、薫さんへのメッセージを書き込んで送信した。
「オフィスにもつけて行けそうです!」
すると、薫さんが私の書き込みに対してリアクションをしてくれたのだ。
「そうなの、オフィスで使いたい人もいると思ってね、シンプルなデザインにしたの」
このライブに加わって10分も経たない間の出来事で、ちょっと動揺した。なんと、憧れの存在だった薫さんと、オンラインで会話ができた。静かに心躍る気持ちで視聴を終えた。
翌朝私は、自分の気持ちが変わっていないことを確認して、公式サイトで売られているグッズの中から好みの「Tシャツ」を一つ、購入した(ネックレスはまだ発売前だったから)。
推し活の世界
昨日のインスタライブでは、これまで縁がなかった推し活ワードを3つも習得することになった。
それは、「アクスタ」「アクキー」「ペンラ」。
皆さん、何のことか分かりますか?
私はサッパリ分からなかったので、10代の子どもたちにアクスタについて聞いてみた。
「アクリルスタンドだよ。キムタクのアクスタは変わってて、めっちゃ話題になったじゃん」とのこと。
調べてみたらもう5年も前からアクスタブームが来ていたらしい。ガーン、知らなかった。トレンドに疎い大人にはなりたくないので、自分も推し活に加わって推し活を知ろう!と心に決めた。
ところで、応援したいと思う心理って?
「応援する」のが推し活。でも「応援」とただの「好き」とは何が違うの?推し活初心者ならではの疑問が沸々と湧いてきた。早速ネットリサーチしていたら、こんな言葉に出会った。
「アンダードッグ効果」という言葉だ。なんと今から70年以上前に海外の学者が唱えた行動心理学の事象の一つだそうだ。
「アンダードッグ効果(underdog effect)」とは、立場が弱かったり、不利な状況にある方を応援したくなる心理効果、そして、その心理効果によって同情や支援が集まることで劣勢から逆転する現象。
「弱いものを応援したいと思う心理」ということか。推しの心理の中には、時にはこんな気持ちもあるのかもしれない。
人間は、自分より劣勢な人、たとえば、家庭環境が複雑だったとか、貧乏とか、容姿が整っていないとか、そういう人と自分をつい比べてしまい、自分のほうが上であることで安心感を得る脳の性質を持っていると、本でも読んだことがある。
そういえば先月、King& Princeのメンバーだった3人が脱退したが、脱退して1週間後にフォロワー数が爆上がりしたというニュースがあった。記事では「怪奇現象」のように語られていたけれど、何のことはない、これもアンダードッグ効果の表れだったのでは?
推し活を純粋に楽しもう
不意に推し活が始まった週末。振り返れば、家事を終えて一服していたところにタイムリーにインスタライブ通知が届いた時点で、既に巻き込まれていたのだ。推し活をプロデュースする側は、推し予備軍のことを徹底的に調べている。心理学まで駆使して推し予備軍を推しに昇格させる、頭脳的推し活マーケティングは恐るべし。
でも、それはそれ。巻き込まれたからには、推し活を存分に楽しむぞと思った週末でした。