「病室を抜け出して。」(詩)
桜舞う星と夜空の中。
薄明かりと小さな踊場。
僕らは病室を抜け出して。
13分だけの夜。
何度も越えて。
散り間際の僅かな時間。
踊り明かす二人。
君らしいワルツが心地いい。
しがらみも現状も今だけは忘れて。
僕らにはない「自由」を謳歌しよう。
例え、退路も未来も防がれていても。
少なくとも
今だけは生きているから。
腕、身体、こころ。
傷だらけの毎日に
微笑みを。
今だけでも、幸せでいられるように。
腕、身体、巡って。
白い病室と点滴の記憶を塗り替えて。
普段とは違う月明かりの下で。
誰にも秘密の
話をしよう。
心臓と熱に浮かされながら。
今日、めんどくさかったこと。
辛かったこと。
痛かったこと。
そして、楽しかったことも。
繋がれた思いと命の中で
僕らは何を思うだろう。
(……多分、知らないままで。)
散り間際の僅かな時間。
僕らは、病室を抜け出した。
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